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記喪転我意 (きそうてんがい)―Lost Memory―  作者: Spumante Rock


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27話  由依の観察眼

いつも読んでいただきありがとうございます。


図書館のカフェで過ごす、

四人の時間…

何気ない会話の中にも、

それぞれの想いが少しずつ滲み出していきます。

今回は、由依の“観察眼”と美織の立ち回りにご注目ください。

図書館内にあるカフェレストランに来た4人、

4人はカウンターで注文して、

席に着いた、料理が出来るとブザーが鳴る仕組みの様だ。


愛の隣に谷本が座り、

美織は愛の向かいの席に座った。


早速、由依が谷本に話しかける

「谷本くんは美織とは昔から仲良かったの?」


「小学校と中学校が一緒なんだけど、記憶がなくって、、」

「記憶に無い関係が、高校になってどうしたら、一緒に図書館来る仲になれるのよ?」


美織が口を挟んだ

「話せば長くなるから、真面目に答えなくていいよ、」

由依は美織を観察するように眺めて、

「何よ、人には言えない秘密が沢山ある…みたいな言い方して〜」


美織はそんな事ないと、言い掛けた声が小さくなった…


由依は聞いちゃいけなかったかと、

美織の慌てる様子を見て話題を変えた。

「愛ちゃんは何年生?」と、愛に話しかけた。


「6年生だよ」

「そうかー、学校楽しい?」


「普通〜。」


「そう!正常な感覚だよ、楽しいとか言われたらどーしようかと思った、」そう言って笑った。


4人は結構長くカフェで話しをした。

谷本にとっては、普段の美織の学校生活が聞けて少し理解が深まった。


美織と愛も、由依が谷本の事をいろいろ聞くから、谷本に弟がいて中学で野球部のキャプテンしてるとか、普段知らない家族の話しが聞けて楽しかった。


「そろそろ戻ろうか?せっかく図書館きて、こんな所で話ししててもね、」

そう言って由依が立ち上がった。

「ありがとね、3人の時間邪魔しちゃったね」

「最後に谷本くんの描いた絵見せてよ。」


「あぁ、いいよ」と言って、

スケッチブックを渡した。

「へ〜、上手だね、凄〜い」とペラペラとスケッチブックをめくりながら、

「なるほどねー」と、美織の絵を見て微笑んだ、


由依が、美織に視線を向けると、

恥ずかしそうにコチラを見る美織が妙に可愛く見えた。


由依が、スケッチブックを捲るのを止めて

眉を顰めながら、

「谷本くん、コチラ元彼女?」と、

スケッチブックのしのぶの絵をコチラに向けた。

愛は「元彼女?!」と、絵を凝視した。


谷本は笑いながら、

「違うよ、後輩なんだけどゴールデンウィークの初日に偶然会って、モデルしてくれるって言うから何枚か描かせてもらったんだ。」


由依が、谷本の目を見て、

「…嘘ではないみたいだね、信じる!」

そう言って美織を見ながら

「だって。」


美織はチラッと愛を見て、

「もういいでしょ!」と、由依からスケッチブックを取り上げて、谷本に渡した。


4人は席を立って、

図書室で思い思いに過ごした。


同じ空間にいるのに、言葉は少なく、

紙の擦れる音だけが聞こえていた。


夕方少し早い時間に、

由依はもう一つ行く所があるからと、

先に帰り支度をはじめた。


美織の所に来て、

「アンタさ〜、さっきの絵の事知ってた?」

由依が美織に問いかけた。

「知ってたけど…誰かは聞けなかった。」

由依は微笑んで

「やっぱり、私とは感覚が違うな!」

不思議そうな美織。


「あの絵、もう一度良く見せてもらえば」

「あきらかに美織の絵の方が、線が多いし繊細なタッチだったから。」


「まさかアレ見て、ヤキモチ焼いてたりしないよね?…」


「大丈夫だよ。間違いなくアンタに惚れてる。」

ここまで読んでいただきありがとうございます。


言葉が少なくなる時間ほど、

想いは深くなるものです。


図書館を舞台に

四人の関係が少しだけ揺れた回でした。


引き続き見守っていただけたら嬉しいです。

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