旅人ライコ
ライコと酒場の主人を兼ねることによって、2人で演じることができます。
ライコ:つまらんな。
ゴール:あ?
ライコ:どうせ、おまえも、つまらぬ男なのだろう。酒場で気に食わぬ男にケンカをふっかけるようじゃ。
ゴール:2つ、言わせてもらう。
ゴール:1つは、それは、おまえが勝手に考えた、おまえの理屈だ。
ゴール:もう1つは、俺は、おまえが、気に食わなくて、ケンカをふっかけたんじゃなくて、おまえが強いから、ケンカをふっかけたんだ。
ライコ:その2つ目、どう違うんだ?
ゴール:そんなことも、分からんのか?
ライコ:雷。
ゴール:ぐっ!
ライコ:ほぅ、驚いたな。雷に撃たれて、立っていられるとは。
ゴール:効いてない。
ライコ:なに?
ゴール:効いてない。
ライコ:なにを言っている? 森羅万象、万物の理……。
ゴール:効いてないって、言ってんだろっ!
ライコ:それは、ただ、我慢しているだけだろう?
ゴール:効果には個人差があるんだよっ!
ライコ:なんなんだ? おまえ?
ゴール:それより、初めて見る、術式だな。
ライコ:俺は、違う大陸から渡ってきた。
ゴール:理屈っぽいおまえのことだから、俺が、片腕だから、攻撃も単調だと、思ってんだろ?
ライコ:いや? そこは、魔法で補うのではないのか?
ゴール:癪に障るから、魔法は使わねぇ。
ゴール:旅人、おまえにも、世界の広さってやつを、教えてやる。
ライコ:なんだ? これは? 拳と蹴りのコンビネーションの速さじゃない?
ゴール:うるっせぇ!
ライコ:がふぅ!
ゴール:どうよ!
ライコ:あ、あの速さで打ち込んだとは思えない破壊力だな。
ゴール:くそっ! いいの2,3発、入ったのに、ベラベラしゃべんじゃねーよ! プライドが傷つくだろーが!
ライコ:面白い。この地に、しばらく、とどまることにしよう。
ゴール:あ?
ライコ:名前を聞いておこう。
ゴール:他人に名前を聞くときは、まず、名乗るべきじゃねーのか?
ライコ:ライコだ。
ゴール:俺は、ゴールだ。
ライコ:では、さらばだ。
ゴール:あ?
ライコ:去。
ゴール:消えやがった。くそっ! 戻るか。
0:間
酒場の主人:あ、旦那。お戻りですか? あれ? 旅の方は?
ゴール:消えやがった。
酒場の主人:え? お代がまだですが?
ゴール:あ?
酒場の主人:いや、それは、当然、そうでしょう?
ゴール:そう、だ、な。
酒場の主人:まとめて払っていただきます。
ゴール:え? 俺たちが?
酒場の主人:はい。
ゴール:あーーーーっ! めちゃくちゃ、負けた気分だぜっ!