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記喪転我意 (きそうてんがい)―Lost Memory―  作者: Spumante Rock


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15/51

第15話  おばあちゃんと過ごした日

誰かの「家」に招かれるというのは、

その人の日常に、少し踏み込むこと。


この話では、

谷本の生活の一部――

家族、部屋、そして“おばあちゃん”という存在が描かれます。


特別な出来事はなくても、

静かで、あたたかい一日です。

ゴールデンウィーク4日目

今日は伊東さんが、愛ちゃんを連れて家に来る。


それまでに、部屋を出来るだけ綺麗にしなくちゃいけない…

画材は出しっぱだし、やっぱり男の部屋って

綺麗じゃ無いよな〜。


ばあちゃん居るけど、

1階のリビングに絵を持って行って見せよう。


お茶菓子的なモノはどうする、

母さんには女の子が来るとは言えないまま、

パートに出て行った。


初めて過ぎる状況に、かなり焦っていた。

居場所に困ったら、

どっか行くか、、とても時間が持たないだろうから、

とりあえずばあちゃんに、

友達が来る事を説明しよう。


「ばあちゃん!今日友達来る事になったから、

リビング借りても良い?」


ばあちゃんは、去年脳梗塞で倒れて

少しボケが入った。


「ええよー、おばあちゃんは部屋で大人しくしてるから。」

いつに無くばあちゃんが素直だった。


午後13時

伊東さんと愛ちゃんが尋ねて来た。

「こんにちは〜、おじゃましまーす」

「いらっしゃい、上がってー」

と、言うと

後からばあちゃんが、

「あら、女の子かいね、かわいいねー」


美織と愛ちゃんは、

「おじゃましまーす、寸くんの中学の同級生の伊東美織です。」

「妹の愛です。」

と、挨拶した。


ばあちゃんは笑顔で、

「よく来たねー、どうぞこちらへ」と、

リビングに招待した。


美織が

「これ、お母さんが持ってけって、」

と、ラングドシャのお菓子をくれた。


谷本はお菓子を受け取って笑った

「ありがとう、こちらへ座って」

美織と愛が座ると、

ばあちゃんが、

お茶を入れて来て美織と愛に差し出した。


谷本が「ありがとう、ばあちゃん」

と、言うとばあちゃんが隣りに座った。


「ちょっとばあちゃん」

ばあちゃんは美織と愛と話し出して止まらない…

「かわいいね~、お嬢ちゃん何年生だい?」

「6年生です!!」

美織と愛ちゃんがばあちゃんと会話しているので、

谷本は

「ちょっと、絵を持って来るから」

そう言って、2階の自分の部屋に絵を取りに行った。


谷本が絵を持ってきた時には、

3人は楽しそうに笑っていた、

「持ってきたよ」

そう言って、キャンパスを愛に渡した。


「絵をプレゼントする約束だったよね?

 これあげる」


それは水族館で描いた愛の顔とペンギン、魚やクラゲの絵、

「リキテックスって絵の具で描いたんだ、」

嬉しそうに愛が絵を受け取ってくれた。


「ありがとう」

美織も嬉しそうに、

「谷本くんありがとう!」と、言って笑った。


ばあちゃんが

「美織ちゃんの絵は無いんかい?」

美織が恥ずかしそうに、

「私は頼んでなかったから、、いいんですよ」


谷本は

「出来れば、伊東さんの絵も描いていいかな?」

「ばあちゃんが言う通り、

描こうと思ったけど、イヤかもしれないなって、一応許可貰えたら嬉しい。」


美織はニッコリ微笑んで、

「もちろん!」と頷いた。


それから、ばあちゃんと4人で長く話し

夕方になって、そろそろ帰りの時間が近づいた頃、

愛が谷本の部屋が見たいと言いだした。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


第15話は、

大きな展開よりも

「空気感」を大切にした回になりました。


おばあちゃんの自然な距離感。

家というプライベートな空間。

そこに溶け込んでいく美織と愛。


谷本にとっては当たり前の日常でも、

誰かが入ることで、

その日常が少しだけ特別なものになります。


また、

“絵を描く”という行為が

誰かを喜ばせるだけでなく、

関係をつないでいく役割を持っていることも

静かに描いています。


穏やかで、優しい時間の裏で、

少しずつ感情は動き続けています。


次話では、

その「穏やかさ」の中に

小さな違和感が入り込んできます。


引き続き、

物語を見守っていただけると嬉しいです。

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