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愛玩動物

 現在、魔法の才能がある愛玩動物扱いの俺。

 これがもし食用家畜で食べられる順番待ちなら逃げ出すか反抗もしたが、人間は食用不適な不味い種族で、完全草食で育てられる牛や羊、雑食で残飯オッケーな豚が食用に人気らしい。

 どこかの食用が約束されてるネバーランドとか、V(ビジターじゃなかったので一安心。

 これがちゃんとしたSFなら、宇宙や完全な異世界から来たら異星生物なら、タンパク質の分子構造が違うから食用にはできないとか、体が似てようが結婚も出産も無理とか、虫や魚は地球の生き物だから種は違ってもタンパク質の構造が同じだから食用になるとか、そのあたりの設定もきちんとしてるけど結構ガバガバなのも多い。

 竹本泉作品に、鏡の向こうの世界の自分と食料を交換してダイエット、タンパク質の構造が逆なので物の形はあって同じ味でも、栄養にはならないのでダイエットをやり過ぎて栄養失調で倒れるなんてネタがあったが、この世界ではどうなんだろう?

 魔族や魔物は人間と同じ物食べてるので、タンパク質の構造が一緒なのだと思う。

 それでも人間は食料にならず、仲間内で埋葬されているようなので好事家魔物以外は食べてないと思う。

「さあ坊や、離乳食よ」

 離乳食にも食事にも、ソイレントグリーンとか人肉なんかは含まれていないと、思う。

 もし含まれていると脳海綿状脳症になって老後に困る。

 中国の聖人孔子も、人肉の塩漬けが大好物だったらしいが、結構長生きして70歳以上生きたはずだが、晩年脳海綿状脳症で苦しんだかは不明。

 人類は雑食なので肉骨粉食わされようが狂牛病の牛食おうが問題ないはずだが、たった一例だけ絶対に脳海綿状脳症になる症例がある、それが人類同士の共食い。

 飢餓が蔓延した帝政ロシアでも、公然と市場で人肉の塩漬けが売られ、後日脳海綿状脳症が蔓延したらしい。

 ニュース番組で「〇〇のハンバーガーを食べたからこうなった」とか言っていたイギリス人の若い患者はテレビの大ウソで、東南アジアか中国辺りで「お前を豚のエサにしてやる」と言われて処刑された奴が、肉なのでネズミと一緒に加工されて出荷されたからだと思われる。


 親の食事を見ても、人類は穀物と豆で飼育されているようなので、贅沢に肉食などさせてもらってないようだが、固形食のカリカリでドライフードが、一体どうやって生産されているかを知らなければならない。

「カリカリ(犬、猫、人間用ドライフード)、ソイレントグリーンの原料は人間だったんだよっ!」

 みたいなディストピアは御免だ。白い紙なんかも無くて食料に困ってて、自殺用の安楽死施設があって、そこから人肉加工工場に運ばれるのは嫌。

 映画ブラジルみたいなディストピアでもないようだが、ガタカみたいに遺伝で全てが決まったり、毎日入口で採血されてチェックされたり、近視でコンタクト入れてるのがバレたら逮捕されたり一発解雇なんてのは困る。

 医療も発展してないので、「わたしを離さないで」みたいに金持ちの臓器提供用クローンとして造られ、何かあったら摘出手術されるディストピアでもないので助かった。

 でもTHX1138みたいに、勝手な交配とかは異常倒錯行為に分類されて懲罰の対象になったり、即去勢されそうで怖い。

 人類の正体はサディストなので、スタンフォード監獄実験みたいに看守役が新たな刑罰を考案して、できるだけ刑罰を増やして受刑者役を痛めつけたり、ほんの数日で実験が破綻したり、リタイア者が続出するようなのが人類の本性なので、似たような生物である魔族がそうでないことを祈ろう。


 本日も魔力強化や身体強化に励む。

「うあう、ああい」

 まだ上手く喋れない。手足も完全には動かせないので、筋トレと魔力操作に励む。

「うにゃう?」

 赤ん坊が動いて何か言っているので猫が寄って来た。

 先住猫には新入りで新生児と認めて貰ったようだ、新入りというよりも自分の子のように大事にしてもらっている。

「ばぶばぶ」

 ペロペロされるが猫からの感染症はキツイ、口の周りだけは許して。

「にゃうん」

 これがあらいぐまなら顔面の皮膚を食い荒らされたり、柔らかい肉として判断される。

 犬も主従の上下は気にするが、新入りだと認定されると食われないで済む。

 ピットブルみたいなのは例外だが、弱いと主人の子供でも簡単に噛み殺される。赤ちゃんが駄々をこねたのが、主人に逆らった行為に見えて処刑されたのかも知れない。

「小さい子がいるとホッとするなあ、猫もあんなに懐いて」

 飼い主からも猫と子人間?の交流は好評のようだ。

 猫の方もベビー服が干されているだけで、俺が吊るされてると勘違いして、飛び上がって救出しようとしてくれている。

「あううぁ、うあおぅ(訳:ふっふっふっ、この俺はもっと邪悪な存在なんだぜ、長生きして健康に過ごそうという野望に燃えている)」

「メイオウゥ」

 何か理解してくれたかと思えば、猫とは意思疎通できないのか、よだれや涙もペロペロされる、感染症だけは勘弁してください。


 後日、頭痛が痛い。

「坊やが熱を出してるっ」

 やっぱり猫から何か病気を貰ったようで、今日は筋トレも休んで高熱と戦ってる。

 こうやって外からの免疫を作って行くんだろうけど、この体病弱だからね、ホント死なないように勘弁してください。

 治療魔法、キュアとかヒールが使えたら頭痛と悪寒だけでも収まるのに。

「大変だ、解毒キュア回復ヒール

「ああ、ありがとうございます、旦那様」

 飼い主の風の剣士様がキュアとヒール掛けてくれたよ、今のをしっかりと覚えないと。

 魔力の流れと短い詠唱、別に精霊と契約する必要はなさそうだ。

 それにしても奴隷か愛玩動物の為に治療魔法とは、えらくお優しい飼い主様だ。

「きゅう、ひーう」

「おや、この子、早速魔法を真似しようとしている、なんて優秀な子だろう。そうだ、熱さましにアイスも唱えておこう」

 羊か豚の胃袋みたいなのを持って来て、アイスの呪文で氷まで作ってくれる飼い主。

 うん、結構勝ち組人生だ。アイスの呪文も魔力の流れも忘れないようにしよう。

「あいう、あいゆ」

「おお、アイスの呪文まで」

 呪文を発音できないだけでなく、魔力の流れを再現できないので効果が発揮できない。

 口の動作はともかく、魔力の流れを学ばないと。

 とりあえずかわいいアピールと一緒に魔法を教えて貰えるよう、おねだりしてみる。

「まおう、おいええ?」

「ううん? 魔王様に会いたいのかな? 今度連れて行ってあげるよ、こんな可愛い子が産まれたって自慢しに行こう」

 魔法をおねだりしたら、魔王様に会えるようになったでござるの巻。


 数日後、本当に魔王城に連れて行って貰えた。

 母親も化粧したり上等な服を着て気合い入れていたので出動するのかと思ったけど、城には城勤めの下僕がいるので却下。

 風の騎士様が連れている赤ん坊なので検問もフリーパス、ズンズン王城を進んで魔王様の執務室まで来た。

「魔王様、この子が最近生まれた子人間です、可愛いでしょう?」

 親バカ顔の騎士様が、籠ごと俺を差し出す。

「おお、この子が御自慢の魔法を覚えようとする子供か? よしよし」

 魔王様も赤ちゃんなので全く警戒せず、愛玩動物自慢に付き合ってくれる。

「まほー、おしえれ」

 現在出せる精いっぱいの声を出して、活舌にも気を付けて話す、魔王への敬語とか無理なのでそこは勘弁してもらう。

「もう魔法を覚えたいのか?」

「うう」

「先日も熱を出した時、キュアとヒールを掛けてやると、早速真似して覚えようとしたんです、アイスも真似しようとしました」

 目尻を下げて愛玩動物自慢する飼い主、さぞあちこちで自慢している事だろう。

「むう? こやつ口が動かないだけで話せるのではないか? 意思疎通コミニュケート

 魔王様は意思疎通の魔法を唱えた。

「口に出さずとも頭の中で考えるだけで良い、何か話してみよ」

(始めまして魔王様、私は赤ん坊なので、まだ前世の記憶があります)

「そうか、まだ生まれたてだからのう」

「前世の?」

 飼い主も驚いている。

(前世では病弱で短命でしたので、どうにか健康で長寿で過ごしたいと努力しておりましたが、まだ赤ん坊なので魔法も使えず、本も読めず難儀しておりました。お話しできて光栄です、もし出来ましたら不老不死の魔法をご教示ください)

「ほほう、まだ赤子なのにしっかりした奴じゃ、どれ、儂にはもう使えんが、不老不死の魔法をいくつか教えてやろう。おい、魔術書の原本を持って来てくれ、写本じゃないぞ」

 有難いことにゼロ歳から不老不死の魔法を教えて貰えるようだ、もしかすると気軽に不老不死になれる魔法を掛けてくれるかも知れない。


「さて、これが魔法書の原本、どれから行こうかのう?」

 おお、すぐに教えて貰えそうだ。

「わしが使ったのは悪魔に魂を売り渡して、生贄を捧げて生き血を啜り、この世の理から外れて不老不死になった奴じゃが、これはオススメできん、悪魔が天使にされた時に無効化されたしな」

(はい……)

 まず一個ハズレ、それでもキニシナイ。

「次は夜の不死王、ヴァンパイアの真祖になれる呪文、これも生贄が必要だし自分で唱える訳だからかなりの魔力が必要じゃ、欠点は太陽の光に弱いのとか色々ある、生き血も必要だし人間に嫌われて討伐される」

(はあ……)

 二つ目ボッシュート、それでも儀式の内容と呪文は書き写してくれている。

「知り合いのヴァンパイアに噛ませて血を吸わせるのもあるが、グールになることもあるし、やはり太陽の光に弱い、それでも良ければ紹介してやる」

(ありがとうございます)

 まず一個目ゲット、トントン拍子に不老不死に進んでる。

「単純に人魚の肉を食うのもある、しかし成り損ないの化け物になって、心も自由意志も失われることが多いし、「死ねない化け物」になるからダメだな」

 三個目もハズレ、でもキニシナイ。

「魔法を極めて禁呪を使い不死王リッチになる。お主の魔力と根性ならこれがお勧めだな、食事ができなくなるのと子供を作れなくなるのが欠点だが、そのぐらい気にならんだろう、どうせ種雄にならなければちょん切られるだろうし」

 あ、愛玩動物だけあって、去勢されるのが普通なんだ。

 カストラートになって少年の美声を保ったり、暴れて発情して困るよりはサクっと去勢がセオリーらしい。

 競技会の上位入賞者とか体力自慢で、その上頭が良くなければ種雄には成れないそうだから、それ以外はタマタマをチョッキン。

 でもまず一個目、ある程度の魔力があれば、禁呪で不死王リッチになれる。

 禁呪だから公表してないはずなのに、風の騎士様の愛玩動物で、魔王様の側近だから平気で教えてくれた。

 魔王様手ずから書き写してくれて、儀式内容まで解説してもらえた。

「魔力が高まって身長も成長したら写本を見ると良い。お主の家になら写本もある」

(はい、ありがとうございます)

「ぎゃああ、ああああっ」

 赤ん坊なので感動して泣きだしてしまった、その上魔王様の前で粗相まで追加。

「わしがいる間なら死んでも生き返らせてやる、まずは長寿の魔法も掛けてやろう」

 魔王様の神聖魔法?で守護が与えられ、長寿の呪い?が掛けられた。

 今日だけで不死王リッチになれる呪文と、ヴァンパイアの真祖になれる呪文をゲットした。

 魔力量だけで比較するとリッチがオススメで、人間からも討伐されないらしい。

 これからの人生の目標が出来た。


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