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第5話 冒険者ギルド

次の日、服飾店に入ると中年の女性が出迎えてくれた。




「あの、この子が着てるような大きめのローブが欲しいんですが」


俺は隣のシュカを指さして店主に言う。




「まあ!素敵な殿方…!ちょっと待ってねー級品があるのよ。あなたには特別に安くで売ってあげる!」


出た、またこのバターン。


言うまでもなく店主の目は赤く光る。


シュカが何も気づいてないということはどうやら光るのを認識できるのは俺だけで間違いなさそうだ。




「レイ様!私はレイ様とお揃いの部屋着を見てますね!ふんふん〜」


「お揃い?ああ」


別にお揃いじゃなくてもと思いはしたが、はしゃいで鼻歌まで歌うシュカに何も言えなかった。




「お待たせしました〜」


店主が丁寧に持ってきたのは大きめの真っ黒のローブ。ツヤツヤで生地がいいのが目に見えてわかる。




「こちらシルクスパイダーの糸から作った一級品で、魔力が施されているため魔力、気配、オーラさえも半減する効果があるんです!」


着てみてください、と勧められ言われた通りに袖を通す。




「軽いな」


着ている感覚がしないほど軽い。


フードをかぶると顔が半分くらい隠れ、これで変に注目もされなさそうだ。これはいい。




「レイ様!ほんとにレイ様ですか!?」


部屋着を見ていたはずのシュカが驚いた顔で俺に近づく。




「ああ、どうだ?」


「レイ様のしいお姿が隠れて全く見えません!ダメです!店員さん、もっとレイ様の気高いオーラを強調するようなローブを!」


よし、これで決まった。




「そ、そうよね!こんな美貌、完全に隠すなんてもったいないわね!この真っ赤な…「これください」


シュカは店主と一緒に「そんなあ」と駄々をこねている。


隠すために買うんだっつーの。




「そういえば、部屋着決まったのか?」


「はい!これはどうでしょう?」


シュカが手に持っていたのは、バスロープより露出の多いワンピース型の部屋着だった。




「却下」


露出面積増やしてどうすんだ。


「そんな!でもこれだとレイ様に私の体を一番見てもらえるんですよ!?」


「見せなくていいんだよ!これも一緒にください」


俺はそばにあった長袖長ズボンの動きやすそうな部屋着を2着分取って店主に渡した。




本当に安くで買わせてくれたローブを着て、俺たちは店を出る。


「露出できないのは残念ですが、レイ様とお揃いの部屋着が買えてシュカ満足です」


「ああ、よかったな」


ニコニコのシュカと一緒にこの街の冒険者ギルドに向かう。




それにしてもこのローブを着てから本当に人から見られなくなった。


すごいな。こんなにすぐ効果が出るとは…


できるだけ静かに暮らしたい俺からしたらぴったりだ。


そして俺たちは、街の真ん中にある冒険者ギルドに到着した。




「こんにちは。冒険者ギルドにようこそ!」


扉を開けてまっすぐ進むと、受付で感じのいい女性が俺たちを迎え入れてくれた。




「あの、冒険者登録したいのですが」


「登録ですね!登録には3000エメルかかりますが、よろしいですか?」


3000エメルか、結構するな。


まあでもその分稼げば十分元は取れそうだ。




「大丈夫です。」


「ありがとうございます、お預かりします!登録はお一人でよろしいですか?」


「はい、連れは別の国でギルド登録したことがあるそうなので」


「そうなんですね!念のため、ギルドカードを見せていただけますか?」


シュカはポケットからギルドカードを出し、女性に見せる。




「あ、これ期限がきれてますので更新が必要ですね」


「「更新??」」


「はい、ギルドカードは1年更新となっておりますので、1年ごとに更新料の1000エメルを頂いております。更新いただけないと依頼は受けることができないため、更新されたほうがよろしいかと、」


シュカはぽかんと口を開けている。


あ、これ知らなかったな。




「更新でお願いします」


俺は受付の女性に追加で1000エメルを渡した。




「うう、すみませんレイ様…」


「気にすんな、その分稼げばいいだろ」


「ありがとうございます!これで更新は完了しました!登録ですが、お名前と年齢をこちらの紙に書いていただけますか?」


俺は出された紙に、レイ 15歳と記入する。




「レイ様ですね!では、こちらの魔道具でお姿をギルド内で保管いたしますので、そのフードを下ろしてもらってよろしいでしょうか?」


女性はカメラのようなものを持っている。


ようは写真ってことか。




「あの、このままじゃだめでしょうか?」


「すみません、お顔を出していただく規則でして」


…嫌な予感がする。


まあでもしょうがないか、俺は渋々フードを下す。




「こっち見てください!いきまーす!」


"カシャッ”という音と同時に女性は見事にカメラを持ったまま固まる。




「あの、もういいですか?」


「…あ、はい…すみません///」


俺はもう一度フードを深くかぶる。




この能力、女性に対しては、俺の都合のいいようにって感じではないんだよな。


別に誰に対しても惚れられたいと思ってるわけじゃないし。


女性に関しては能力ではなくやっぱ俺がイケメンだから?


自分で言うのもなんだが。




「お待たせしました!これがレイ様のギルドカードです!」渡されたカードは銅のような材質でできてるみたいだった。結構よくできているな。




「最初はFランクからのスタートなので、Fランクのみの依頼を受けてください。依頼を受けるごとにポイントが溜まり、ポイントが一定数たまるとランクがあがり、より報酬が高い高難度の依頼を受けることができるようになります!


依頼は本日より受けることができますので、頑張ってくださいね」


「ありがとうございます」


「私はソフィアといいます。レイ様の担当は今後私になりますので、何かわからないことがあればなんでも聞いてくださいね?」


俺の手を取り、キラキラした目でそう言うソフィアさん。




「レイ様のお付きは私ですので、私が、お伺いしますね?ソフィアさん」


横から俺とソフィアさんの手を引きはがすシュカ。


うわーすでにバチバチ。




「シュカ、やめろ。これからよろしくお願いします。」


こうして俺たちは無事?に冒険者ギルドに登録できたのだった。

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