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点D
深夜、ボロアパートの1室で、痩せ細った男が不気味な笑みを浮かべる。
「……できた。
できたぞ!
ついにできた!
ははははー!
愚かな政治屋どもめ!
最後に汚い花火を咲かせてやろう!」
男は落ち窪んだ目をギョロリと動かした。
男の名前は藤堂。
年は34。
数年前に摘発されて解散した秘密結社『宵の月』の元構成員。
彼は全国指名手配されているが、いまだ捕まらず、各地を転々としていた。
藤堂は手先が器用で、『宵の月』では工作員として活躍していた。
藤堂の一番の得意は爆弾である。
藤堂は自分の作品に自信を持っていた。
当時の彼の作品は、国民を大いに恐怖させた。
そして、いま、彼の最高傑作が完成してしまった。
それは、時限式とリモコン式の両方を兼ね備え、かつ、衝撃には強いため、起爆するまでは多少の振動で爆発することはない、まさに藤堂好みの作品であった。
「ひゃははは!
よくも同志を牢屋にぶちこんでくれたな!
俺様の最高傑作で、目にもの見せてやる!」
そして、藤堂は有名デパートの紙袋に作品を入れ、大事そうに胸に抱えてアパートを出た。