ボス戦へ
風邪引きました。
「すいません、ちょっと待ってもらえませんか?」
軽装備の男が俺を呼びとめた。
何か用だろうか……もしかして後ろにくっついていたのがバレたんだろうか?
しかしそっちはレベル上げで来ているんだし、俺がモンスターを擦り付けたり横取りしたならともかく、文句はないはずだ。
俺が若干ストーカーっぽくて、それで気分を害したとかなら謝るが。
「何か用ですか?」
「実は……回復薬が殆ど切れてしまって。街に戻ったら必ず返しますので少し貸してもらえませんか?」
どうやら彼等をモンスター避けとして使っていた事はバレてないみたいだ。
戦闘に夢中になりすぎて回復薬を使いすぎてしまったらしい。
これから街に向かうが、このままだと死んでしまうかもしれない。
だから少し回復薬を分けてほしいんだそうだ。
「いいですよ。とはいっても俺もこれからボス戦なのであまり渡せませんが。」
「ソロでボス戦ですか?装備も僕達とそんなに変わらないのに凄いですね。」
「いやいや、恥ずかしながらフレンドが少ないだけですよ。ソロでどこまで頑張れるか試してみたいっていうのもありますが。」
俺は軽装備の男に回復薬を5個程渡す。
軽戦士の男はアエルというらしい。同じ学校の仲間で集まって遊んでいるんだそうだ。
重装備がフィー、格闘家がフロンで弓使いがミルダスといい、レベルは揃って14になったばかりらしい。
少し雑談をした後、彼らとフレンド登録をして先に進む。
ボス部屋は目と鼻の先だ。彼等と別れて直ぐにボス部屋前に辿り着いた。
大きな扉に手を置いて、軽く押すだけで扉はゆっくりと開いて行く。
奥には王座があり、普通のゴブリンの3倍はあるだろう体躯を誇るゴブリンキングが座っている。
「さて、どこまでやれるかね。」
ボス部屋に入ったと同時にゴブリンキングが雄叫びをあげた。
言葉になっていない雄叫びは空気を震わせ大地を揺るがす。
戦闘準備は万全の様だ。
俺は剣をぬいてゴブリンキングの出方を窺う。
瞬間、ゴブリンキングの周りに黒い空間が現れ、そこからゴブリンが飛び出してくる。
123……全部で5体のゴブリンが出てきた。どうやらあの雄叫びはゴブリンを召喚するものだったらしい。
召喚されたゴブリンはナイフを持ったやつが殆どで、魔法を使うやつはいないみたいだ。
ナイフを使うタイプのゴブリンは回避型で体力と攻撃力は低い。
回避型といっても所詮はゴブリンなので、今の俺には敵にならないだろう。
俺はゴブリンキングを警戒しながらゴブリン達を倒して行く。
流石に数が多いだけに手間取るが、ゴブリン達の攻撃は危なげなく避ける事が出来た。
凝固のスキルで簡易的な障害物を作りだしては設置して行く。
凝固スキルはMPを込めれば込める程に長時間そこに魔力を物質として存在させることができる。
今の俺ではまだ上手く使いこなせないが、ゴブリン達の移動の邪魔をする位には使うことができた。
おかげで思ったよりも早くゴブリンキングと1対1で戦う所まで持っていく事に成功する。
しかし、代償としてHPは半分以下、MPなんて無いに等しい。
俺は回復ポーションと魔力ポーションを使って回復する。
ゴブリンキングは強力なモンスターだが、1対1ならば互角の戦いに持って行けた。
ゴブリンキングは腰に下げていた大鉈を右手に持ち飛びかかってくる。
ギリギリで避けるが、大鉈の圧力に足が震えた。
後ろに飛び退き距離を取って息を整える。
ゴブリンキングが再度雄叫びを上げた。
空気を震わせた後、ゴブリンが3体現れる。
まだまだ戦いは続きそうだ。




