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明日

作者: ナツめぐ

今死にたいと願っている人。

今から何処かへ行こうとしている人。

明日を生きていこうとしている人。

明日は何をしようかと考えている人。


現代には多種多少な考えを持っている人が居る。

しかしその誰もが共通して

「いつも通りの今日が過ぎ、いつも通りの明日がやって来る。」


そう思い、それを信じて疑わない。だってそうだろう、自分がいつ死ぬかなんて分からないし、大前提考えもしない。だから人は明日も自分が生きている事を信じて生きている。だから僕はその当たり前を壊してやりたいと思った。


動機にこれといった確たる理由は無い。強いて言えば皆と同じ様に「普通」に進学して、「普通」に就職して、「普通」に死ぬ。そんな「普通」な人生はなんてつまらないんだろうと思ったからだ。たった一度の人生、面白可笑しく最高の人生にしたかった。人とは「普通」とは違う何かがしたかったんだ。


だから僕はこの「最高」な時間が長く続けられるように綿密な計画を練った。

つもりだった。結局僕は捕まりこれを書いている。つまり綿密に見えて実査の所は杜撰な計画だったのだろう。


先ず何をどうするのかを僕は箇条書きした。


行動:殺人

凶器:ナイフ

場所:渋谷

逃走:無し

終わり:死ぬまで


僕が行うのは手当たり次第に行き交う人々を殺そうと思っている。

凶器はナイフをしようと考えている。恐らくここら辺が現実的だろう。調べたら通販で簡単に手に入った。手ごろな大きさのサバイバルナイフ1本とマチェット1本、スローイングナイフ3本、とそれらを収めるホルダーを購入した。

場所は渋谷にした。渋谷のスクランブル交差点なら人がたくさん居ていいだろう。

辻斬りみたいなことをすれば出てくるのは必然的に警察が出てくるだろう。相手は国家権力逃げるのは容易では無いだろう。逃走中に銃で撃たれて死ぬ、または捕縛される可能性が高い、それなら逃走は最初から考えずに死ぬまで一人でも多く殺そうと思う。


凶器が届くまでは凡そ一週間、渋谷の人が多くなる時間の調査、ナイフの取り扱い方を知りたいから決行は一か月後にしようと思う。



~1ヶ

一つ、大きく息を吸い吐いた。


交差点の信号が変わる。


皆が一斉に歩き出した。

僕も同じ様に歩き出す。


交差点の中心部、前方には3人組の女子高校生が歩いて来ている。

僕はその1人に目標を定める。

おもむろに後ろ腰からナイフを取り出す。

相手は話に夢中でこちらには気付いていない。

こちらに気付かれる前に素早く僕は彼女の腹部を刺した。


刺された瞬間彼女は恐怖、痛み、驚き、不理解等の様々な感情が入り混じった顔を僕に向けてきた。

僕はそれを一瞥した後、ナイフを彼女の腹部から引き抜いた。彼女は膝から崩れ落ち、刺された腹部を押さえ苦しそうに呻いた。彼女の友人たちは崩れ落ちた彼女に駆け付けていた。僕はそれを見る事無く様子を見に隣に来た男性を喉を無造作に搔き切った。

男性はあまりに一瞬の出来事故に理解できないままそのまま地面に伏し、そのまま絶命した。


流石に人が2人も切られれば周囲の人も異変に気が付く。僕の周囲に居た人達は我先にと逃げ出した。

その後は一方的な蹂躙がしばらく行われた。

僕は逃げ惑う人々を追いかけ、彼らの背を切り、足を裂き、首を刺した。

怒号が飛び交い、悲鳴が響き、血が舞い踊り、命が零れていった。状況はまさに阿鼻叫喚と云える物だった。



凡そ20人の「明日があると思い込んでいた人」達の「明日」を奪い、何十人もの人を切りつけた所で警察が来た。

僕の行いはここからが本番と言っても過言ではないだろ。

僕は警察がこちら向かっているのを視界に収めた瞬間人混み紛れ、彼らに接近した。一番近くの警察が銃を構えるよりも早く、スローイングナイフを1本投げた。

そして投げつけると同時に接近し、スローイングナイフに反応したが故にできた隙をつき、素早く走りながら取り出したマチェットで喉を突き刺した。

右手の持っていたナイフを無造作に周囲の人々へ投げつけ、マチェットを警官の首から引き抜きつつ右手へ、そして左手で今殺した景観が持っていた銃も持ち、同じく周囲の人へ乱射した。流石にこれだけ暴れれば僕の周りに居た人達も銃や刃の届かない位置まで逃げていった。


僕は気を取り直し、最後の景観殺しをしようと振り返ろうとした瞬間意識が飛んだ。



そして目が覚めると僕は警察病院の中にいた。

そこで僕は何故この様な犯行に及んだかなど警察に聞かれたことは全て答えた。

またなぜ僕はいきなり意識を失ったのか聞いた所素っ気なく

「君が銃で民衆を打っている隙に素早く近づき、警棒に出頭部を強打したからだ。ここにいる理由もそれが理由だ。検査の結果問題が無ければすぐに移送するからな。」

とのことだった。

これから先はどうなるかわからないがなるようにしてみようと思う、何故なら僕にはあの日の彼らと違い、明日があるのだから。





「本日未明、東京都中野区の警察病院にて入院中23歳の男性が刺され、その後死亡が確認されました。被害者は先日渋谷での大量無差別殺人の犯人で警察は被害者の関係者とみて捜査を進めています。」


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