3 評価が酷いな……
隠し部屋に到着するとあちらのお姉さんは取り敢えず魔法で眠らせて置いて、こっちの死にかけのお姉さんを助ける事にしましょう。
まずは残っている身に付けている物を脱がして、僕の体が保管してあった水槽に入れて魔力を籠めた液体に浸したけど状態は……。
右腕は斬られたのか引きちぎられたのか分らないけど傷口が酷いし両足が膝から下が潰されているけど一体だけ大型のホブゴブリンがいたから、あいつが持っていた大きなこん棒で潰されたんだろうね。
左目から血が流れていたから、ちょっと確認したんだけど矢傷が瞼に合ったから刺されて引き抜かれた時に無くなったと推測します。
腹部にも剣の刺し傷があるんだけど、このお姉さんはこんな状態でよく生きていましたね?
衣服が破られたりしていないし下着を身に付けていましたから、犯される前に死んだと思われて、取り敢えず生きているあちらのお姉さんを襲っていたと思いますが1人だけになって、囲まれて数で蹂躙でもされたんでしょう。
一応、このお姉さんの右腕と思われる腕は回収をしてきたので、素材的には失った片目と血が足りないぐらいですが……血液の方はこの水槽に満たしている魔力の液体を変換すれば良いのですが目はどうしょうかな……。
ここにある素材だと僕が遥か昔に倒した水龍王の目ならあるんだけど、これ適合するかな?
一応、奴が人の姿になった時の状態にしてあるんだけど何かの素材に仕えると思って残して置いた物なんだけど、後は魔物の素材になるからもっと駄目だろうな。
うん、仕方ないから取り敢えず移植して拒絶反応が出たらすぐに外すけどその時は気の毒だけど左目は諦めてもらうしかない。
髪の長いお姉さんだから、片目を隠せば瞑っていても違和感か無いはずなのでその時はそう説明しょう。
だけどちゃんと矢傷は消すから、顔に傷あり何て事はありません。
女性の顔に傷なんて残したら、一生のトラウマになってしまうかもしれないし、僕がそんな事は認めません!
方針は決まったので、傷と失った部分を再生しつつしばらく作業をしていたんだけど、体の再生が終わったところで問題が発生しました。
魂が離れかけていたので息を吹き返さないのです。
元々瀕死だったところに何とか生命を維持して肉体の復元をしていたのですが、ちょっと時間を掛け過ぎてしまったようです。
神聖魔法が使える最高司祭なら、この状態でも魂を呼び戻せるはずだけど僕は神聖魔法とは無縁なので無理ですね。
この状態で魂を呼び戻すか引き留める方法は僕には使い魔にするしかないのですが……人族に使った事は無いのでどうなるのでしょう?
城の護衛に使役していた使い魔達は、僕が倒した魔物で僕に服従をしても良いと言質を取った魔物だけなので、無理にすると主に反抗をすると戒めが発動をするからあんまりしたくないんだよね。
僕に嫌がらせをして逆らった魔族には見せしめの為に死なない程度にぶちのめして死にかけている所を使い魔にした事はあるけど、基本店に女性を縛ることはしたくないのです。
綺麗なお姉さんが昔から大好きだったので、僕は種族を問わずに気に行った女性は口説くか危険な所を助けて仲良くなるなんてことをしていたので、人族は勿論、同じ魔族からも夜の魔王とかたらしの魔王なんて呼ばれていたんだよね。
ちょっとお姉さんに甘えているだけなのに誰も理解をしてくれないんだけど、僕と仲良くなった女性だけは僕を理解してくれたので外野の声は無視をしていました。
それは良いとして、いまこのお姉さんを助けるには使い魔にする以外は僕には選択肢は無いので心で謝りながら儀式をすることにしました。
結果的には儀式は成功をして、お姉さんは僕の使い魔になったのですが全く目が覚めないので、ここに設置してある大きなベットに寝かせてから、もう1人のお姉さんの体を洗ってあげてあげました。
勿論ですが隅から隅まで綺麗にしてあげたので、汚らしいゴブリンの子供を孕んでいるなんてことはありません。
衣服なんてありませんが、あちらのお姉さんと同じベット寝かしたのですが代わりにしっかりとお姉さんの体は堪能させてもらいました。
このぐらいの役得はあっても良いと思いますが、睡眠の魔法を解いて起こして説明をしたのですが反応がありません。
反応は有るには合ったのですが……泣きながら「死にたい」とか「もう、帰れない」とか色々とネガティブなことを呟くだけなので困りました。
記憶を操作する魔法は有るにはあるのですが一度消しても再び同じようなことがあると思いだしたりするので、このお姉さんが結婚をして、旦那さんと良い事をするだけなら良いのですが本人が少しでも嫌な気分になったりすると多分思い出してしまうのでまずいかな……相手が以前の彼氏とかならともかくゴブリンに集団レイプされていた記憶だから、宜しくないかと。
取り敢えず呟きを聞いていると可愛そうなのでまた眠らせたのですが、これでは解決になりません。
うーん、どうしょうかな?
こんなことなら、もっと記憶を操作できる魔法をちゃんと習得をして置けば良かったのですが、この魔法の弊害は下手すると精神が本当に壊れてしまうから、まともに試すことも出来ないのです。
取り敢えずは僕も疲れたので、2人のお姉さんに挟まれて寝ることにしました。
うむ、2人とも中々良い物を持っているので、久しぶりに両手の感触が素晴らしいです。
どのくらいの時間が経ったのか分かりませんが、隣で私に声を掛けて来る者がいます。
ちょっと声のする方の手を動かして揉んでみると何やら甘い声に変わりましたが……あっ!
そう言えば、ちょっと魔力の使い過ぎで睡魔が襲って来たので2人の胸を揉みながら眠ってしまった気がします。
普通なら、この程度で疲れる事なんてないのですが、この体にまだ魔力が馴染んでいないので、体が睡眠を欲してしまうようです。
このお姉さんの再生にはかなりの魔力を使ったからなのですが、いまの僕にはあれが魔力の限界と分かったので良しとしましょう。
目を開けて、声のする方のお姉さんの方を見ると恥ずかしそうに怒って僕を見ています。
せっかく助けたのに怒るなんて、普通ならここで僕の好感度が上がるのになぜ?
「おはようございます、お姉さん。体調はどうですか?」
「お、おはようございます! それよりも私の胸を揉むのは止めなさい!」
「ふむふむ、感度は良好のようですね」
「な、なにを言っているのですか! 君のような子供が今からこんなことをしていてはいけません! 私は神に仕える身なのですから、この様な事は許されないのです!」
取り敢えず手は放したけど、お互いに裸なんだから「もう済んだ後だよ?」とでも言ってしまおうかな?
なんか動けないみたいなので少しからかってみようかな?
「えー、お姉さんもいずれは結婚をして旦那様といちゃいちゃして子供を作ったら、その許されないことを毎日することになるんだよ?」
「いちゃいちゃ……毎日……なんてことを言うのですか! その様なことは致しません! 子供は天からの授かり物なのです!」
はぁ?
いまどきそんなことを言うなんて、このお姉さんには性の知識が全く無いのですか?
いけませんね……これは夜の魔王と呼ばれた僕がしっかりと教育しなければいけません!
何も知らないお姉さんに教え込むなんて、ちょっと楽しくなりそうですが、その前に色々と聞かないとね。
「お姉さんの性に対する知識はわかりましたがいまはそれは置いといて、助けた僕に何か言うことはないのかな?」
「私を助けた……そう言えば私は死んだ筈なのですが、どうして生きているのでしょうか? それに左目に矢を受けて見えなくなったはずですが、失ったはずの目があります! それにしてもここはどこですか!?」
その前に僕に何か言うことはないのですか?
別に強制はしませんが、お姉さんからの感謝の言葉は僕の心を満足させる大事な言葉です。
そして、そのまま僕に惚れてくれるのが理想の結果なんですよね。
「お姉さんは神に仕える身なのに助けた僕にお礼も言わないなんて、地味に礼儀作法の教育がされていませんね?」
取り敢えずは神官なのですから、礼儀などの教育はされているはずです。
むしろ厳しい上下関係が叩き込まれていると思うんだけど、僕の勘違いかな?
「すると……あのゴブリンも群れから助けてくれたのは貴方なのですか?」
また質問ですか?
まずは僕にご褒美の言葉を下さい。
しかもせっかくカッコよく助けたのに記憶されていません。
最初にポーションでも飲ませて僕の活躍だけは見てもらうべきでしたね。
「ここには僕以外いないんだけど?」
「申し訳ございません……私を助けてくれた事にはとても感謝いたしますが、他の方達はどうなったのでしょうか……」
やっと聞けたけど僕が満足するには足りません……あとで代わりの報酬をしっかり貰いたいと思います。
他の人はと言うと……。
「んー、もう1人のお姉さんは助けたけど後は死体しか転がっていなかったから、今頃はダンジョンに吸収されていると思うよ?」
「そうでしたか……エリシャさんだけでも助かって良かったです……」
「いやー、そのことなんだけど、いま隣で寝かせているんだけどゴブリンに犯されまくっていたから、ちょっと精神が病んじゃって困っているんだよね。それにしてもお姉さんが死にかけるなんて、どうして襲われなかったの? 大人しそうだけどさっきの反応から見ると結構乱れそうだから、ゴブリンも興奮するのでは?」
一応は状況を聞いてみないとね。
「なんてことを言い出すのですか!? 君のような子供が口にする言葉ではありません!」
「だって、真実だし」
「そうなのですが……この子の御両親はどんな教育を……」
「それはもういいから、どうしてこうなったのかぐらいは教えてくれますよね? 見た目は子供でもお姉さんを助けるぐらいなのですから、僕が強いことぐらいは理解が出来ますよね? このダンジョンの上層部にいたんだから、お姉さん達のパーティーは駆け出しか初心者に近いと推測しますがどうなのですか?」
「……そうです。他の方達はどのくらいの経験者か知りませんが、私は神殿を出たばかりの見習いの神官です。一応、回復と補助の神聖魔法が使えるので、こちらの方達に誘われて付いて来たのですが……」
続けて詳しく話を聞くと、あの死体になっていた奴らに回復役としてパーティー入った訳だけど、村のギルドの依頼と言うのが最近森で異常が発生しているから調べて来て欲しいと言う探索以来だったんだけど、この寂れたダンジョンの周辺でゴブリンに襲われてダンジョンに逃げ込んだら、待ち伏せしていた奴らと挟撃されて全滅しましたという訳です。
探索依頼なのに何しているの?
しかも雑魚しか湧かないダンジョンといえど、ここに逃げ込むとかお馬鹿さんですか?
例えゴブリンに挟まれなくても他の魔物と遭遇したら、結果的に同じなんだから、逃げるところが違うでしょ?
きっと普段から、雑魚しか湧かない楽勝なダンジョンなら、隠れてやり過ごせるとでも思ったのだろうけど考えが甘いなー。
そんなに深く無い森とはいえ、この程度に苦戦する様な奴らでは遅かれ早かれこうなっていたと思うけど、そんな奴らに声を掛けられたこのお姉さんは不幸としか言いようがないね。
ちなみにもう1人のお姉さんは魔法使いらしいんだけど、同じく駆け出しの魔法使いとか戦力にならないでしょ?
そこそこの経験のある魔法使いなら、魔力があると思うけど駆け出しとか直ぐに魔力が尽きたら、もう何も出来なくなるのでは?
魔法が合った方が何かと便利と言われて誘われて付いて来たみたいだけど、その結果がゴブリンに寄る集団レイプとはお気の毒に……。
死んだ者達がどんな者か知らないけど下手したら2人とも森で襲われていたかも知れないのに若い娘が男3人にノコノコと着いて行くなんて危機管理も足りないね。
昔はその手の奴らから、襲われている所を助けて仲良くなった事があるので、僕的にはその状況に遭遇するのは大歓迎なんだけどね!
そう考えると……僕がこの2人と良いことをしてもいいような気がしてきたんだけど?
片や死ぬところを助けてあげたお姉さんとゴブリンの慰め者になっていたお姉さん……どっちも僕に大きな恩がありますよね?
隣で眠っているお姉さんの方は僕が記憶が塗り替わるぐらいに愛してあげれば良いと思えてきたので、こちらのお姉さんの方をどうやってその気にさせるかです。
幸いにもまだ体が動かないらしいので体調を見るふりでもして、その気にさせて見せます!
まずはこのお姉さんの名前を聞いておきましょう。
「大体の事情は分かりましたが、その前にお姉さんの名前を教えて下さい。あちらのお姉さんはエリシャさんと分かりましたが神官のお姉さんのお名前は?」
「私の名前はセラスと申します。光の女神ヴァリス様に仕える神官です」
なんと……あのクソ勇者に一番肩入れしていた女神ではないですか。
説得する機会が合ったら、早く信仰を辞めるように説得をしましょう。
「お姉さんはセラスさんと言うのですね。僕の名前は……」
そういえば僕の名前をどうしょう?
ここでガイウスなんて名乗ったら、魔王と同じ名前だとかで凶弾されてしまうよね?
短くしてガイと名乗っても良いんだけど後々に変な所で関連を持たれても困るし、まだ生きているかも知れない僕の恋人達にはばれちゃうよね……仲良くなると必ずガイ君になるから、あれからの時間経過が分らないけど長命の種族の者は絶対に生きているからね。
名前を決める前に少しだけセラスさんに現在の情勢を聞いて見よう。
「セラスさんに聞きたいのですが、魔王ガイウスは知っていますか?」
「魔王ガイウス……10年前に勇者様に滅ぼされた女性の敵と呼ばれた魔王ですね」
「えっ!? 女性の敵なのですか!?」
「男性は皆殺しにして、気に入った女性を見つけると魔王の力で洗脳して散々弄んで堕落させる恐ろしい魔王と聞いています」
おい、僕はそんな怪しげな魔王の力なんて使ってないぞ!
確かに敵対した者は倒して来たけど皆殺しにしてなんかいません!
ちょっと広範囲の魔法で僕の支配地域に攻め込んで来た軍勢を滅ぼしたことはあるけど、あれだってあっちが勝手に攻めて来たし先に僕の支配地の領民を皆殺しにしたのは、その軍隊だよ!
洗脳だってしていないのに酷い言い掛かりだ!
気に入った女性とは、ちゃんと頑張って言葉と行動で仲良くなっているだけなのにどうして堕落になるんだよ!
気を取り直してもう少し聞いて見ようかな……。
「魔王ガイウスは……そんなに酷い魔王だったのですか?」
「光の女神様の教えではそうなっていますので、間違いはないはずです。かつて光の女神様の加護を受けたヘレン様と言う方が、その魔王に篭絡されて加護を失い子供を身ごもってしまったことで、それ以来は魔王ガイウスは光の女神ヴァリス様の最大の討伐対象になっていたのですが、その諸悪の根源の魔王もついには滅びたので平和になったと教えられています」
何が平和なんだ!
侵略者はそっちじゃないか!
魔族が治めていると言うだけで、敵視してくれたけど僕の国は種族の差別が無い平穏な国だったのに呆れて来たよ!
それにしても……そんなことになっているなんてヘレンは一言も教えてくれなかったんだよね。
詮索はしなかったけど僕の子供を身ごもった時は、どうしても僕から離れたくないと言うので連れて行ったんだけど、あれは教団に追放されたか僕との関係がばれて追われる身になったんだな。
ヘレンが亡くなった時にせめて遺体だけでも故郷に埋めて置こうと思って景色の良い所に埋葬をしたんだけど、お蔭でシンシアと知り合うことが出来たから、結果的には良かったんだけどシンシアと出会った時に僕が名前を名乗った時にあんなに殺意の塊になったのはその所為か!
クソ……ちょっと愛を囁きまくっただけなのにこんな酷い扱いをするなんて、もしも力を取り戻してチャンスが訪れたら、絶対にヴァリスを倒すとここに誓うよ!
「どうかしたのですか? 現在はその暴虐の限りを尽くした魔王はいないのですから、安心をしても良いのですよ?」
セラスさんは優しく微笑んで僕を見ているけど僕の内心はそれどころじゃないんだけどね。
話を聞いていると僕がどんどん悪い魔王になっているんだよ……僕は他の魔王に比べてかなり穏健派なのに酷い扱いだよ!
大体、暴虐の限りとかしたことがないんだけどそれだったら、他の魔王のやつらの方が無意味に殺戮を繰り返しているのに……。
それにしてもこの怒りの矛先をどうしてくれようか!