第51話 遠回りの優しさ
いつも読んでいただきありがとうございます。
森田千恵が、喜田の所に居た
「お前、約束が違うだろ…
なんでややこしくするんだよ。」
「あんたが謝罪しないと、
口聞かないって言うから…」
喜田は呆れた顔して、
「お前は自分の事ばっかり…だな、」
「子供の頃、お前を助けてやったのは、
見てられなかったからで、好きだったわけじゃない!…」
「だいたい謝るってのは、人に言われてする事じゃない!…そんな事もわからないのかよ…」
「だって、謝罪しろって…謝れって事でしょ
あんたが言ってる意味は!!」
「心から謝れ!って事だよ」
「よくわかんないよ!」必死に訴える森田
「お前の事は、俺が一番理解してるから
強がるな…他人のモノは、
奪った所で本当に自分のモノにはならないから」
「よくわからない!」
泣きながら、訴える森田の頭を軽く叩いて
「行くぞ、もうお前は一人で考えなく動くな!」
「オレ達は、反省しなきゃいけない。
反省は人に押し付けるんじゃなく、
誰の目から見ても、認めてもらえるように
今から出来る事を頑張ろう。」
それから数日後、
喜田は戸陽高校を退学した。
〜 谷本はランニングコースを変えた 〜
谷本はランニングに出たが、
いつものコースとは違う、反対方向に向かって走っていた。
明らかに美織を避けた行動だった…
先日、由依に言われた言葉が頭から離れなく、
美織を遠ざけてしまったのだ、
(谷本くんは、無自覚のまま美織を傷つけた…
それは、謝って解決する事じゃない、
もし、もう一度歩み寄れるなら、それは
無自覚の行動から…だよ)
(それは谷本くんが美織に歩み寄るんじゃなく、
もう一度、美織を振り向かせる男になるしかないと思う…
今できる事に全力で取り組んで、未来に向かって行くしかない…過去には何も無いよ。)
今出来る事を、全力でやろう
毎日、倒れるまで、全力で取り組もう。
指が曲がるくらい、
絵を描こう…僕に出来る事は
今は美織に寄り添うことじゃない。
美織の事は、由依ちゃんに任せて
やれることを全力で取り組もう。
そんな国道沿いの長い上り坂を全力で駆け上がった。
暗示にも似たこの行動は、
記憶を無くした谷本が取った行動そのモノだった…
美織と言う、安らぎの存在が谷本の記憶を支えていた…
今は美織を忘れようと、ただひたすらにトレーニングに打ち込んでいた。
あれから数日が経ち、明日は朝比奈高校の文化祭だ、
数日前に美織から愛と来てほしいとLINEがあった…
〝愛と来てほしい”
そう言われて、OKと返信した翌日、
森田が朝比奈高校に行く事件があった…
あれから、LINEのやり取りは無い。
ただ、約束は気になっていた…
谷本は美織にLINEした。
谷本→美織
明日、文化祭だよね
10時頃、愛ちゃん迎えに行って
朝比奈高校一緒に行くね。
…
LINEを送信して、
返信はあるのか…自信がなかった。
〜 美織は由依が泊まった次の日、
学校を休んだ、止まらない震えが美織の自由を奪っていた。
その翌日、由依がまた美織の家に来た。
「明日、学校に来るなら
昨日私が、谷本くんの所に居た話し聞かせるけど…どうする?」
上目使いで美織を見た…
美織は俯いて黙っていた。
「学校行くから教えて…」
決意にも似た覚悟を感じた。
由依は、ギリギリまで
谷本は何も知らなかったと伝えるつもりだったが、美織を見ていて気持ちが変わった…
嘘で取り戻した関係は、またいつか傷付けてしまうのではないか?
少し考えて、美織を抱きしめた。
由依の頬に涙が流れた。
美織はそれを見て確信した。
谷本くんは、自分の過去を知っている…
「美織…谷本くんは卒業式の事件の事は知っていたよ、
でも、森田千恵に謝るようには言ってない、
喜田が余計な気を使ったんじゃないかと言ってたけど、
なぜ森田が美織の学校に来たのかは真相はわからなかった」
「私ね、谷本くんに酷いこと沢山言ってしまった…ごめんね。美織…」
美織は泣きながら、
「私は寸くんが好き…ずっと昔から…
小学校の時、写真を一緒に撮ってもらった時は嬉しくて、嬉しくて…」
涙が由依の肩に落ちた。
ホントは中学の卒業式の日、
失恋したの…分かってたのに…
その時も、ただ気持ちを伝えたかっただけ…
それが、突然目の前に現れたの…
恋したって、しょうがないでしょ。
大好きになったっていいでしょ…
由依は黙って、美織の部屋に飾ってある
美織の絵を眺めていた…
涙で滲んだ瞳で見る谷本の絵は、
ぼやけてよく見えなかった…
…谷本、下手くそ過ぎるだろ…
ここまで読んでいただきありがとうございました。
引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。




