表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

第8話  流れの中で

人は、何かを決断したつもりがなくても、

気づかないうちに流れの中に入り込んでいくものです。


止まっているようで、

実は少しずつ前に進んでいる、

第8話は、そんな感覚を大切にした回になっています。


大きな出来事はありませんが、

心の向きが、ほんの少しだけ変わる瞬間を

感じていただけたら嬉しいです。

藤田が帰って、

谷本は改めて伊東美織に御礼を言った。

「伊東さん今日は本当にありがとう」


美織は、

今日の再会が谷本にとって良かったかは、

わからないけど、藤田鮎子にとっては、

良い再会になったんだと、

なんとなく実感した。


帰り、二人は川沿いを歩いていた、

「谷本くんは、今日の再会で何か変わった?」


車がよく通り、平行して流れる河川の流れはゆっくりなのに、

流れるヘッドライトの光で早いと錯覚するほどだった、


「今日、藤田さんと会って…

1つわかった事がある、事故に遭って怪我をして、

身体は回復したのに記憶は回復してないと思ってた。でも違った…」


美織は谷本を見て、

「会って良かった?」と、小さな声で聞いた。


「良かったよ!会わなかったら、

一生藤田さんの不機嫌な顔しか、思い出せなかったと思う」


「だから、ありがとう!」

「伊東さんのお陰だよ。」


美織は少し恥ずかしそうに微笑んで

「みっちゃんにも会って見たい?」


谷本は、一瞬誰かわからなかった…

「あぁ、、東堂美津子…さん」


しばらく考えて。

「もちろん会ってみたい、でも…

先に伊東さんにお礼がしたいな。」


「今度、時間作ってくれないかな?」


美織は少し考えて、

「また、今度ね。」と笑った。


谷本は頷いた。

美織の家の前に来て、

「じぁあね、ありがとう」と、別れてから。


谷本を寂しさが襲った。

説明できない感情が、

美織への恋心だと気付くまで時間は掛からなかった。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


この回では、

谷本自身が「どうしたいのか」を

まだ言葉にできていません。


でも、

人との距離、視線、タイミング――

そういったものが自然と揃い始めています。


無理に選ばなくても、

抗わなくても、人は流れの中で関係を深めていく。


そんな静かな変化を描きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ