序章~そして~
魔族と人類の争いは佳境を迎えていた。
ただ、それはどちらかが優位だとかどちらかが敗者になる。ということではない。お互いが疲弊しきっていたのだ。
永く永く続く争いは永続的な命をもつ魔族をも疲弊させ、また人類にとっては種の存続を賭け、勇者を筆頭に全人類が魔族を滅ぼさんと国の垣根を越え集まり人類連合軍となり抗っていた。
いつ終わるか終わりの見えない戦いに終止符が打たれたのは突然であった。
眩い光が戦場を包み込んたのだ。ある者によればそれは全てを暖かく包み込むような抱擁の光。ある者によれば絶望を称える殲滅の光。
ただ、その瞬間から全てが変わった。
魔族は北の僻地に飛ばされ人間との国境でもあるかのように、一切侵攻してくることはなくなった。
そして、魔族に脅かされることもなくなった人類は、魔族の驚異を感じつつも徐々に平和に慣れていき、ひとつになっていた人類もまた、争いを繰り返しいくつもの国ができ人間同士での争いは終わることはなかった。
そして、後にアポカリプスと呼ばれる魔族と人類との戦争から1万2000年後。
レイズ王国のとある村で村の領主の息子が帝国に拉致されるという事件が起きた。