十話~獣じゃないの?②~
昨日は、出せなくてすみません
俺は、召喚陣を書いて呪文を唱えた。
「私の忠実な僕。今ここに姿を表せ。」
というと
「は!ここに参上いたします!我が主よ!」
と叫んで登場したのは、赤い瞳に長い牙、背中には、大きな翼が生えている。
「ヴァンパイア?!」
だが叫んだのは、俺だけだった。全員叫んでてもおかしくないのに。
周りを見るとみんな止まっている。
「おい!これは、どういうことだ!」
おれは、皆に指を指してながら言った。俺は、あくまで普通勇者になりたいからこういうのは、普通に困るのだ。
「これは、私の能力『時間停止』でございます!」
「それってどのくらい続くの?」
「調子がいいときは、四十秒ほど」
ほかにも色々質問したいことはあるが、とりあえず
「その姿どうにかならない?」
「なりますよ?」
「じゃあ変えて」
「畏まりました」
そう言うと巨大なコウモリになった。さっきのアウスたちの龍よりも大きい。
「でっか?!」
そういった瞬間に皆が動き出した。
「なんか一瞬悪魔がいた気がするんだけど」
「あ!それ私も思った!」
「そんなのないよ。それよりこのコウモリすごくない?」
俺は、少しわざとらしいと思いながらも話をそらした。
「すごく大きいですわね。見たことありませんわ」
とコアがのってくれる
「たつきは、魔属性だからやっぱり真っ黒だね」
「やっぱりこの属性やだな~」
「私は、結構好きよ?」
少しもじもじしながらアリアが言った。
「ありがとう。」
このありがとうは、流してるというわけではなく、気にしてたことだから、誉めてくれて純粋に嬉しかったのだ。
そんなこんなで授業が終わって自分の部屋でヴァンパイアと話していた。
「色々聞きたいことがあるけどいいかな?」
俺は、真剣な顔をして少し深刻そうに言った。
「構いません。答えられることならすべてお答えしましょう。」
ヴァンパイアの方も空気を読んでくれたみたいで真剣な顔つきになった。
「じゃあまず、どうして召喚獣の魔方陣で君が現れたの?」
俺が聞くと
「従うよう命じられたからでございます」
当然のことのように話した
「ん?だって君たちは、俺たちの魔力からできてるんでしょ?おかしくない?」
俺は、先生の話と矛盾していると思い聞いた。先生の話では、唯一無二の生物を自分の魔力で生成できるとの話だった。
「あなた方人間は、間違っております。」
またしもヴァンパイアが当然のことのように話す。
「何が?」
「まず、あなたたちの魔力でできているというより、もともとある魂の器をあなた方が作っているのです。」
「もうちょっと分かりやすく言って」
「例えるなら魂は水で、器はコップですかね?」
「なんとなく理解できた。じゃあどうしてほかの人は、君みたいな悪魔じゃないの?」
「それは、魔力量の問題ですね。魔力が多いものでないと召喚に耐えられませんから。」
「理解できた。あともうひとついいかな?」
「何なりと」
「君はさっき、もともとある魂って言ってたけどどこにあったの?コアたちの召喚獣もこの世界のじゃないよね?」
俺は、その魂が亡くなった人のものなのかそれとも別のどこかから持ってきたものなのか気になった。
「いかにも。この世界とは、別の世界から持ってこられております。」
「あと、ずっと思ってたんだけど、君は、俺に従うのって別にいいの?」
これも疑問に思ってた。知らない人間なんかに従うのは、別にいいのか。
「もちろんです。私は、あなたに従うことが指名ですから。」
「誰からの?」
「言えませんが害のある方では、ございません。少なくとも敵ではないかと。」
「わかった。」
「主よ。」
頭を下げて言う。
「どうした?」
「お願いがあるのですが」
「無理なことじゃなかったらいいよ」
「名前をつけてほしいのですが」
「いいよー」
「んーじゃあヴァンパイアの最初の文字をとってヴァンってのは?」
「ありがたき幸せ。このヴァン一生あなたについていきます!」
さっきよりも深く頭を下げて喜んでいる。