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魔王様の隠匿生活  作者: セリカ
1/24

1 討伐されてしまったよ

 

 グランシア大陸の最南端に居城を構える魔王ガイウスの城の玉座に勇者と名乗る者達が勢ぞろいしている。

 

「これで終わりだな、魔王ガイウスよ!」


「まさか僕がここまで追いつめられるとはね……今回の勇者には、あいつらもちょっと肩入れし過ぎじゃないかな?」


「だまれ! 今まで貴様に殺された者の無念を晴らしてくれる!」


 この自分の正義を疑わない頭の固い者は今回の勇者だ。

 今までに何人もの勇者を名乗る者達を屠ってきたがこいつは別格だった。

 このグランシア大陸には、大きく分けると人族と魔族が支配してきた。

 他にも竜種やエルフやドワーフといった様々な種族もいるが、主に戦争をしているのは人族と魔族なのだが些細な事から、魔族は全種族の敵とみなされている。

 最初は人族が魔族の支配地に進行して来たのだが、返り討ちどころか尽く全滅させてしまったことから、魔族は悪の象徴とされてしまった。

 納得ができないんだけど、魔族以外が協力をして攻めて来る様になったのだ。

 それでも魔族の方が個の戦闘力が高いので、互角の戦いをしていたのだが、この世界の4柱の神があちら側に肩入れをした為にその均衡は破られてしまった。

 いま僕の前には、4人の勇者とやらが揃っている。

 1人は、如何にも自分の行いは正しいと言い張っている神族に与えられた聖剣とやらを持つ魔法戦士。

 1人は、強大な魔法で僕の配下を殲滅してくれた老魔導士なんだけど、どうもあの杖が魔力を何十倍にも高めているらしく、その魔力は魔族を超えているみたいなんだが、とても選ばれた勇者とは思えない悪人面の老魔導士。

 1人は、神聖魔法で、魔族に対する強大な結界を展開している女神官。

 1人は、威力のおかしい弓を持つエルフの戦士だ。

 こいつらは、それぞれに神の恩恵と強力な神器が与えられていて、強大な戦闘能力を誇る魔族の者達も次々と葬られてしまった。

 これだけの配下を育てるのに僕がどれだけ苦労したのか……まあ、半分以上は元々の前魔王の配下だったんだけどね。

 いつもならこれでも最後には勝ったのは僕ら魔族だったんだけど、今回は4柱の力を注ぎ込んだ者が現れた為に魔族は壊滅的な状況になっている。

 流石に僕も結界で力を抑えられて、魔法と絶え間なく神力の乗った矢で攻撃されて、防御を貫いて攻撃されまくっては、どうにもならなかった。

 僕が魔王として、強大な力を持っていたのは1柱を倒して、その力を取り込んでいたので、力を与えられた程度の者には負けはしなかったのだが今回は自分の力の一部を融合させた者や1人だけ4柱の力を惜しみなく与えたので、僕の力と互角になってしまったのだ。

 高位魔族と互角な者と僕を倒せる可能性がある者が4人もいるので、守りに回ってしまった為に今では、敗北寸前にまで追い込まれている。

 まったく、神族も僕を倒す為にちょっと力を与え過ぎじゃないかな?

 僕が倒した1柱とは正々堂々と戦って、僕が勝利したのにそれを良しとしないで、人族を先導して魔族を攻めさせるなんて、神族もやっている事が汚いよな……。

 あの1柱に勝つのに僕がどれだけ努力したと思っているんだよ……。

 どちらにしても次の一撃を耐えるのは無理なので僕の敗北は免れないが、この後に魔族の未来はどうなるんだろうね?

 他にいる魔王達もかなり強いはずだけどこいつらはちょっと異常な程に強いから、矛先を向けられたら多分敗北は確実なのではないかと思う。

 僕の敗北は確定なので、ちょっと最後に聞いて見ようか?


「僕は、もう君の次の攻撃に耐えられないと思うけど、他の魔族に対する処遇はどうなるのかな?」


「何を言っているんだ? 魔族など貴様を倒した後に一人残らず滅ぼすに決まっているだろう! 貴様らの様な悪の象徴は生かして置く事など出来ん!」


 予想通りの滅ぼす宣言だった。

 魔族の中にも戦闘能力を持たない民衆だっているのにお構いなしみたいだ。


「神族の遣わした勇者と思えない考えだな。大体、先に攻めて来たのはお前達だぞ? 最初に自分達から戦いを挑んで来て負けたのにそれを僕らの進行にすり替えて、他の種族をかどわかして寄ってたかって滅亡に追い込むなんて、おかしいと思わないのかい?」


「だまれ! 貴様は魔王の癖に子供の姿と口調で我らを油断させようとするぐらいなのだから、お前らに問題があったに違いない! 正義は我らにある!」


 こいつは洗脳でもされているのか頭が固いね。

 違いないとか言っているんだから、碌に調べすに聞いた話を鵜呑みにしているんだろうね。

 それよりも僕の姿に文句を言われてもね……。


「そんな事を言われても僕はもう何百年とこの姿と口調なんだけどね。ところで、僕を裏切ったカレンは、どうしたんだ? お前と愛し合っているなんて言っていたが他にもいた裏切った者達を率いてお前に仕える新たな魔王にでもなると思っていたのだが?」


 ここまで劣勢に追い込まれた原因でもあるんだよね。

 実力もあるから、敵対したのは痛かったね。


「あの女か……貴様の娘に相応しい強大な力を持っていたが倒してから、止めを刺そうと思ったが中々いい女だったので、命を助けて物にしてから口説いたら、俺に惚れるなんて馬鹿な魔族だったな。しかも、内部の情報から手引きまで全てしてくれるなんて、いい女だったよ」


 勇者の癖に利用するだけ利用したらポイ捨てか?

 勇者以前に男として最低だな。

 それよりも……。

 

「おい、過去形になっているんだがまさか殺したのか? あの娘は本気で、お前に惚れていたんだぞ? だから、お前に僕が倒されるのも許容したのにな……」


「滅びる前に教えてやるよ! お前を裏切ったあの売女なら、決戦前に始末してやったよ! ついでにこちらに裏切ってくれた奴らも今頃は死んでいるんじゃないかな? ちょっと殺すには惜しい女だったが魔族だし十分に利用したから、もう用済みなんだよ!」


 こいつ最低だ。

 こんなのが勇者とは、世も末だな。


「神族に選ばれた勇者様が呆れるな……まあ、僕の娘にも男を見る目がなかっただけか」


 僕の娘カレンは、四百年前に人族の娘との間に出来た子だ。

 当時の僕は、まだ魔王として君臨していなかったけど魔王としての実力は合ったのに1人気ままに放浪していたんだ。

 後に僕が1柱を倒して、力を取り込んだので、当時に魔王を名乗っていた友に頼まれて、この国を仕方なく引き受けたんだけど僕が統治とかに興味が無いから、宰相として取り仕切っていてくれたんだけど、この人でなし勇者に倒されてしまった。

 いま思えば、僕がこいつら全てを引き付けて、あいつを逃がしていればこの国の魔族の再起か残った者を纏めてどこかに逃がす事も出来たなかもね。

 しかし、こんな事になるのだったら、あのまま放浪の旅をしていれば良かったと思うよ。

 あの頃は、人族の娘にちょっかいを掛けていたので、色々と遊んでいたんだけど1人だけ僕の正体に気付いても熱烈に好意を寄せて来るし、どうしても僕の子が欲しいなんて言うから、色々と条件を出したのに全てクリアしてしまったので、流石に僕も折れてしまったんだよね。

 そう言えば、あの娘も神族に選ばれた神官戦士で、魔族を倒すと息巻いて僕に挑んで来て、僕が勝ったんだけど好みだったから、女性としての幸せを教えたんだよね。

 ちょっと面白いお姉さんだったから、つい手を出してしまったんだけど、考えてみたら、この人で無しの勇者に負けて抱かれてから、甘い言葉で惚れさせらたと思うと母親に似たんだろうね。

 僕の魔力と母親の容姿に似たので、ハーフだったけど美しい容姿と僕に次ぐ力で、派閥を持つまでに至ったのだが末路がこうなるとはね。

 惚れた相手の為に盲目になるのは、どうも母親譲りだったがそれが今回の僕の敗北に繋がるなんて想像もしなかったよ。


「死ぬ前に確か「お父様、ごめんなさい」とか言っていたな。 笑えるぐらいに馬鹿な女だ。最強の魔王と呼ばれたお前を早く滅ぼせたのは、あの女のお蔭だから、少しは感謝している」


「そうか、最後には目が覚めたのなら、親としては少し安心したよ。まあ、良く分かったけどいずれ君達も同じ様に滅ぼされると予言しておくよ。所詮は神族に操られている哀れな者達よ」


「我らと神族を愚弄するとは、滅びよ魔王よ!」


 自称正義の勇者が振り下ろした剣に斬り殺されて僕は倒されてしまった。

 しかし、この時に僕は1つの魔法を発動させていた為に魂だけは脱出する事に成功していたのさ。

 決戦前夜に僕も1つだけ仕込みをしていたからね。

 僕の娘がこの勇者と会っていたように僕は女神官シンシアと接触していたんだ。

 彼女とは、知らない間柄ではなかったんだよね。

 神族に選ばれて僕の討伐に来たんだけど、僕を倒す事には躊躇していたんだ。

 僕の悪い癖で、数年前の選ばれる前に僕と深い仲になっていたからね。

 戦いが激化する前にカレンの母の墓に行ったら、僕が魔族と気付いて襲って来たんだけど、返り討ちにして近くの村の近くに放置して置こうと思ったんだけど……ちょっと好みだったから、久しぶりに自分が魔王である事を忘れて、しばらく一緒に暮らして居たのは内緒だ。

 シンシアは厳しい神殿の修行しかしていなかったので、男に対する免疫がなかったから、僕に夢中になってくれたから可愛かったんだよね。

 だけど、神族の1柱に選ばれた以上は戦いに参加するしかなくて、強力な結界と支援を担当していたんだ。

 いま思うと、僕と接触が合ったのを知っていて、わざとシンシアを選んだんだと思うよ。

 決戦前に会って話をして僕はこのまま倒される事を伝えると泣きながら何とか僕を助けたいと言うので、それならばと結界の一部を気付かれない様に開けてくれる様にお願いしたら、快く引き受けてくれたよ。

 これで、肉体は破壊されるけど魂だけは脱出する事に成功して、予め僕が用意していた依代に移動する事にしたんだけど、1つ問題があるんだ。

 僕の魔力は大きすぎるので、他の肉体に移っても存在して生きている事が知られてしまえば、復活後の弱体化している僕を見つけ出されたら今度こそ滅ぼされてしまうので、シンシアには上手く復活が出来たら遭いに行くとだけ約束をしている。

 本当は、上手く欺いて脱出に成功したら、シンシアがどんな事をしても僕の存在を隠しきるので、どこかで一緒に暮らす約束だったんだけど、彼女は神族の恩恵を受けているのでいずれ知られて僕と一緒に討伐の対象になってしまう可能性が高い。

 もしもそのまま暮らして彼女との間に子供が出来たら、僕の魔力と彼女の神族の恩恵を受けた力を宿した子が生まれたら、ちょっと面白いかな~と思ったけど、その場合はどちらの陣営に属する事になるのかな?

 僕が昔の1人気ままに生きていた頃だったら、魔族の滅亡も仕方ないと思って無視をしていたんだけど、全てを率いる身を任されて滅ぼされたんじゃ面白くないから、可能であればシンシアを除く勇者達は倒すつもりだ。

 本当はシンシアと再会をする事が出来たら、彼女が生きている間は、約束を守っても良いと思っていたけど、最後にあんな話を聞いた以上は少しは仕返しがしたくなったんだよ。

 問題があるとすれば、用意した依代に宿らずに飛んだ先で、僕の魂が耐えれる肉体が見つからないとそのまま消滅する可能性があるんだけど、ちょっとまずいかな?

 しかし、もう賽は投げられたので、僕が用意した依代が滅びずにまだ残っている事を祈るだけだ。

 そして、最大の問題は初めて試したこの魔法が成功していればなんだけどね。

 この魔法だって、僕が倒した1柱から得た知識だけど試した事がない魔法だから、必ず成功するとの確証は得られていない。

 昔にこの地域で魔王をやっているのに飽きた僕が内緒で研究をしていたんだけど試す前に戦争が始まったから、封印していたんだけどこれが成功してたら、自由が手に入るか失敗して消滅するんだけどあの頃は僕がいなくなっても問題は無かったから、仮に失敗しても良いかとぐらいにしか考えていなかった。

 だけど、出来る事なら成功して新しい生と可能であればあいつらを倒すか足でも引っ張ってやりたいので、成功をしている事を祈るよ。

 そんな事を考えている内に僕の意識は薄れていくので、もう考えていられないみたいだ……。



最初に投稿していたお話をなんとか書き終えましたので、なんとなくでこちらを書き直していきたいと思います。

取り敢えずは、既に投稿されている話を書き直す程度になります。

ですが、一旦他部分を削除したいと思ったのですが、方法が分からないので、タイトルだけ残して文章を消しておきますと思ったのですが……それはできなかったので、順番に直すことにします。

じゃないと、私も読み直しながらなので、当時とは違った内容になってしまうので……その辺りはお許しください。

もしも、お読みになるのでしたら、最近の日付になってからお読みください。



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