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第六話 これからが本番ですので

 




「ところで、アトラさんは男性・・・でよろしいですか?」


 メニューの説明が終わって、椅子に座ったまま体を伸ばしているとアスフィルさんが何かを言った。聞き間違いかな?


「女性にも見えますけど男性ですよね?」


 ・・・え?

 アスフィルさんは何を言っているの?

 私が固まっていると、チュートリアルの間ずっと寝ていたアルカが目を擦りながら私の袖を引っ張った。

 アルカを見ると両手を前に突き出し、聞き取れない謎言語で何かを言うとアルカの手から水が出てきた。やがて波紋一つ無い、宙に浮かんだ平べったい水の塊が出来た。


「・・・水鏡(みずかがみ)ですか。アルカさん?いきなりどうしたのですか?」


 アルカの行動がよく分からずアスフィルさんを見てみるも、アスフィルさんも首を傾げている。

 私がアルカの作り出した水鏡を覗いてみると、どこかで見覚えのあるような青年が映っていた。


 ・・・あれ?おかしくない?この部屋には私、アルカ、アスフィルさんの3人しか居ないんだけど。男の人なんて居ないんだけど!

 しかも映っている青年の頭には猫耳が付いている。黒い髪と同化しているがアレは間違いなく猫耳だ。

 思わず頭の上にあるはずの猫耳に手を伸ばすと、鏡に映る青年も同時に猫耳に手を伸ばしていた。いや、そんなハズない。

 頰を引っ張って見る。同時に青年も頰を引っ張っている。

 嘘だ。誰か嘘だと言ってくれ。


「アトラさん?・・・ああ、来訪者(プレイヤー)の方々はこちらでは姿が違うのでしたね。鏡に映る自分の姿に戸惑う事が度々あると聞きますからね」




 後から知った話だが、キャラクターメイキング時に現実の自分の姿から顔や体型を弄ることが出来るらしい。大幅に変えることは出来ないらしいが少し弄るだけで以外と変わるものなのだとか。

 ただし、性別は変えられない。変えられないハズらしい。




 正直、アスフィルさんに自分は女だと言いたい。言いたいが、万が一にもシュナとの関係がバレたらまずい。一応あんなのでもこの世界にとっては創造神。気軽に友人ですなんて言えない。

 それになんて説明すればいい?

 友人に勝手に性別を変えられたんです。どうやって?

 なんかバグみたいです。そんな事があると信じてもらえる?

 うん、隠そう。

 (さいわ)い私はアスフィルさんとあまり会話をしていない。していない訳ではないが、初対面だし上位精霊さんだとかでほぼ敬語で喋っていた。

 中身がコレでも口に出さなければセーフってことだね。アスフィルさんに対してはこのまま敬語を貫こう。他は一人称を変えるだけでいいだろう。意識し過ぎると逆に変に思われるし。



「すみません。鏡に映る自分の姿がいつもと違うのはやはり違和感を感じるものですね」


「その様ですね。・・・すみませんアトラさんが中性的なので思わず女性なのかと確認してしまいました。大変失礼しました」


 確かに今の私は中性的かもしれない。骨格や筋肉の付き方とかが男性になっている他は、ほぼほぼ全て元の私のままだ。

 顔だって私の顔のまま男になっている。まあ、多少凛々しくなっているくらいだ。つまり女装すれば女に見える外見であると言える。

 女性にしては身長が高いけど、それは元からだから多分リアルと変わらない。気付かないくらいだし。

 全然気にしてなかったけど声も若干低いかもしれない。元々ハスキーな声だったし、電話越しだと男と間違えられることも何度かあったし・・・。私は女なんだけどなぁ。

 まあ、でも普通に男だね。中性的だけど男性だね。

 現実逃避は止めよう、現実じゃないけど。


「ともかくアトラさんは精霊との契約を行い[精霊術]スキルを得たので、契約報酬を進呈します」


 そう言ってアスフィルさんは何かを渡すように手を差し伸べた。すると手からキラキラ光る何かが出てきて、それは水色の布になった。


「これは〔水精霊印の服〕です。インナーとして中に着てくださいね」


 布ではなく服だったようだ。ツルツルしていて触り心地は良さそう。


「どうやって装備したらいいのですか?」


 そう言えば装備欄みたいなのが無かった。インナーとしてって事は他に上に装備出来るって事だよね?


「普通に着替えていたたければ良いのですよ。鎧等も自身で装着することになります」


 難易度高くない?

 現代っ子はリアルで重鎧とか甲冑だとか見た事すら無いよ?それを自分で着けるって無理じゃないかな。


「装着の仕方は武具店や冒険者ギルドなどで聞く事が出来、スキルを得れば自身で装備するのも楽に出来ます」


 つまり重装備したければスキルは必須って事だ。ただでさえ重くて動きにくいのに、装備するのも大変とか不遇だね。

 ある意味ロマンがあるとも言える。かもしれない。


「[重鎧]等のスキルのなかには、(アーツ)の[早着替え]や[瞬間装備]等がありますので、それを習得出来ればそこまでの不便は感じないと思います。・・・習得するまでが大変ですが」


 つまりスキルは常時発動型(パッシブ)(アーツ)任意発動型(アクティブ)って事で、(アーツ)を覚えればゲームみたいに装備するのも簡単な訳だ。

 ・・・装備する為だけにスキルや(アーツ)を取得させるとかシュナの奴、鬼畜だな。


「それと装備すると言うことは着替えると言うことです。なので街中で着替え無いでくださいね?露出狂扱いされることもありますので」


 装備を着替える為には、宿屋の自室か冒険者ギルドの更衣室などを利用しなければいけない。装備を販売している武具店にも更衣室があるが、小さい店舗だと無い場合もあるらしい。

 なんでこんなところに無駄な力を注いでいるのかな?もっと他にやるべきことがあるんじゃ無いのかな〜?こんなことにリアリティを求めて無いから!シュナのこだわりが分からん。

 ともかく、せっかく貰った物だアイテムボックスに入れて、後で宿屋で着替えよう。


「あとは装備に上限はありません。趣味は悪いですけど、ネックレスをいくつも重ねて首に掛けるなども出来ます。ただし、その場合はネックレスの効果が互いに反発してしまい効果が下がったり、あるいは効果が打ち消されてしまうこともあります」


 着けられるからと言って、同時にいくつものアクセサリーを着けても意味がないって事だね。鎧とかも頑張れば二重装備出来るかもしれないけど、まず動けない。

 物によっては相性があり、相性がいいとセット装備として逆に同時に装備することで効果が上がる物もあるとか。


「色々と試してみて下さい。私が全てを話してしまっては面白味に欠けますからね。・・・長くなってしまいましたがチュートリアルの報酬を選んで下さい」


【チュートリアルが終わりました。報酬を選んで下さい】


 アナウンスと共にウィンドウが現れた。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 チュートリアル報酬を選んで下さい。


 ・初心者の剣

 ・初心者の槍

 ・初心者の弓

 ・初心者の短剣

 ・初心者の杖

 ・初心者のメイス


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 現れたウィンドウには初心者の為の武器が載っていた。所謂、初期装備ってやつだ。


「この中のどれかを一つ選んで、取り出すことで決定となります。武器についてなどは街で聞いてみて下さい。この初心者の武器にも耐久値がありますので注意して下さい。耐久値が無くなると武器が壊れますので早めに新しい物を手に入れることをオススメします」


 私のステータス的にAGI特化みたいだから早さを生かして短剣にしてみようかな?

 初心者の短剣を選ぶとウィンドウが消え、普通の短剣が現れた。普通って言っても飾り気のないナイフよりは長い鍔のついた刃物って感じだ。本物なんて見た事無いからね。

 持ってみると意外にズシっと重く、包丁よりは重いけど片手で振り回せるくらいだ。


「では、チュートリアルを終了します。元の場所に戻るだけなので安心して下さい」


「あ、アスフィルさん」


 思わず呼び止めてしまった。


「ここを出た後、アスフィルさんに会う方法はありますか?」


 水の精霊なのだから、きっと海とか湖とかに居るのかなとは思うけど。

 せっかくアストリカ最初の知り合いなのだし再会を目指してみるのもいいかなって。


「アトラさんは本当に変わった方ですね」


 微笑みながら言う。

 ちょっと待って!ワタシ、カワリモノ、チガウ。

 笑いながら人を貶めるの良く無い。


「もちろん良い意味です。大概の方がチュートリアルを受けると「だろうな」だとか「まだ?早くして」だとか人の話を聞いてくれませんから。この世界を楽しみにして下さるのは喜ばしいのですが、後で困ればいいと思います。ので、話を聞いて尚且つ質問をする、更には再会を望んでくれる方は非常に珍しいのです」


 なんかサラッと変なことを言ってませんデシタカ?気の所為ですね、はい。

 でも史上初のVRMMOだからってチュートリアルは真面目に受けるべきだと思う。むしろ史上初なんだからちゃんと説明は聞いておいた方がいいかと。だって作ったのシュナだし。

 スタートダッシュして俺TUEEEしたいのは分かるけどね。後で詰むんじゃないかな?


「良い意味で変わり者のアトラさんには私からプレゼントです」


【称号[水精霊の加護]を得ました】


 何事⁉︎

 アスフィルさんが両手を組んで祈る様に目を閉じるとアナウンスが鳴った。


「私からの加護です。貴方が海底神殿に辿り着いた際には私や女神様からのクエストを受けて下さいね?それでは」



 チュートリアルを受けた時と同じように光に包まれていく・・・。


 待って‼︎今凄いコト言ってたから。

 アスフィルさん。なんか爆弾置いてったから‼︎

 女神とかクエストとかなんか重要そうなコト言ってたから‼︎

 これ多分フラグだからぁ〜〜〜っ(泣)。









はい。という訳でアトラさんではなくアトラ君になりました。

わーパチパチ。

ようやく主人公の事が書けたよ。

ここまで隠す為に主人公の描写とか入れて無かったんですよ。

頑張った。

まあ、描写とか苦手なんであくまでもイメージですが。

これからも多分そんな感じですね。


そう言えば、チュートリアルが終わったのでアスフィルさんの言葉が少しくだけました。分かりづらくてすみません。主人公も気付いてない・・・。


さて、次回からようやく次回から説明会ではないちゃんとした話が出来る・・・筈。

頑張りますのでよろしくお願いします。


仕上がり次第、投稿しますので少々お待ちくださいませ。


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