愛猫クロとぼく
ダンジョンができた日
ぼくの名前はあおい。十二歳。
好きなものはゲームと、うちの愛猫・クロ。1歳。
ある朝、町の外れの河原に――突然、黒い塔が現れた。
禍禍しいモヤのようなモノが入り口から溢れている。
ネットでは「ダンジョン」と呼ばれていた。
スマホには政府の緊急速報。
自衛隊が出動して、立ち入り禁止のテープが張られた。
でも。
「……絶対、入ってみたい」
胸がむずむずした。
その夜、こっそり家を抜け出したぼくの足元を、黒い影がすり抜ける。
「にゃあ」
「クロ!? だめだよ、危ないって」
でもクロは振り向きもせず、ダンジョンの入口へ歩いていく。
月明かりの中、その目は金色に光っていた。
――まるで、知っているみたいに。
ぼくはごくりと喉を鳴らして、あとを追った。
レベル1の壁
ダンジョンの中は、思ったより広かった。
石の壁。湿った空気。
そして、スライム。
「うわっ、本当にいる……!」
ゲームみたいに、頭の中に声が響いた。
《レベル1 楠あおい》
《スキル:なし》
「ほんとにゲームみたいだ……!」
クロが飛びかかる。
ばしっ、と前足でスライムをはたくと、ぷるん、と消えた。
《経験値を獲得しました》
「え、クロ強っ!?」
それから何匹か倒した。
でも――
レベルが上がりません。
ネットでは魔物を倒すとレベルが上がると言ってたのに。
まだ足りない?
「ええ!? こんなに頑張ってるのに!?」
汗だくになって座り込む。
あと何体倒せばいいのかな。
そのとき、クロが近くで何かをかじっていた。
「こら、石なんて食べちゃだめだよ」
拾い上げると、青白く光る小石だった。
ただの石……じゃない。
手の中で、どくん、と脈打つ。
《魔石を確認》
「ま、魔石?」
その瞬間、体が熱くなった。
光が弾ける。
《スキル【吸収】を獲得しました》
《スキル【魔力操作】を獲得しました》
「え……スキル?」
クロがにゃあと鳴く。
もしかして。
「これ……食べればいいの?」
ごくり。
勇気を出して、魔石を口に入れた。
甘い。
ラムネみたいに、すっと溶ける。
次の瞬間。
体の奥から力があふれ出した。
《レベル2になりました》
《レベル3になりました》
《レベル4になりました》
《スキル【鑑定】を獲得しました》
《スキル【風魔法】を獲得しました》
「うそ……一気に!?」
手をかざすと、空気が震える。
小さな光の弾が生まれた。
「……これ、ぼくの魔法?」
クロが誇らしげにしっぽを立てる。
どうやら。
レベルが上がらなかった理由は――
魔物を倒して経験値を得るのじゃなくて、魔石を吸収することだったらしい。
鑑定のスキルを使えばぼくのステータスが見れないかな?
《ステータスオープン》
楠あおい
12歳
レベル 4
HP 110
MP 220
STR 120
LUK 30
スキル
吸収 魔法操作 鑑定 風魔法
愛猫 クロ
クロも鑑定してみよう
《ステータスオープン》
クロ
??歳
レベル ???
HP ???
MP ???
STR ???
LUK ???
スキル
猫パンチ ???
飼主 楠あおい
見れた。けど。
鑑定のレベルが足りないのかな?
どれくらい強いのかわからないや。
帰ったら調べてみる事にしよう。
黒い塔を出るとまだ暗かった。
どのくらい塔にいたのだろう?
家に着くと時計を確認する。
2時13分、家を出たのが22時くらいだから4時間か
次からは時計を持って行こう。
疲れたから着替えてクロと一緒に寝た。
今日は学校だから遅刻はできない。
母が起こしてくれて助かった。
7時20分
昨日汗かいたからシャワーを浴びてご飯を食べてとなんか身体が軽い気がする。
いつものように7時50分に家を出たのに、10分も早く学校に着いてしまった。
8時5分
クラスメートが半分も来ていない。
ぼくもホームルームに間に合うように来てたから知らなかった。
暇だからクラスメートのステータスを鑑定してみた。
《ステータスオープン》
木下多江
12歳
レベル 1
HP 25
MP 25
STR 20
LUK 10
スキル
なし
愛犬 ケンタ
《ステータスオープン》
高橋歩
12歳
レベル 1
HP 30
MP 10
STR 35
LUK 15
スキル
なし
あれ?ぼくって強いのかな?
そんなことを考えてるといつも一緒に登校してる真が来た。
《ステータスオープン》
田中真
12歳
レベル 2
HP 50
MP 30
STR 80
LUK 40
スキル
剣術操作 身体強化
愛猫 たま
レベル2?
真もダンジョンに行ってたの?
後で聞く事にする。
ホームルームが終わり真に今日は先に行った事を謝ってから昨日ダンジョンに行った事を話した。
「真もダンジョンに行ったの?」
「土日にお爺と行ったんだ」
真のお爺さんは元警察官らしい。
真が誕生日プレゼントにダンジョンに潜る事をお願いしたら、3ヶ月ジョギングが続けられたらだったらしい。
詳しい話は給食の時にする事に。
給食時間になり真から
「なんでダンジョン行ったって知ってるの?」
ずっと気になってだのだろ聞いてきた。
クラスメートのいる中じゃ話せないからと急いで食べて中庭のベンチで話す事にした。
誰も居ない事を確認してから
「鑑定のスキルで見たんだ、勝手に見てごめんなさい」
「スキル?鑑定?」
「うん」
鑑定のスキルを貰ったこと、真のレベルが2だった事を話すと
「俺がレベル2?」
「知らなかったの?」
知らなかったらしく詳しく聞いてきた。
真のステータスを教えるとスキルの事が気になったらしく聞かれたけどわからないと答えておいた。
ぼくも気になっいたレベル上げのことを聞くと魔物を倒したら頭の中に声が聞こえたと教えてくれた。
爺さんと土日の2日で35体倒した事や身体が軽くなった事。
真から爺さんのステータスも教えてほしいと頼まれた。
「お邪魔しまーす」
真は待ってたらしく直ぐにドアが開いて離れの爺さんの家に連れて行ってくれた。
爺さんに話したら鑑定して欲しいと頼まれたので
《ステータスオープン》
田中真一郎
53歳
レベル 3
HP 100
MP 100
STR 110
LUK 25
スキル
身体強化 体術 土魔法
愛猫 たま
紙に書いてくれと言うので書いて渡すと真も欲しいと言う
並べてみると爺さんの方がステータスが高い事がわかる。
わからない事は調べる事にしました。
爺さんのパソコンでレベルの上げ方やスキルの事などを調べると魔物を倒すと経験値が溜まりレベルが上がるようだ。
ただ、経験値が溜まればレベルが上がる訳ではなくその人の最初に貰ったスキルが関係していると書いてあった。
爺さんも真も身体強化を最初にもらったから身体強化って事だよね。
ぼくは吸収って事になる。
ダンジョンに潜って魔物を倒すと経験値が貰える。
ぼくは魔石を吸収することでレベルが上がるんだろう。
クロが教えてくれなかったらぼくはずっとレベル1のままだったんだ。
クロありがとう。
体術や体術操作は基本的な筋力を高めるみたい。
操作は効率よく鍛えられるみたい。
魔法は属性別で様々のよう。
使えば使うほど熟練度が上がるらしく熟練度が上がれば出来る事が増えると書いてある。
鑑定はMPを使うので気をつけないといけないが熟練度を上げるために色々なものを鑑定するといいらしい。
MPが枯渇すると動けなくなり頭が割れるように痛いと書いてある。
怖しい。
真の愛猫たまがいたのでステータスを鑑定してみた。
《ステータスオープン》
たま
??歳
レベル ???
HP ???
MP ???
STR ???
LUK ???
スキル
猫パンチ ???
飼主 田中家
猫は?ばっかなのかな?
時間を見ると17時過ぎたので帰る事にする。
真は爺さんとまだ話し込んでたので婆さんに挨拶してから帰った。
家に帰るとクロが玄関で待っていた。
「にゃーん」
クンクンとぼくを嗅いでくるのでたまの臭いがするのかな。
ぼくとクロのダンジョン攻略
ぼくたちは毎日ダンジョンに潜った。
クロは魔物の気配を察知できる。
ぼくは魔石を吸収して強くなる。
黒の塔が何階まであるのかな。
ぼくたちはダンジョンの2階層を探索してる。
ゲームみたく宝箱とかあれば良いのだけど。
ネットによると4階層以上で宝箱ご発見されたみたい。
まだまだ先は長い。
《レベル5になりました》
《レベル6になりました》
でもまだ、上の階には強い気配がある。
12歳のぼくと、1匹の黒猫。
だけど――
最深部で待っていたのは、町を飲み込むほど巨大な魔物だった。
そのとき、クロの額に光る紋章が浮かび上がる。
《???スキル解放条件を満たしました》
「クロ……君、いったい何者なの?」
黒猫は、ゆっくりとしゃべった。
「――ようやく思い出したか。契約者よ」




