52話 約束していた再会
いつも読んでいただきありがとうございます。
美織は、学校で少しおとなしくなったが、
元から大人しい性格なので、
その変化に気付く人は少なかった。
それから、変わった事の1つに、
毎日、遠藤先輩が迎えに来た。
帰り道のガードマンのつもりらしい。
でも、あの日以降
美織の前に、森田が現れる事はなかった。
由依も容認していた、
美織に変な刺激を与えない方がいいし、
もし、森田が現れた場合
遠藤の存在は有り難かったから。
実際、日々の生活の中で、
少しずつ美織に笑顔が戻ってきた事を
由依は感じとっていた。
文化祭の前日…
谷本からLINEが送られてきた。
谷本→美織
明日、文化祭だよね
10時頃、愛ちゃん迎えに行って
朝比奈高校一緒に行くね。
…
メールを見て、美織は少し考えていた…
由依がその様子に気がついて、
「どうしたの?」
「うん、谷本くんからLINEが来た…」
「明日の文化祭に、誘ったの忘れてた。」
「断るの?」
美織は首をふり、
「会って、ちゃんと話しする…」
「いつまでもこんな風に、
意識してるわけにもいかないから。」
由依は黙って頷いた。
〜 文化祭の早朝 〜
谷本は愛ちゃんを迎えに行った…
天気も良くて、気持ちのいい土曜日だったが、
気持ちは晴れやかではなかった…
由依の話しだと、美織は谷本に
中学校の卒業式事件について知られたくなかったと言う事が、大きな蟠りになっているらしい…
当然だ、谷本でさえ
処理できない感情を、当事者本人なら尚更だ。
それを、美織以外の他人から聞かされたのは、
取り返しがつかない状況だった。
美織に会って、なんて言われても。
受け止めよう…
そう覚悟を決めていた。
それまでは、
今まで通りに接しよう…
美織の家に着いて、
チャイムを鳴らした…
すぐに愛が出てきた。
「寸くん、おはよう!!」
「おはよう!愛ちゃん…行こうか?」
そう言って、駅まで一緒に歩いた。
「寸くん、お姉ちゃんと何かあったの?」
愛が、先に聞いてきた。
谷本は
聞かれたくない感じが、しっかりと顔に出てしまった…
「やっぱり…わかるよね…」
愛は谷本の顔を見て
「浮気したの?」と、聞いてきた。
「そんなわけないだろ!
誓って浮気なんかしてないから…」
「私も寸くんが浮気するとは思ってないよ」
「愛ちゃん…
そんなに美織の様子がおかしいの?」
「かなり怖い顔してる…
寸くんの話題を絶対しない…
最近、由依ちゃんが泊まりに来た日から
様子がおかしくなったんだよ…」
「そうだよね…由依ちゃんから聞いたよ。」
「え〜、どうして寸くんが…
由依ちゃんからそんな話し聞くの?」
「由依ちゃんが戸陽高校まで、
来たんだよ…美織の事を伝えに…」
「お姉ちゃん、何かあったの?…」
「ちょっとね、僕が良くないんだ…
お姉ちゃん、許してくれるかな…?」
「寸くんはお姉ちゃんの事が好きなの?」
愛は小さな声で谷本に聞いた…
「好きだよ…」谷本は素直に答えた…
「なら、大丈夫なんじゃない…」
「お姉ちゃんは絶対寸くんのこと好きだし、
寸くんが好きなら大丈夫なんじゃない?」
「今から文化祭で、話ししてみるよ…」
愛と谷本は、ぎこちない雰囲気のまま
朝比奈高校に到着した。
入口のゲートを抜けて、吹奏楽部が演奏する
体育館に向かった。
体育館に入ると、沢山椅子が並んでいて
各、部活動の発表を見ていた、
ダンス部、合唱部、ジャグリング同好会など
観客を楽しませ、盛り上がっていた。
各教室では、模擬店が並び賑やかに盛り上がっていた。
生徒の親や兄弟、他校の友人達が入り混じり、大盛況だった。
2人は校内を散策した。
「愛ちゃんなんか食べる?」
「喉乾いたからジュースがいいな…」
「了解、ジュースを買おう。」
谷本と愛は、ジュースを買って
また、体育館に戻った、
「次が吹奏楽部の演奏だから、
席を確保しよう!」
そう言って、前の方の席をキープした。
しばらくすると、席はほぼ満席になり
立ち見が居るくらいだった。
吹奏楽部の演奏準備で、舞台の幕が下りた
「いよいよ次だね…」
数分後、吹奏楽部の紹介が始まり
幕が上がると同時に、演奏が始まった。
谷本はすぐに美織を見つけた。
3曲演奏したが、
谷本は美織しか見ていなかった…
演奏中に何度か美織と目が合ったように感じたが、
観客の数から考えると気のせいであるに違いない…
最後の演奏が終わり、
大きな拍手と歓声
美織の笑顔が見えて、谷本は安心した。
「愛ちゃん、お姉ちゃんの所に行ってみよう…」
ここまで読んでいただきありがとうございました。
引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。




