第五話 続・チュートリアル
今日はここまでです。
ふぅー。
アスフィルさんをなんとか誤魔化したぜ。
「称号についてですが、取得する事でその恩恵を得ることが出来ます。スキルと同じようですが、スキルとは違い行動次第で失う場合もあり、持っているとデメリットがあるものもあります。スキルが行動補正なら称号は自身の強化や技の取得に関係してきます。また、称号を獲得する事で二つ名が変化していきます」
おお、二つ名。
ステータスにあったのは気付いてたんだけどね。
「二つ名はどんな効果があるのですか?」
「二つ名には特別な効果はありません。ですが、二つ名が広まればアストリカ人からの好感度が高くなったり逆に低くなったりします。また、二つ名で呼ばれることもあります」
それって厨二病チックな設定だけど、恥ずかしがる人とか絶対いるよね?少なくともここに一人いますんで。
「尤も、目立つ行動を起こさない限り滅多な事では二つ名は広まりません」
よし、地味に行こう。
なんかフラグ臭したような気がし・・・ない。しないったらしない。
「二つ名で呼んでもらえるくらいの実力と知名度があれば、王城に招待されるなどの普通の冒険者には味わえない経験が出来るかもしれませんよ?」
ふふって笑いながら言われても・・・。
「称号について質問が無ければ次の説明に移ります。次は『アイテムボックス』ですね」
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アイテム一覧
・初心者セット〈×1〉
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「既にアイテムが入っていると思いますので取り出してみて下さい」
アイテム覧から初心者セットを選択すると自身の目の前に四角いオブジェクトが現れた。
宙に浮いているそれに両手で触れると、手に重さを感じ宙に浮かなくなった。
「今のようにアイテム欄から取り出すと宙に浮いた状態で出てきます。10秒経つと自然に落ちますので気を付けてください。では今度は取り出したアイテムをアイテムボックスに入れてみてください」
・・・どうやって?
取り出すのは選ぶだけだったけども?ウィンドウに押し付ければいいのかな?
アイテムボックスの画面を開いたままのウィンドウに初心者セットを押し付けてみると、スルっと吸い込まれてアイテム一覧に初心者セット〈×1〉が追加された。
「入れられましたね。今のようにウィンドウを使って入れる他にアイテムバッグに入れる方法があります。アイテムバッグは街の雑貨屋などで売られており、自身のアイテムボックスとリンクさせる事で容量を増やしたりアイテムを取り出したり出来ます」
アイテムバッグがあれば一々アイテムボックスを開く必要がないという事だ。
戦闘時のポーションとかはアイテムバッグから取り出す方が手早く使用出来そうだ。
「便利なアイテムボックスですが、その容量は来訪者のステータス値の合計に左右される為、多くのアイテムを収集するにはステータス値を増やす必要があります。とは言ってもアイテムボックスに入れておく限り重量は関係ないのでSTRの値が低くても他のステータスが高ければ問題ありません。また、先ほど述べたようにアイテムバッグをリンクさせる事で容量を増やす事が出来ます」
とりあえず街に戻ったら雑貨屋でアイテムバッグを見てみようかな?
「『アイテムボックス』の説明は以上ですが、こちらの初心者セットを使用してみてください。箱を開けて中身を出してください」
初心者セットの蓋を開けると中には、青い液体の入った瓶と銀色の硬貨の入った袋が収まっていた。
「こちらの瓶はポーションです。飲んだり掛けたりすることでLPを回復出来ます。硬貨はアストリカの通貨です。硬貨のまま使用することも出来ますが、ギルドカードに収納して支払いなどを行う事が出来ます」
「ギルドカード?それはギルドで貰える物で合ってますか?」
ギルドカードって言えば冒険者ギルドの登録証でしょ?ランクとかあるやつ。
「合っています。ギルドカードについては冒険者ギルドに登録する時に詳しいことを聞いてください」
ちなみに硬貨のまま使うと、銀貨1枚=100メトルらしい。メトルがこの世界の通貨の単位みたいだ。
ポーションと袋をアイテムボックスに仕舞う。
中身を取り出すと箱は光の粒子になって消えた。
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アイテム一覧
・青コモンポーション〈×5〉
・硬貨の入った袋〈×1〉
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アイテムボックスに入れたらアイテムの名前が分かるね、これ。
効果値までは分からないけど[鑑定]スキルとか無い限り結構重要な情報源になると思う。
「以上がアイテムボックスについての説明です。次は『フレンド』機能ですね」
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フレンド一覧(登録1人)
ブラックリスト一覧(登録0人)
メール一覧(1通)
フレンド申請
PvP申請
掲示板
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「フレンド一覧でフレンド登録した人のログイン状況が確認出来ます。その他にログイン状態にあるフレンドに念話通信をしたり、ログイン状態にないフレンドにはメールが送ることが出来ます」
連絡機能ってことだ。
仲良くなれたらフレンド登録したいな。生産系の人に装備を頼んでみたり、消耗品を頼んでみたり。パーティを組む為に待ち合わせたり、大事な機能だ。
「ブラックリスト一覧は、目視した相手や指名手配書の人物をブラックリストに登録したり、一定距離に登録された人物がいる時に警戒音を鳴る様に設定出来ます。しかし、[隠蔽]スキルや[潜伏]スキルを持っている場合は警戒音が鳴らない事があります」
迷惑な人を登録して近くに居たら避けて通ったり出来るってことだ。でもスキルによって鳴らないならPKする人とかも居そうだな。
PKつまりプレイヤーキラー。
一応この世界にも殺人鬼とかシリアルキラーとか暗殺者とか居るらしい。その中でプレイヤー専門で殺人を犯す者としてこちらでは認識されているらしい。
アストリカ人にもPKはいるだろうし、プレイヤー側にもアストリカ人を殺す人がいるかもしれない。
「メール一覧はフレンドからのメールはもちろん、貴方達の世界からのメールも読めます」
パソコンやケータイのアドレスをVR機器に登録すれば現実でのメールをこっちでも送受信出来るって事だ。
「フレンド申請はそのままですね。フレンド一覧に登録したい人に送りその人が許可をすることでフレンドになります」
フレンド申請をすると申請をされた側に専用のウィンドウが表れて『申請を受ける』、『申請を受けない』、『ブラックリストに載せる』の3つの選択肢が出る。『ブラックリストに載せる』は、しつこく申請を送ってくる人対策でブラックリストに登録された人物はその人にフレンド申請が出来なくなるらしい。
「PvP申請は来訪者同士の対戦を申し込む為のものです。ルールやハンデなどを自由に設定することが出来ます。デスペナルティーの有無もです。もちろん申請を受けた側は拒否することも出来ます」
仲間内での戦闘訓練や技の確認、腕試しなど様々な用途で使われる為、ルールやハンデの設定が割と細かく出来るようになっている。他にも賞金や賞品の設定、PvPを申し込まれた方からの設定の追加なども出来る。
また、とある条件を満たす事で特殊なPvPをすることが出来るようになるらしい。
「掲示板は情報管理を専門とする精霊によって運営される、来訪者同士の交流を行う為のものです」
この掲示板は現実のネットとは繋がっていない為、VR機器内やログイン状態でのみ閲覧出来るもので精霊によって管理されている。
掲示板を管理する精霊はアスフィルさん達とは違う、どちらかと言うと元のアルカみたいな擬似精霊と呼ばれる存在に近い者らしい。つまり、多分シュナが作ったAI。
また、アストリカの情報を現実で発信することを禁じているらしくその監視もこの情報精霊が行っている。もちろん掲示板内での不適切な発言等もである。
掲示板の一番上に固定で公式スレが存在していて、主にイベントのお知らせや注意事項などを情報精霊が載せてくれるものらしい。
「最後に『ログアウト』ですが、言うまでもなく貴方達の世界への帰還ですね。注意事項としてはログアウト出来る場所と出来ない場所があると言うことだけです」
それはログイン前にアルカが教えてくれたやつだね。
「以上でメニューの説明は終わりです。お疲れ様でした」