表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

野球エッセイ

プロ野球の「問題な移籍事情」

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は日本プロ野球の「移籍」について個人的な考えを述べていこうと思います。



◇ポスティング制度の問題



質問者:

 22年度と24年度に話題になった移籍は、

 22年度に有原選手が24年度に上沢選手が日本ハムさんから海外ポスティングで移籍した後に、すぐに日本に帰ってきたことから日本ハムさんが「大損」したことですよね……。



筆者:

 この問題は「システムの欠陥」があると言わざるを得ません。


 ポスティングというのは海外移籍を選手が希望した際に「球団が承認して」海外FA権獲得前に所属選手の移籍を認める制度です。


※海外FAは入団からの一軍登録日数が通算で8年分に相当する日数を満たすと得られる選手の移籍権利のことです。


 つまり球団側のある種の「漢気」みたいなもので成り立っているわけです。

 

 特に入札金額が少なければ単純なFA宣言よりも少ない金額しか入ってきません。

 チーム成績や球団経営を考えれば、普通にFAまでいてくれた方が良いことが多いのです。


 そして有原選手と上沢選手の移籍の時に起きた問題としては、


 メジャーで結果を残せなかったにもかかわらず、短期間で日本に帰国して年俸が上昇

 譲渡金が安く人的補償が無く、日本ハム球団側の利益が少なかったことです。



※この移籍は「有原式FA」とネットでは呼ばれているものの、有原投手の移籍直前の年棒推定1億4500万円で譲渡金1億5000万円とFAでの金銭補償のみ(旧年棒×0.8)の金額より多く貰えています。

 対して上沢投手は移籍直前の年棒推定1億7000万円で譲渡金僅か92万円と言う極端すぎるほど落差がある状況でした。




質問者:

 確かに「漢気」でFA権より前に移籍を認めて利益が少なかったらコメントを失いますよね……。


 どちらの選手も獲得したのがソフトバンクさんですからなおさら……。



筆者:

 ただ、選手側を責めないでいただきたいんです。


 選手側としては待遇・条件が良いところに移籍したいという気持ちは当たり前にあるので「札束攻勢」をかけられたら靡いて(なびいて)しまうのも仕方ないと思います。


 問題なのはこの状況を許している「制度」であり、「エゲツナイ」とは思いますがソフトバンク球団のせいでも無いです。



質問者:

 いわゆる政治家の方々が使っている「違法ではない」と言う奴ですね。

制度的には問題は無いものの倫理的には怪しいのではないか? と言う話ですね……。


 どうしたらいいんでしょうか?



筆者:

 まず、「海外FA権取得内で日本に帰国(日本1軍登録日数とメジャー登録日数の合計で判断)」の場合には旧所属球団が選手所有権を持つことが必要だと思います。

 国内FA権を持っている場合には再度その旧所属球団からFA宣言をすることになります。


 この制度を有原投手に適用した場合日本ハムで6シーズン、レンジャーズで2シーズンプレイした後にソフトバンクに移籍なのでまだ日本ハムが所有権を持つことになります。


 上沢投手の場合、日本で9シーズン、メジャー1シーズンですが、アメリカでは2試合登板に留まっていますのでメジャー登録日数を加えてもまだ足りていないと思います。

 このケースも日本ハムが選手の所有権を持ってもおかしくは無いと思います。



質問者:

 海外FA内の移籍ならポスティングを認めていなければ、国内球団が保有していてもおかしくないわけですからね……。


 逆に期間が経ち過ぎて保有しているのも問題がありそうですからね……。

 


筆者:

 活躍しているのにポスティングを認めないのであれば、

 良い選手がドラフトで選ばれた時点で「入団拒否」する状況になります。

 そのために球団側としては、ある程度の活躍をすれば認めるしかないでしょう。


 今の状況では良い選手を持っていた球団が「漢気」で損をする可能性がある制度になってしまっていますね。



◇「国内FA」の問題点



質問者:

 今年は巨人さんが凄く補強に積極的だった印象がありました。


 あれほどの補強をしても規制は無いのでしょうか?



筆者:

 現状の制度においてはFA宣言をした選手の規制はBランク以上の年棒の選手2人までと言う規制しかありません。


 そのために、「FA選手でない」契約が切れて自由契約になったライデル・マルティネス選手と田中将大投手は共にその規制に該当しないのです。


※前球団の旧年俸順に1~3位をランクÅ、4~10位をランクB、11位以下をランクCとランク付けし、Cランクの選手には何の補償も必要が無いものになります。



質問者:

 そうなると、「札束攻勢」の前には無力なのでしょうか……。

 お金を投入できる巨人さんやソフトバンクさんばかりが補強して格差が広がっていくような……。



筆者:

 特に巨人に関してはFAで補強した甲斐選手の捕手枠には岸田選手や大城選手と言った選手が、ライデル選手のクローザー枠には大勢選手がいます。

 そのために「そこまで緊急性の無い場所」であることから「他のチームの戦力を削ぐため」とも言われていますね。


 このようなことを阻止するための方策としましてFA制度に改善を求めるのではなく、

 どちらかと言うと「総年俸」の方にフォーカスをした方が良いと思います。



質問者:

 どういうことなんでしょうか?



筆者:

 メジャーリーグにおいては、「贅沢税」と「閾値しきいち」と呼ばれる制度があります。


 これは総年棒が物価高によって毎年変動する閾値を超過した場合において罰金のペナルティとドラフト1巡目を10後回しにされるペナルティの2つが生じます(アメリカにおいては1巡目から基本的には勝率の低いチームからウェーバー制度)。


 日本の場合では2巡目が最後になると言った制度になるでしょうか?


 この罰金を野球振興のための費用などに活用することでこれからの野球界の発展にも寄与されます。



質問者:

 確かに、FAに制限を加えてしまうと問題ですからね……。

 獲得する側が罰金を払いたくないから、高額年俸になりやすいFA選手を取りにくくなるのは良いのかもしれませんね。



筆者:

 むしろ「FA宣言そのものはやりやすくする」方が良いと思います。


 アメリカにおいては権利を得た時点で自動的にFAになるために「宣言する」ことが無いのです。


 今の日本はFA宣言をすると「裏切者」とすら言われかねない状況なので言い出しにくい環境にあります。


 ただ、これは実力社会らしいアメリカの発想なので、自動的にFAになることは「守られない」と言う側面もありますから一長一短なのかなとも思いますね。

 

 FA宣言をして年棒が下がったケースも稀にはあるのでこればかりは実力で推し量るべきだとは思いますけどね。



◇「人的補償」の問題点



質問者:

 「FA宣言」の際にBランク以上の選手を獲得されると、

 放出した球団は「人的補償」又は金銭のみを選択することが出来るようですけど、この「人的補償」の際にも騒ぎになることがありますよね……。



筆者:

 これは主に「プロテクトをした以外の支配下選手から選ぶ」と言うところに問題があります。


 ドラフト指名されたばかりの新人選手、外国人選手、育成選手、そして移籍先の球団が選んだ28人の選手が対象外になります。


 ところが「育成選手」はほとんど無限に保有することが可能で、

 更に一度戦力外にして自由契約にした選手も含まれません。


「戦力外にした後に再契約にする密約」を結んだのではないか? と言う疑惑が

2018年オフには巨人の上原氏でこのことが問題としてありました。


18年10月29日 左膝の手術の影響で巨人が上原氏を戦力外


18年12月7日 西武に対して、12月12日、広島に対してプロテクトリストを送付


18年12月14日、上原氏と巨人が再契約。


 とあまりにもタイミングが良すぎたためです。



質問者:

 確かに戦力外にしてから2カ月弱の間で再契約ですからね……。

 これにはどう対策したらいいんでしょうか?



筆者

「育成契約」や「自由契約」が「悪用」されるケースがあります。


 プロテクト外であれば育成契約選手も指名することが出来るようにするのが1点、

「自由契約」の後の「再雇用」の規制をすることが大事だと思います。


 また育成契約がただの「怪我人のリハビリ枠」になっているので、それを阻止するために育成契約の年棒を最低年棒の440万円にしなくてはいけないと言った規制を作るべきかなと思います。



質問者:

 なるほど……。



筆者:

 また、この「プロテクトリスト」は表向きには公表されないので「密約」があって「プロテクト外選手を指名」しても「本人の意向」によって覆ったのではないか?


 と言う疑惑が持ち上がったのが2023年の山川選手移籍の際の去年引退した和田氏と

 2017年の大野奨太氏が移籍の際の岩瀬氏の時に問題になりました。


 どちらもスポーツ新聞が元の話なので話半分ですが、

 特に岩瀬氏については日ハムが「ファイターズとしてインパクトがあるリスト」とリストを受け取った 時に発表しておきながら「金銭補償のみ」と日程ギリギリで発表したことが理由の一つとしてあります。


 基本的には人的補償の指名を拒否できないのですが、岩瀬氏の場合は大ベテランであったために「引退をチラつかせて回避」した疑惑があったのです。



質問者:

 でも「リスト」が公開されない以上、真実は闇の中という事ですか……。



筆者:

 これは交渉事でもあり、相手チームの戦力の偏り次第でリストの内容が異なることもあって公開がしにくいのかもしれません。


 しかし「密室」で行われてしまうと「疑惑」や「憶測」が飛び交っても仕方の無いことだと思います。


 政治資金の透明性が必要であることと同じぐらい公明正大さが必要なことだと思います。

 特に巨人などが「制度の穴」を突いてきて他の球団を出し抜いてきた歴史があるので、その都度修正していく必要があるように思います。



質問者:

 人的補償制度そのものに不満がある方がいるそうですけど、他に方法があるんでしょうか?



筆者:

 世間で言われていることとしては人的補償制度を廃止して、

 「ドラフト2位以下の指名権」をそのチームから得るといった案などがあります。


 ただそうなると、Bランク以上のFA権所持者が移籍しにくくなると思うので反対したいところです。


 

◇移籍は「罪」なのか?



質問者:

 「移籍自由度」について筆者さんは重視されていますけど、

 長年活躍した選手が移籍してしまうと寂しくありませんか?



筆者:

 僕は移籍そのものが「罪」だとは思っていません。

 なぜなら、一般社会人が「同業他社に転職したい」と思うのと全く変わらないからです。


 年棒が元から高い選手についてはそれなりの貢献を球団に対してしたでしょうしね。


 球団経営としてはたまらないことですが、年棒が上がっていき適正な評価がなされて行っていることは良いことだと思います。


 年棒が上がることは「メジャー流出可能性」が下がることにも繋がると思いますしね。



質問者:

 なるほど……確かにメジャーリーグは年棒20億とかが当たり前みたいですからね……。



筆者:

 僕はチーム単位と選手単位2つの単位で応援することで、愉しみの幅を広げればいいのではないかな? と思います。


 西武ライオンズや広島東洋カープなど「流出王国」としてはかなり厳しい状況だと思いますけど、それだけ良い条件を出せずに、引き留め作戦に失敗しているという事ですからね。


 今年、贔屓チームに所属して頑張っている人ととりわけ応援している人の二本立てで応援することが適切な塩梅なのではないかと思いますね。



質問者:

 筆者さんは熱そうな一方で、結構ドライでもあるような気が……。



筆者:

 結局のところ“応援“や”推し“って相手が「本当の意味で応じてくれる」ことは無いので、プレイしている瞬間を一緒に愉しむのが一番なんだと思いますよ。


 何でも入れ込み過ぎるのが一番危険だと思うので、適度な塩梅をそれぞれ探すことが大事だと思いますね。


 という事で今回は日本プロ野球の移籍について個人的に問題だと思うことを挙げさせていただきました。


 稀に野球について語っていきますのでどうぞご覧ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ