24話 愛の芽生え
いつも読んでいただきありがとうございます。
相談の問いに対して谷本は、
「お店着いたら話すよ」と、
美織の手を引いた。
店に着いて、パンケーキをオーダーした所で、
谷本から話し出した。
「相談なんだけど、愛ちゃんの事だよ、
この間ウチの高校に来たでしょ。」
美織は申し訳なさそうに
「ごめんね、迷惑かけてしまって」
と、頭を下げた。
「それは良いんだ、気にしなくて。」
「変な意味では無く、愛ちゃんは僕に対して恋愛感情が芽生えてるんじゃ無いかと思って…」
「多分、一時的な感情だと思うから藤田さんの時みたいに否定も出来ないし、肯定も出来ないと思ってて、伊東さんに愛ちゃんとの接し方を相談したかったんだ。」
美織は優しく微笑んで
「愛は谷本くんの事が大好き!それは間違いないと思う、確かに一時的な感情かも知れないけど、見て見ぬふりは出来ないよね」
「僕だって、愛ちゃんは大好きだよ。
ただ、恋愛感情では無いと理解してる。」
「かと言って、無理とか大好きだと言った所で、今の関係性を壊してしまいそうだから、どうするのが良いか相談したかった。」
「愛の事、真剣に考えてくれてありがとうね、」
二人はしばらく、愛について話し合った。
二人の共通の課題が出来た事で、
谷本と美織の距離が縮まる事になった。
パンケーキ屋を出て最後は、
図書館に向かった。
図書館は私語があまり出来ないが、
谷本は美織の絵を描いて過ごし、美織は好きな本を読んだり、借りる本を選んでいた。
谷本は美織との時間が、心地よく感じていた。
夕方17時に、閉館の時間に図書館を出て
図書館前駅に向かって歩いた。
谷本と美織の距離が、近づいた事は周囲からはわからないが、2人にしかわからない親近感と距離感が芽生えていた。
図書館前駅から、戸陽高校前の駅までの約30分だったが、谷本は電車の席に座った瞬間、
寝落ちしてしまった…。
「谷本くんもう着くよ。」
美織が呼ぶ声で谷本は目を覚ました。
「ごめん!寝ちゃってた。」
慌てて目を覚ました。
「そりゃあ、徹夜明けならそうなるよ。」
と、美織が微笑んで、「さあ、降りるよ」と、
立ち上がった。
今度は美織が、
谷本の手を引いて2人は電車を降りた。
2人は暗くなった夜道を並んで歩いた。
一言も会話が無く歩き、
美織の右手は谷本の左手を握りしめていた。
いつも歩く歩道は、
ぼんやりとした、光の街灯を潜りながら、
時々通り過ぎる車のヘッドライトが、
二人の影を長くしていた。
二人はお互いを意識していたが、
楽しかった1日が過ぎてしまう寂しさを
無言で押し殺していた。
谷本は美織を見ると、静かに歩いていて
目が合う事はなかった。
何か締め付けるような感情が、
もうすぐ美織の家に着いてしまう事実が
心臓を早く動かしていた。
美織は谷本を横目で見ながら、
直視できない不思議な感情と戦っていた、
次の瞬間、意識より先に行動していた。
美織は静かに、谷本の手を引き寄せ、
振り向いた谷本にキスをした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
引き続き次回もお楽しみ、いただけると幸いです。




