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死に物狂いの英雄  作者: 椿 冬華
第一部 日米編
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二〇三三年 一月 八日 日國新聞 朝刊

挿絵(By みてみん)


【大量の不明生物出現 死者多数】


 七日午前六時ごろ、福岡県北九州市の北九州港に着港したタイ国籍のコンテナ船より多数の未確認生命体が出現した。

 次いで六時半ごろ、京都府舞鶴市の舞鶴港にて韓国籍のコンテナ船が転覆、内部より多数の未確認生命体が出現・上陸した。

 同時刻、東京湾においてもカンボジア籍のコンテナ船が着港と同時に多数の未確認生命体がコンテナを破って上陸、港で作業していた職員らを襲撃した。


 これらの未確認生命体は全て同種のものであると内閣府は断定。およそ二メートルの人型をしており、全身から刃のようなもの、棘のようなもの、触手とみられるものが生えている。これらは未確認生命体自身の自由意志によって動かせるものと推測されているが、未確認生命体そのものに知恵や自我はないとみられる。


 この未確認生命体による襲撃は七日午後十九時半ごろに完全終息した見込みであるが、日本国内における死者・行方不明者は確認されているだけでも八千人を超え、意識不明者・重傷者は一万四千人を超える。


<終息までの経緯>

 日本国内に侵入した未確認生命体はおおよそ五百体と思われるが、午前十一時ごろより陸上自衛隊と警察により編成された共同部隊によって順次行動不能状態に持ち込まれた。

 しかし午後十二時ごろ、東京都新宿区に他の未確認生命体とは明らかに異なると思われる、体長十メートル超の未確認生命体が出現した。それまで共同部隊が行っていた未確認生命体への対処法が一切通用せず、戦況は一時的に悪化しかけた。

 しかし午後十二時四十分ごろ、新宿区に現れた神社戦かみやしろいくささん(24)によって悪化は止まり、それ以降神社戦さんと巨大未確認生命体による激戦が繰り広げられた。

 戦いは数時間にも及び、午後十六時ごろに神社戦さんによって巨大未確認生命体は行動不能状態になった。それにより日本国内における未確認生命体襲撃は終息の流れを見せた。


 ちなみに、共同部隊による討伐が開始される午前十一時までは陸上自衛隊、警察ともに未確認生命体への対処法がわからず犠牲者は増えていくばかりであった。その流れが変わったのは東京都渋谷区に現れた神社戦さんからの情報提供によるものであった。

 神社戦さんは四国在住の会社員であるが、七日は旅行のため上京していたという。その際に未確認生命体の襲撃を受け、戦いに身を投じた神社戦さんはその中で未確認生命体の弱点を発見。マスメディアを通して陸上自衛隊や警察にそのことを伝え、その後は新宿区に現れた巨大未確認生命体と戦うべくその場を去っていったという。(その場に居合わせた朝光テレビより)


 また、この未確認生命体であるが、日本にのみに留まらずアメリカ合衆国やフランスにも上陸していたことがわかった。

 神社戦さんにより提供された情報によってアメリカ、フランス共に未確認生命体の駆除は日本時間八日午前三時現在、順調に進んでいるという。

 しかし新宿区に現れた巨大未確認生命体と同種のものがアメリカのワシントン、フランスのパリに現れていることもわかった。アメリカは神社戦さんの助言により既に駆除したとのことであるが、フランスは未だに苦戦を強いられているとのことであった。


<アメリカやフランスへの情報提供について>

 神社戦さんと巨大未確認生命体の死闘が終結した日本時間七日午後十六時、アメリカ時間七日午前三時ごろ、神社戦さんがマスメディアや陸上自衛隊を通じてアメリカ軍やフランス軍とコンタクトを取った。巨大未確認生命体への対処法を伝えられたアメリカ軍は即座にアメリカ陸軍レドグリフ・キリングフィールド中将(38)によって対処がなされ、討伐された。

 しかしフランスに現れた巨大未確認生命体は日本やアメリカに現れたのよりも一回りほど大きく、かつフランス軍には神社戦さんやレドグリフ・キリングフィールド中将のような兵士がいないことから日本時間八日午前三時現在、未だ被害は拡大中であるとの情報が入っている。




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