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オタク転生
好きな女子に初めて告白したのは16才
学校に行かなくなったのは16才
スーパーハッカーになろうと決めたのは16才
学校に行かなくなったのは好きな女の子に告白して振られたからではない
親友が好きな女の子と付き合っていたことを隠していたからでもない
プログラミングを始めたのは学校に行かなくなって暇になったからではない
親友はいつも記号と英語だらけの文字をパソコンに打ち込んでいた
放課後の情報学習室で独り言を言いながらカタカタ音を立ててずっとそれをやっていた
俺は静かな夏の一日を部屋で一人きりでそれを思い出している
父親は会社に行って母親は最初から家にはいない
入学祝いに父親が買ってくれたmac bookで「スーパーハッカーになるには」という文字を5分かけて打ち込んで検索した
この話には異世界も魔法も剣も冒険も無い
異世界人もギルドもオークも女剣士も無い
あるのはある一人の高校生が失恋して引きこもりになってオタクになるっていうウンザリするような話だけだ
俺はハッカーになると決めた