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0話「俺たち」
俺は、二木幹。少々女っぽい名前をしているが、立派な男子高校生だ
「おい、ミキティー一緒に帰ろうぜー」
「ああ、ごめーん、今日はちょっと用事があって」
「なんだよ、ゲーセン行こうと思ってたのに」
「ごめん、また今度ね」
このようにきちんと友達もいる。
至って普通の高校生だ。
「はぁ」
「おいおい、いいのか幹。一緒に帰ってやんなくて」
「いいんだよ、お前のこと、絶対にバレたくないし」
ただ、ただ一つだけ普通じゃないことがある
「何だよバレたくないって、俺も紹介してくれよ」
「嫌だよ、変な奴だって思われる」
いや、言わなければバレないことなのだ
「変じゃないだろ、大丈夫。普通普通」
「普通じゃないだろ、こんなやつそうそう居ない」
「どこが変だっていうんだよ」
そんなの決まっているだろう
「だって変だろ、自分で自分に話しかけてるなんて」
そう、私は二人の「私」を持っているのだ