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記喪転我意 (きそうてんがい)―Lost Memory―  作者: Spumante Rock


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36話  境界の向こう側

いつも読んでいただきありがとうございます。

美織が帰宅すると、

愛と一緒に戸陽高校の制服を着た、

綺麗な顔立ちの女性が立っていた。


「お姉ちゃん!お帰りなさい。」

愛が声を掛けると、


齋藤が、

「あら、お姉さん?…」


「お姉ちゃん、寸くん怪我して病院に行っちゃったから、齋藤さんがウチまで送ってくれたんだよ。」


「えっ、谷本くんは大丈夫なの?」


「お姉さんですか?はじめまして!

〝齋藤あかり”と言います。」


「谷本くんは多分捻挫で、しばらくは安静にしなくちゃいけないと思います。」


「病院でレントゲン写真を撮って、

骨に異常がない事を祈りましょう。」


「あっ、すみません!私、愛の姉で、伊東美織と言います…愛を送っていただきありがとうございました。」


「全然、お陰でちょっと早く帰れました。」

と、笑った。

「じゃあね!愛ちゃん」

そう言って、帰って行った。


「かわいい人だね…」と、美織が愛に呟いた。


「寸くんの彼女だよ…」と、愛が言うと、

美織は、

「えっ!」って、振り向いた。


「嘘〜、マネージャーさんだよ。」

「なんで、お姉ちゃんが焦ってるのよ…」


「焦ってない!!」


美織が谷本の事を好きなんじゃないかと、

愛も気が付きはじめていた。


愛が初めて谷本に会った頃の、美織の雰囲気とは、明らかに変わっていたから…


---谷本は各務台病院にいた---


「レントゲンの結果、骨には異常が無さそうです。ただ靭帯損傷と炎症がありますから、1ヶ月くらいはハードな運動はできません。」


「その後リハビリも必要になります。」


バレー部顧問のつつみ先生が、

谷本を慰めるように、

「そうですか…今回は残念だけど、後はチームの皆んなに任せよう。」


「明日の初戦に勝てば、決勝

負けたら3位決定戦だ。」


谷本は明日の試合より、

置いてきてしまった、愛の事が気がかりだった。


「先生ありがとうございました。

あとは自分で帰るんで、帰って下さい。」


「馬鹿野郎!そんな松葉杖の部員を置いて帰ったら…いろいろ問題だろ!」

「イヤ…、ちょっと病院に友達が入院してて、

お見舞いに行きたいんですが…」


「かまわないよ、行ってこい!

ここで待っててやるから。

面会時間は後30分だ、

ギリギリまでゆっくりしてきていいぞ。」


堤はそう言って、椅子に腰を下ろした。


「ありがとうございます!行ってきます。」

そう言って、

血液内科病棟-無菌室クリーンルームに向かった。


ナースセンター前で、

前に無菌室に入る説明を受けた、

看護師さんが見えた。


谷本は静かに頭を下げた。

看護師さんも谷本に気づいて、

近寄ってきてくれた。

「美津子ちゃんの…友達よね?」


「あっ、ハイ」


「どうしたの、足?…痛々しいわね。」


「今日、バレーボールの試合中に怪我してしまって、さっきまでレントゲン撮ってました。」


「あら、そうなの…安静にしなくちゃダメだよ。」


「美津子ちゃんよね…、今は面会出来ないの…」


「どうしたんですか?」

心配そうに谷本が訪ねると、


「今は落ち着いてる…でも、意識が戻らないの…」


「だ…大丈夫なんですか?」


「今週月曜日に倒れて、 心肺停止、

突然意識を失って…

そこからは、何とか蘇生に成功したけど…」


「信じるしかないわ。…きっとまた回復する」


看護師さんは、優しく笑った…


「ありがとうございました…また来ます。」


---- 待合ロビー ----


「先生!、先生!!…」

「あゝ、…谷本か…早かったな」


「すみません、お待たせしてしまって」


「じゃあ、行こうか。」

「ハイ、お願いします。」


「谷本、足は痛くないんか?」

「痛いですよ、しっかり痛いです。」


「なんか元気そうだからよ〜」


「元気ですよ、意識が無いより全然マシです。」

ここまで読んでいただきありがとうございました。


引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。

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