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死に物狂いの英雄  作者: 椿 冬華
第三部 中国編
33/49

二〇三三年一月十二日 日國新聞 朝刊

挿絵(By みてみん)


【〝英雄〟復活】


 「〝三日〟耐えろ」というレドグリフ・キリングフィールド中将の伝言を受けてから三日が経過した十一日深夜、ドイツのミュンヘン大学病院において治療を受けていたレドグリフ・キリングフィールド中将と神社戦さんが中国に向けて出発したとの情報があった。

 日本時間十二日午前六時には中国西部に到着する見込みである。


<ヒトガタ襲撃事件について>

■日本

 特殊個体 〝SPIRITUS SANCTUS〟

 通常個体 五三〇体

 死者・行方不明者数 一万八〇六二人

 重傷者数 三万五二一四人


■アメリカ

 特殊個体 〝FILIUS〟

 通常個体 八四〇体

 死者・行方不明者数 二万六四三一人

 重傷者数 四万五六〇一人


■フランス

 特殊個体 〝PATER〟

 通常個体 六三〇体

 死者・行方不明者数 五万三一〇〇人

 重傷者数 八万二五五八人


■中国

 特殊個体 〝DEUS〟

 通常個体 〇体

 死者・行方不明者数 不明

 重傷者数 不明

 ※被害は中国・ロシア・モンゴル・タイなど複数国に及んでいる


 臨時国際科学捜査チームによればヒトガタは人間を素体にして改造手術が施された人工生命体であるとのこと。人間の遺伝子以外に地球上には存在しない形態の遺伝子が発見され、調査の結果二〇二四年に中国の最南端に墜落した隕石より発見・採取された種子〝ネメス〟であることがわかった。

 〝ネメス〟は鳳仙花の種によく似た外観をしており、しかし内部は非常に複雑な神経回路になっており、当時は生物学者や植物学者たちの関心を集めていた。

 国際研究チームが組まれる途中で中国政府により所有権の主張がなされ、回収されたことで〝ネメス〟の詳細については不明となっている。自国内で完結した研究が行われていたと思われるが、中国政府は〝ネメス〟に関して研究機関に引き渡したのちは報告を一切受けていないため何も知らないとのことである。

 ゆえに、今回の一見について中国は関与を否定している。

 国連は特殊個体〝DEUS〟が他の個体と違い、中国の雲南省の地下より現れたことを踏まえて中国国内に存在する何らかの地下組織が関わっている可能性があるとし、ICPOに捜査を依頼した。


<デウスについて>

 中国に現れた特殊個体〝DEUS〟は依然として暴走し続けており、被害は増大していく一方である。

 レドグリフ・キリングフィールド中将の伝言を受けたことにより、国連は三日間デウスを中国国外に出さず足止めすることに焦点を絞り、加盟国の所有する軍により編成された国連軍で対応した。

 同時に科学捜査班によりヒトガタより採取された〝ネメス〟の遺伝子を分析し、有効だと思われる化学兵器の考案・提案も行われ討伐作戦が組み立てられもした。

 だが結果として、デウスの討伐は叶わないばかりか国境を度々超えられることを許してしまった。デウスはユーラシア大陸東部をのたうように這い回り、モンゴルやロシア南部、タイ、ミャンマー、ネパール、インド北部などが被害に遭った。

 また、デウスは様々なものを取り込み成長しながら暴走しており、現在は百三十メートルを超す巨体となっている。触手を根のように地中に張り巡らせて水分を吸収している様子も度々確認されているが、明確な生態は一切不明である。



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