お題小説 【猫と高校受験】
彼女からお題を出してもらって作りました。
・猫
・学校
・友情
・雨上がり
・受験
・虹
・中学生
・夏
・勉強
・部活
幼稚園の頃から一緒にいる幼馴染の燈が小5の夏から猫を飼い始めた。
ミツバと名付けた不細工な猫はたいそう燈に可愛がられた。
それは中学生になっても変わらず、もう今年は高校受験を考え始めないといけない中学3年。いくら陰キャの巣窟である卓球部といえど、最後の大会を控えているのでみんな勉強と部活の練習と大忙しの毎日だと言うのに…。
「お前はミツバとそんなに遊んでていいのか。燈?」
「陸は頭がかたいなー。大丈夫だって。俺らが行く高校はバカ高校で単願で受験すれば科目が1つで試験が受けられるんだ。だから今こうしてミツバと遊んでてもダイジョーブ!
卓球だって…俺はどうせ補欠だし!」
そんなんでいいのか…?俺も補欠だから人のことは言えないけど、でもやっぱり俺は不安だから、いくらバカ高校に行くにしても勉強しておかないと…。
そうしてミツバと遊んでいる燈の家を出て、自分の家に帰る。そして中学校で出された宿題に手をつける。
それが終わるか終わらないかぐらいで母親に夕食へ呼ばれて、風呂入って…宿題の仕上げをして寝床についた。
そうした毎日を過ごしていると、燈から重大なことを告げられる。
「陸ー!やばい。やばばば…!願書の提出期限今日だったの忘れてた…。やっちゃった…まずいどうしよ…。」
「言わんこっちゃない。ミツバと遊ぶのはしばらく辞めて勉強しないと…。」
「ミツバは俺の癒しなの!それだけはヤダ!今から家に帰って出す!」
そう言って人に相談して来た割にはあっさり駆け走って行く燈。なら人に最初から相談するなよ…。なんなんだアイツは…。
その後、やっぱり先生にはむっちゃ怒られたけど、高校側もそこら辺は柔軟な対応で願書は何とかなったらしい。
そうして中学生活最後の卓球部の大会当日…。俺と燈は補欠ということだが、一応最後ということなので出させてもらえることにはなったらしい。
だが燈がどこか落ち着かない様子でミーティングに参加しており、ミーティングが終わると直ぐに俺を連れ出してまくし立てる。
「陸!どうしよ…!ミツバがいなくなった!どうしよ…。」
「また外で遊んでたのか。」
「うん。近所のバカガキが爆竹鳴らしやがって!ミツバがびっくりしてどこかに行っちゃったんだ。パニックになっちゃったんだな……。」
「そうか…。俺も一緒に探すよ。試合まで時間はまだある。」
大会会場は2つ隣の駅の徒歩10分のところにあり、移動時間も含めるとあまり時間もない。
しかも今は小雨が降っており、天気予報では10分もしないうちに本降りしてくるようだ。
燈の家から草むらの中や家々の隙間などを探すが。どこにも見つからない。雨が本降りになってきて、俺と燈は雨に打たれながらも必死に探す。
雨風凌げるところにいるだろうとあたりをつけて、軒下を中心に探していくがどこにもいなかった。
「陸…。もういいよ。試合に間に合わなくなるよ…。あとは俺だけで探す。お前は試合に出るチャンスなんだから…。」
「お前を置いていくぐらいなら試合なんて出ない方がいい。どうせ大した戦績も残せないし。生き恥を晒すくらいなら、お前と一緒にミツバを探す。その方が俺も気持ちいいし。」
「…陸。ありがと。」
2人で近所中を雨に打たれながらも探し回る。
だいぶ時間が経った後に、ずぶ濡れになった俺らを見つけた卓球部の副顧問にみつかり試合をサボったことに対する叱責とみんなに謝りなさいとお説教を食らった。
猫のミツバを探していたとみんなに言うと、副顧問は言い訳がましいと怒っていたが、部員のみんなはそんなに怒っておらず、確かに悪いと思うけど、まぁ仕方ないよね的な感じだった。副顧問は思っていた展開と違ったみたいでずっとブチ切れてて、顧問の先生に落ち着くように諭されていた。
雨上がりの空には虹がかかっており、俺と燈はそれを眺める。
「俺さ、ミツバのことはひとまず忘れる。これもいい機会だからさ。勉強頑張るよ。」
「燈…。一緒に勉強はしような。」
そうして結果は散々だったが、高校受験に臨む覚悟?と燈との友情を深めることが出来たと思う。
その後もミツバは見つからないままだったが、時に励ましながらも勉強を続けて…
次の年の1月、俺と燈は受験会場に向かい…受験科目国語を選び、お互いに手応えはあった。
2月になり受験結果が家に届くと、2人して結果は合格。
それはもう大喜びした。ミツバはいなくなったけど…でもそれでも燈は落ち込みはしたが、立ち直ることは出来てこうして高校受験にも成功した。
「ということで今日はオールでゲームするぞー!」
「おー!お母さんにも許可取ったからOKだー!」
俺と燈は久しぶりにそれはもう全力でゲームをして、お祝いのパーティーを2人だけで楽しんだ。
その後…ミツバは見つかった。
卓球部員の山田くんのおばあちゃんが隣町に住んでいるのだが、そこでちゃっかり可愛がられていた。
ミツバは人懐こいからな…。ミツバのことを知ってたからおばあちゃんから軒下で保護したという話を聞いて俺と燈に連絡を取ったらしい。
ミツバは最後に見た姿が1.5倍くらい丸くなっていた。
デブ猫だ。燈が構わなければゴロゴロ寝てたからな…。
「ミツバぁぁぁぁぁ!会いたかったよー。こんなに丸くなって…。ぐすっミツバぁぁ」
「ミツバ…。困ったからって俺を見るなよ…。」
燈がミツバのお腹に抱きついた瞬間、ミツバは俺をじっと見つめていた。まぁ、見つかってよかったよかった。
これからの生活に胸を馳せながら俺と燈とミツバは自分たちの家へと戻った。
お題の夏が猫飼い始めた要素くらいしかないというね。
書き終わって気づいた。まぁ、仕方ないよね。
メインで連載している小説もありますが、そちらは停滞気味なんで、こういう短編書くのもなかなか良いかもなー。