49話 隠された春
いつも読んでいただきありがとうございます。
谷本は藤田にLINEをするか迷っていた。
同級生の橋本心音から教えてもらったが、
真実を知る必要は無いと、
思い悩んでいた。
結局は今が一番だ、未来を見て行動する事にした。
藤田のLINEは閉じて、
美織にLINEした。
谷本→美織
昨日はご馳走さまでした。
ご両親にも、お礼言っておいて下さい。
…
美織からすぐに、返信が来た
美織→谷本
うん、言っとく。
来週、ウチの学校の文化祭があるんだけど
来ない?
土曜日は家族もOKなんだ…
いつも申し訳無いんだけど、
愛と来て欲しい。
いいかな?
…
谷本は
OKスタンプを返した。
戸陽高校は、
その翌週に同じく文化祭だったが、
喜田と美織が鉢合わせる恐れがあり、
美織を誘わなかった。
〜 朝比奈高校吹奏楽部 〜
「今日の練習はここまで〜」
由依が合図すると、全員
片付けを始めた。
美織が由依に
「今日は一緒に帰れる?」
由依は「もちろん!」そう言って、
ギターをケースに入れた。
部室に、遠藤が入ってきて、
「伊東さん一緒に帰れる?」と、聞いてきた。
「私が漏れなく着いて来ますけど、いいですか〜?」と、会話を遮った。
「もちろん、ちょっと話しがあってね、
一緒に帰ろうよ」
遠藤はそう言って、歩き出した。
「話しってなんですか?」
由依が遠藤に声を掛けたが、
「後で…」と、濁された。
3人で、正門を通りかかると、
1人の金髪の少女が待っていた。
森田千恵だった。
美織の顔は一瞬で青ざめ、由依の服を掴んだ…
「ちょっと…何よ…」
由依が、振り向くと美織が震えていた。
遠藤が美織に、
「大丈夫?何かあった?」
美織が小さな声で「無理かも…」
森田が、美織に気がついて近寄って来た。
由依が美織を庇うように前に立った。
遠藤はその前に出て、
「何か用ですか?」と、森田に言葉をぶつけた。
「あんたに用は無い。
その子に話しがあって来たんだよ」
「えっ?美織知り合いなの?」と、
由依が肩を抱きながら聞いた。
遠藤は、
「とにかく怖がってるんで、消えて下さい。」
「なんだお前、関係無いだろ!」
そう言われた遠藤はが、森田に向かって
「関係あるんだよ、美織は僕の大切な人だ!」
森田は不機嫌な顔つきになり、
「そうなんだ〜、美織
あんたは昔から変わらないね…」
「谷本と付き合ってるんじゃないの?」
「谷本に謝れって言われたから来たんだけど…
別の男作ってるなんてホント最低ね」
「えっ…寸くんが言ったの…?」
由依が谷本を庇うように
「谷本くんがそんな事言うはずないよ…」
「寸くんが、知ってる…?」
美織の目に、涙が流れた…
森田は吐き捨てるように、
「可愛いからって…ムカつくのよ…」
そう言って、走って逃げていった。
座り込む美織に、由依が
「あんなの気にする必要ないって」
遠藤も美織に謝った
「ごめん…余計なこと言った…
でも、さっき言った内容に嘘は無いんだ。」
由依が頷きながら、
「遠藤先輩はタイミングが最悪です。
いろいろな面で…」
「美織帰ろ…」由依が支えて
駅に向かった。
「オレが送っていくよ。」遠藤が言うと、
由依が、
「イヤ、今日はすみません
私が送っていきます。」
結局、美織の家まで一緒に着いて来たけど、
一言も話が出来なかった。
由依は、このまま帰ると美織が、
また、学校に来なくなってしまうと思い、
美織の母に、
「今日、訳ありで、泊めて下さい
そう言って、美織の部屋に上がり込んだ…」
2人でベットで寝ながら話しをした…
「ごめんね…由依ちゃん…」
そう言って、謝ると
「いいよ、気にしないで…」
「私どうしよ…
寸くんは、どこまで知ってるのかな…?」
「それはわからないけど…
そんなの関係ないよ。」
「…」
「さっきの女、知ってるの?」
「うん…、」美織は由依に全てを話した。
中学生の頃、
森田千恵は喜田の事が好きだった。
なのに、喜田は美織に告白した。
美織ははっきりと断った…
自分が好きな相手が美織を好きだと知ると、
美織に対し逆恨みで、嫌がらせがあったらしい。
卒業式の日、
美織が谷本に告白した後、
事件は起こった。
森田が美織を捕まえて、
男子3人に、襲わせたんだと言う。
その内の一人が、途中怖くなって
逃げ出し非常ベルを押した。
その騒動で、他の男子生徒も逃げたらしい。
その時美織は手首を捻挫した。
教室で倒れていた所を
助けてくれたのは、美術教師の池田だった。
谷本に断られたショックよりも、
男子3人に襲われた恐怖が、
未だに脳裏に残っていた…
谷本には知られたく無かった…
その後、
学校の先生から事情を聞かれたが、
森田の名前や男子生徒の名前は、
言わなかった。
先生達も、あまり警察沙汰にしたくなかったようで、好都合だったと思う。
由依は美織の頭を撫でながら、
「去年の春に私達が初めて会った時、
話せなかった内容がこーゆーことなのね。」
美織は静かに頷いた。
由依は少し考えて
「私が谷本くんと話してみるよ。」
ここまで読んでいただきありがとうございました。
引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。




