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〇〇な子はかわいい  作者: 車男
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学校のアイドルはかわいい

 「続きまして、わが校の一押しバンド、”STARS”の皆さんによるステージです、どうぞ!」

とある高校の文化祭、僕は家から近いという理由で、少しだけ見に来ていた。いまは体育館で、部活動やクラスによるステージの出し物が催されている。特にこれといって見たいというものがあったわけではないけれど、高校生バンドってどんなものだろう、あのアニメと同じ感じなのかな、と気になって、体育館に並べられた椅子に座って待っていた。

 劇や映画の後に、トリとして出てきたバンドのメンバーは女子5人。ドラム、ベース、キーボード、ギター、そしてボーカル。拍手に包まれながら登場する中で、一番最後にステージに上がったボーカルの子に、僕はくぎ付けになった。メンバーはみんな学校の制服を着ていて、髪には、長めの子もショートの子もそれぞれ色違いのシュシュをつけている。足元は上履きで、そして靴下はそれぞれ違っていて、紺ソックスや白ソックスなどを履いていた。その中で、ボーカルの子だけは靴下を履いていないように見えた。正確には、上履きから伸びているのが肌色の足で、ストッキングをはいているのかもしれないけれど。5人の中で一人だけそうなので、僕の目には彼女だけがやけに目立って見えた。

 やがてそのボーカルの子がみんなと目配せをし、静かに演奏が始まった。僕も聞いたことのある、最近はやりの曲。声がすごく良くて、引き込まれてしまう。合計5曲、かなりのハイペースで、汗をかいているのが僕の席からでも分かった。

「以上、”STARS”のステージでした!この後、希望の方には握手会もやりますので、お楽しみに!」

なんと、本当のアイドルみたいに握手会もあるのか。少々ためらいはあるけれど、ボーカルのあの子と握手したいなと思った僕は、一連のステージがすべて終了した後、別の教室で行われる握手会へと参加した。CDを買う必要はないけれど、防犯のためか、入口で持ち物検査があった。けっこう厳重だな…。

 中へ入ると、先ほど曲を披露したメンバーたちが並んでいて、一人ひとりと握手できるようになっていた。一人だけじゃないのがうれしい。中でも一番の目的は、一番奥に座っているボーカルの子。来る人に対して、疲れているはずなのに笑顔で対応していた。机は普通に教室にあるもので、前を隠したりはしていないため、並んでいるとその足元が見えた。靴下に、上履きまでしっかりと履いているメンバーの中で、ボーカルの子だけは相変わらず靴下を履かず、暑いのか上履きまで脱いでしまって、裸足で床に立っていた。ストッキングも履いていない、完全な裸足、だ。上履きは脱いで椅子の横に置いている。赤いペディキュアが光って見える。一番かわいいのに、足元は裸足。そういう趣味はないはずだけれど、それを見るととてもドキドキするのだった。

「今日はありがとうございました!」

歌っているときはかなり高い声を出していた子だけれど、話し声は意外と低い。

「応援,よろしくお願いしますね!」

ほんの一瞬で、緊張してしまって、僕からは何も話せなかったけれど、目の前で見ることができてとてもドキドキした。デビューするかどうかはわからないけれど、どこかで見かけたら応援したい。その時は、靴下を履いているのか、少しだけ気になるのだった。


つづく

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