風呂
三題噺もどき―はっぴゃくよんじゅうよん。
ぽたぽたと、水の滴る音が響く。
その間隔は徐々に長くなっていき、いつの間にか聞こえなくなっていた。
天井を見上げれば、所々水たまりのようなものができている。
「……」
外はすでに星の瞬く夜空が広がっている事だろう。
修了式から帰って、気づけば眠っていて、アッと言う間にこんな時間になっていて。
さっさと風呂にはいりなさいと母にたたき起こされた。
「……」
リビングではすでに夕食の準備が整えられ、私以外の家族はもう食べて始めていた。妹なんかは食べ終わってすでにスマホをいじっているかもしれない。
私的には食事中にスマホをいじられるのは嫌なんだが……静かにゲームをしているだけならまだしも、テレビの音が聞こえなくなりそうな音量で動画を見たりするから……うるさいだろう。
「……」
少し暑いくらいの湯船に浸かっていると、ついさっきまでの眠気がまた襲ってくる。
あまり風呂場で眠くなるようなことはないんだけど、今日はいつも以上に眠いらしい。
帰ってきてからそれなりの時間寝ているようなきがするが……これ逆にいざ寝ようと言う時に寝れなくならないか。
「……」
いつもなら、スマホで音楽をかけたりしているのだけど、寝落ちした時に充電器に刺さずに動画を流しっぱなしにしていたせいで、充電がなくなりかけていた。だから、今はスマホは充電器にさして休憩中である。
「――ふぁ」
あくびが漏れる。
相当眠いらしい。
夜更かしをしたわけでもないはずなんだけど……体力の限界のせいだろうか。
「……」
昨日一昨日の、クラスマッチで相当削られてはいる。
もともとない体力で、いろんな競技を撮りまわっていたから……ちなみにタイミングよく競技には参加しないで済んだ。
「……」
自分のクラスを優先しつつ、他の写真部がどこにいるかも確認しつつ。
写真を撮ること自体は好きだし、こういう動いている所を撮ることなんてめったにないので、楽しくて、限界に気づかず撮りまわっていた。
盲目的とまで言うと言い過ぎかもしれないが、ホントにそれくらい撮りまわっていた。……昼食の時間だけは、あの子の教室にいったけれど。その時だけはゆっくりしていた。
……で、その報いがここに来たと。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……、」
浴槽のふちにかけていた頭を起す。
ぼーっとしていると、寝落ちてしまいそうだ。
さっさと出るとしよう。もう充分浸かった。
「……」
水に浸かっていた腕を持ち上げ、浴槽のふちに手をかける。
いつもより重たいような気がする身体を何とか立ち上がらせて、シャワーを出しておく。
上がる前に顔を洗うのと、軽く体を流しておくので。
「……」
寝落ちる前にさっさと顔を洗い、身体を流していく。
湯船に比べれば少しぬるいシャワーのおかげで、ほんの少しだけ目が覚めた。それとも動いたからだろうか。
「……」
浴室の外に置いてあるタオルを取るため、ドアを開ける。
我が家の脱衣所は、洗濯も干せるようになっている。私が風呂に入る前に一回目の洗濯が終わり、そこの半分以上はすでに洗濯が干されていた。
「……」
浴室のドアのすぐそこに、どちらかの妹が来ていたであろうアンダーシャツが掛けられていた。
洗濯物なので、もちろん冷たく冷えていて、火照った体には氷のように感じられた。
というか、なぜこんなすぐそばに干しているんだ……邪魔だ。
「……」
適当にどかしながら、タオルを手に取る。
空気を入れたせいで少し冷えはしたが、浴槽に浸かった直後はやはり熱い。
身体を拭きながらも、ジワジワと滲んでくる汗を鬱陶しく思いながら、さっさと着替えていく。
「……」
まぁ、おかげで目が覚めた。
夕食を食べて、また眠れるまでスマホをいじるしかない。
どうせ、明日から春休みなのだ。
お題:星・盲目・アンダーシャツ




