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記喪転我意 (きそうてんがい)―Lost Memory―  作者: Spumante Rock


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30/49

30話  美織の過去(前編)

いつも読んでいただきありがとうございます。

「私、谷本くんに嘘をついてた、」

谷本が一瞬不安な顔をした。 


「えっ…」想像と違う言葉に不安が顔に出たと谷本は気付いた。


「私、谷本くんと話した事あるよ。」

「記憶に無いって言ったけど、あれは嘘」

そう言って、谷本を見た。


「それは、クラスメイトなら喋る事だってあるよ、どんな関係だったの?」


美織は少し下を向いて、

「仲が良かったわけじゃないの、ただ…」


美織は少し考えて、話題を変えた…

「谷本くんとは小学校6年の時に同じクラスだったの、」


そう言って、1枚の写真を谷本に差し出した。

写真には美織と谷本が楽しそうに笑う写真。


「えっ…これ、僕と伊東さん?だよね…」

小学6年生の自分と美織が笑う写真。


「これは小学校の謝恩会の時の写真で、私達は席が向かい合わせだったの、だから1番2人が目立った位置で写ってる」


「へ〜、こんな写真あったんだ…、僕も記憶を無くしてから、昔のアルバムは結構見たけど、この写真は初めて見るな〜」


「そりぁ初めてだよ、この写真撮ったのお母さんだもん。」


「え〜、そうなんだ…じゃあ、お母さんは僕のこと知ってた感じ?」


美織は頷いた。

「小学校の時、私…谷本くんの事が好きで、

お母さんに頼んで撮ってもらったの。」


谷本は顔を真っ赤にした。

「そうなんだ、嬉しいよ…ホントに」


美織は少し涙ぐんで、

「でも、結局谷本くんに気持ちを伝える事は出来なかった、」

「それどころか、意識してしまうと近寄れなくて、ほとんど話すことも無く中学時代も終わるはずだった。」


谷本が、不思議そうに美織を見た。

「谷本くんは中学の卒業式、まったく記憶が無いよね?…」

美織が真剣に谷本の顔を見て言った。


「ごめん…まったく記憶に無いんだ。」


「ここから先は、谷本くんの記憶に無い、谷本くんの話しにもなるんだけど、最後まで聞いて欲しい。」


「谷本くんは当時、優しかったんだけど今とは雰囲気が違って、もう少し子供っぽい性格だったと思う。」


「だから私も怖くなってしまって、鮎ちゃんのことはこないだ聞いたばかりだったけど、谷本くんが誰かを拒否したって、噂を聞いたの。」


「そしたら、私も拒否されるんだと、怖くなってしまって、出来るだけ近づかないように意識してしまって、結局話せず終わったの…」


「それが中学の卒業式が終わった帰りぎわ、谷本くんが私の所に来たの、」


「え?僕が…?」

谷本は知らない自分の行動に完全に頭が着いて来ない為、混乱していた。


美織は少し、呼吸を整えて話しを続けた。


「伊東さん少し時間ある?…

喜田きたくんが話したいらしく来てもらえる?」

そう言って来たの。


「喜田くんって誰だ?」谷本は記憶になかった。

「同級生なんだけどね、ちょっと怖い感じの…」


「覚えて無いよね、、」


「私、谷本くんと話しができて嬉しくなってしまって、喜田くんの居る教室までの道のり、谷本くんと少し話しをしたの、」

美織は静かに、微笑んだ。


「覚えて無いよね?」


「ごめん、記憶が無いだ。」

谷本は少し美織の話しが怖くなっていた。


「そうよね、仕方ない記憶喪失なんだもん」


「その時に、小学校の時に謝恩会で席が近かった事を覚えてるか聞いたの?私は楽しかったから…」


「忘れちゃってた?…その時の僕は?」


美織は、谷本の目を見て、

「谷本くん、覚えてたよ…その時の事。

それで、あの時は楽しかったって言ってくれたの…」美織の目から、大粒の涙が流れた。


谷本は

「ごめん、全部忘れてしまって…」


「…」美織は少し間を空けて話しだした。


「その後…」 美織が静かに話し始めた…

ここまで読んでいただきありがとうございました。

丁度、物語の半分まできました。

全60話

後半はいよいよ、

記憶の謎が少しずつ、結び付いて行きます。


引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。

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