脳波変換電子機器
「ふぁー、やっと終わった、、」
なんとか頼まれていたプレゼンを作ることができた。前に頼まれていた案件を優先して夕方までに終わらせてからプレゼン制作に取り掛かったから予想以上に時間がかかってしまった。
「はー、疲れた。でも今日の本命はここからださっさと家に帰って白紙の年代記をプレイするぞーー!!」
時間を確認するためにふと腕に巻かれている黒が貴重の安っぽい電子式腕時計を確認する。予定では遅くても22時ごろまでには仕事が終わると踏んでいたのだが、残酷でも時刻は日を跨いでいる。急いでも今からじゃ終電に間に合わないだろう。
……なんでこんな日に限って仕事量が多いんだよ、あの課長、、
身のうちから溢れる怒りを抑えつつ横に立てかけてある黒色のバッグに机の上に散乱している資料を乱雑に押し込みエントランスを出る。
ふと見上げると高層ビルなどがひしめき合いそこから漏れ出る光が綺麗な夜景を作り出している。この眺めをかわいい彼女と高級なレストランなんかから見れたらどんなに幸せだろうか。
はやる気持ちを抑えて早歩きを心がけながら走る勢いで家へ足を進める。周りから見たらほぼ走ってるのと変わらない速度だろうがそれだけ焦っているということだ。家から会社までは電車を乗り継いで10分程度の距離だ。歩きだと1時間ぐらいで着くだろうか。何故タクシーを使わないのかという疑問が湧くだろうがこれには深いわけがある。それは脳波変換電子機器と白紙の年代記のカセットを買うために全財産使い切ってしまっているからだ。元々、脳波変換電子機器自体は少し前から主流なゲーム機器ではあったが特に興味をそそられる様なゲームタイトルが搭載され出なかったこともあり触れてこなかった。しかし、白紙の年代記が脳波変換電子機器史上初のVRmmorpgとして出ると知って無類のmmo好きとしては流石にやらざる得なくなり、気づけば衝動買いしてしまっていたというわけだ。
微かに感じる後悔のようなものを胸の奥へとしまい、今この瞬間の高揚へと身を委ね暗闇の中を駆け抜ける。




