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第2話  再生される記憶

本話は、高校生活の始まりと

主人公の内面を中心に描いています

高校入学


谷本は幼い頃から絵を描くことが好きで、

戸陽高校のデザイン科に進学していた。


推薦入学だったのも、その才能が評価されたからだ。


何より、自宅から高校まで徒歩5分

通学の不安は一切なかった。


毎朝、

永野、野村、八戸の三人が迎えに来てくれていた。

事故の後で、心配をかけていたのだろう。


専攻学科は違い、クラスも別だったが、

バレーボール部の見学には一緒に行く約束をしていた。


部活見学が始まり、

同級生たちは思い思いに体験入部や見学を楽しんでいた。


谷本も、中学時代に打ち込んでいたバレーボール部を見学


戸陽高校は公立校で、運動部が特別強いわけではなかったが、どの部も真面目に活動している印象だった。


中学時代は地区大会の準決勝まで進んだこともあり、高校でもそこそこの成績までは行けると確信していた。


ただ、中学時代の部活は全力を出し切った感覚はなかった。

当時のメンバーが四人揃っていることもあり、

普通なら気楽に行けそうだが、はじめて会う感覚が正直ぎこちない。


それでも、

記憶がないこと自体は、

高校生活に大きな支障はなかった。


だが、喪失感からは逃れられなかった。

何かしていないと、不安に押しつぶされそうになる時もある。


特に、藤田鮎子と東堂美津子の記憶

自分がどれほど最低な人間だったかを突きつける記憶が、

反省と後悔となって脳裏にこびりついていた。


身体を動かしていれば、忘れられる。

疲れていれば、すぐに眠れる。


そう信じて、

学校から帰ると毎日1.5時間、15〜20キロのランニングを続けていた。

階段を駆け上がるなど、敢えてきつい負荷を選ぶことで、

後ろめたい感情が消える気がしていた。



高校に入学してから約1年、

特に何事もなく、高校生活に慣れてきた頃、


谷本寸にとって、転換期が訪れた。


事故から約一年

いつものようにランニングに出た春の夕方。


春風が涼しく、心地よかった。


5キロほど走ったところで、

制服姿の女子高生とすれ違った。


!?っは!

心拍数が一気に跳ね上がる。


反射的に振り返り、声が出ていた。


「伊東さん」

彼女も立ち止まり、こちらを見た。


躊躇しながらも、谷本は言葉を絞り出す。

「伊東美織さん……ですよね?」


少しの沈黙のあと、彼女は答えた。

「うん。谷本くん……だよね?」


約1年振りの再会のはずだった。

ただ、

谷本寸にとっては、

残った記憶が毎日のように蘇り、

打ち消してきた存在との再会はあまりに突然だった。



第二話 再生される記憶 完

忘れようとしても、

体が先に覚えている事がある。

伊東美織との再会が物語の始まりです。

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