少年、課金してみる
小さな頃、部屋の隅にある小窓から騎士たちの訓練をよく見ていた。
一振り一振りが洗練されていて、自分も将来はあんな風になるんだと思っていた。
第六王子と言うことから、王位継承権は皆無に等しく、騎士になることを義務付けられていた。
別段頭がいいわけでもなく、まぁ仕方ないなという感じだった。
しかし事件が起こったのは15歳のスキル授与式でのことだ。
父上や母上、そして兄弟達からは熱望の眼差しを向けられていた。
それもそのはず、当時の俺はというと、1を聞き10を理解するという超天才っぷり
それに加えて、基本的センスで言えば数十人を率いる小隊長クラスである。
そのためスキルは剣聖や剣豪、はたまた剣神か。
そう思われていたのである。
いよいよ始まるスキル授与式。
そうして張り詰めた空気は更に張り詰めていった。
俺も俺で、やっとこの日がきた。
最強への一歩を今日進むんだ。
そう信じて疑わなかった。
大きな水晶が眩い光を解き放つ。
この時に発せられる色や光の強さ、そういったものでスキルはランク付けされるのだ。
が、しかし。
その場にいた者は全員が目を点とさせ、更には口をポカンと開けている。
俺にもなにが何だか分からなかった。
なぜならそこには、何色と表現すればいいのか分からない色があったからだ。
正しいかどうかは分からないが、あえて色を表すなら
そうレインボーだ。
水をまいたり空に見えたりする虹の色、それが一番いい表現と言えるだろう。
俺は期待した。
これは間違いなくEX級をも超越した何かだろうと。
そう期待に満ち溢れた目を大司祭に向けていると、司祭がやっと口を開いた。
いよいよスキル名を言うのだ。
大司祭はコホンと咳払い。
『シンフォン第六王子のスキルは――――』
その場にいる皆は司祭へと注目する。
はやく次の第一声を!
大司祭はもったいぶるというか何というか兎に角難しい表情をしていた。
するとやっと、その重たい口を開くのだった。
『”課金”です』
なんだそれは?
この場にいた全員がそう思ったのは言うまでもないだろう。
更に大司祭はこう続けた。
『女神様曰く、このスキルの使い方は秘密だよ♡んふ だそうです』
【えぇ!!!!!!!】
もう神様ってなんですかね、そうおもったスキル授与式であった。
そして現在、俺は最弱王子の烙印を押されているわけだ。
めでたしめでたし。
てなるわけねぇだろうがっての。
なにせ俺は、ここが日本と言われていた時代の古代の文献を見つけてしまったのだから。
【課金】
[名] (スル) 支払を課すること。料金、費用を引き受けさせること。「通信料が課金される」
[補説]近年、「今月はオンラインゲームに課金しすぎた」のように、料金などを支払う意で用いられることがある。
なるほど、つまりこーゆことか。
俺は財布から1280円を取り出した。
(何となくそれだけでいい気がしたのだ)
そして何となくスキル名を唱えてみる。
「課金はつどー」
テッテレー
【シンフォンがVIP専用機能を解放しました♪】
高校生の頃に一話だけ書いてるのあったので久しぶりに投稿してみました!今は21で学生してます笑
続きがきになるーって方は評価お願いします!