十二話~冗談じゃないの?~
「へ?」
俺は、頭が真っ白になる。
「ああ、貴殿みたいな若く優秀な者を放っておきたくないからな。」
「気にしないでください。陛下は、優秀な若者を見るとすぐにそういいますので。」
と側近らしき眼鏡の男性が説明してくれる。
「ははは。だが、来る気があったらいつでも来るといい。貴殿は、我の恩人だからな。」
と少し嬉しいことを言ってくれた。
「陛下では、そろそろ勇者様との待ち合わせ時間が……」
少し申し訳無さそうに先程の側近の人が言った。
「あのー少し話しずらいのですが……その勇者って僕です。」
俺は、いいずらい状況では、あったが結局ばれる事なので言った。そうすると
「「え!」」
なんともベタな驚き方では、あるがすごく驚いている。それもそのはず、服は、私服で顔を知っている国民でも俺を勇者とは、思わなかったのだから。
「いや、驚きはしたが、当然といえば当然か」
「ですね。ほかのものに先程のような動きは、出来ませんからね。」
「改めてうちに来ないか?」
「やらなければいけないことがあるので今は、お断りします。」
今回は、少し本気のような雰囲気だったので、面倒なことに巻き込まれないように丁寧に断った。ちひろもいるしね。
「魔族との戦争か……まぁ頑張るといい」
「はい!誠心誠意頑張ります!」
「うむ。ところで誠心誠意とは、なんだ?」
「全力で頑張るって意味です!」
丁寧な言葉を言ったら意味がわかんなくなって結構適当にいってしまった。でも気にする人もいないしいっか。
「あ!池崎!久しぶり!」
馬車の窓から池崎が見えたので声をかけた。だが窓と言ってもガラスは、なく、小さな扉のようなものだ。
「……」
だがそこには、いつも笑っていた池崎は、いなかった。
「では、先に王宮に向かっているぞ」
「わかりました。では、またパーティーで」
そういって国王は、馬車を走らした。
俺は、警護にまわっていた騎士団と襲いかかってきた暗殺者をつれて、王宮に戻った。その際にすごくお礼を言われ、同じくらいに心配もしてくれた。そんな会話をしながら王宮に戻った。戻ったら王宮で採寸をして服を整えた。その際国王に公国の国王にあったことを言ったら「出掛ける際は、私に声をかけろと言っただろう!」と怒られたが騎士団の人がかばってくれて、それを見た国王は、あまりおこれなかった。ヴァンにも伝えたらその暗殺者を殺しましょう!と暴れたので俺と騎士団で十五分ほど押さえつけていた。
そんなこんなで時間は、過ぎて夜になりパーティーが始まった。
「今日は、楽しい場だ。あまり長い話しは、嫌だろう。乾杯!」
国王様の声が響くと公国の人たちは、俺のところに。王国の人達は、池崎のところに駆け足で向かう。どちらも勇者とは、顔見知りになりたいのだろう。
「勇者様。今回は、お招き頂きありがとうございます。私は、アモーレ第三公爵でございます。」
少し髭のあるダンディーなおじさんが言う。この第三と言うのは、公爵のなかで第三位ということらしい。第三位というのは、三番目というそのまんまの意味らしい。
「こちらこそお越しいただきありがとうございます。」
「早速ですが勇者様私の娘とお見合……」
こそこそと小さな声で言う。
「抜け駆けは、許さんぞアモーレ!」
「ネイビス公爵でもここは、譲れませぬ!」
「勇者様。このようなものより第二公爵であるこのネイビスの娘と……」
こんな感じの会話がほかの貴族も入ってきたのもあり、軽く二時間は、続いた。俺は、貴族たちの無尽蔵な体に付き合わされてへとへとになったので、テラスに出た。そこには、俺と同じ理由で来たであろう池崎もいた。
「池崎も疲れてここに?」
「……」
「池崎?」
「池崎様は、疲れてしまったそうなので今日は、お休みになりたいそうです。」
と側近の人が少し慌てた様子で言う。
「じゃあたつき。次は、魔物の討伐で会いましょう」
「ああ、よろしく」
そういって俺は、部屋へと戻って休んだ。