第四話 チュートリアル開始します
今のアナウンスは一体何だったんだろう。
確か精霊術とか言ってたしアルカに関係あるのかな?
「あの・・・スキル[精霊術]を取得しましたってアナウンスがあったのですが」
「・・・チュートリアルを行う前にスキルを入手されてしまいました」
どことなく凹んだ様子のアスフィルさん。
どうしたのかな?
「脇道に逸れてしまいましたが、チュートリアルに戻りましょう。まずはステータスの説明からさせていただきますのでメニュー画面を出してください」
「ステータスオープン」
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名前/アトラ=アステラ=レイナシオン
二つ名/初心者来訪者
・ステータス
・スキル
・称号
・アイテムボックス
・フレンド
・ログアウト
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「では『ステータス』を押してください」
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名前/アトラ=アステラ=レイナシオン
種族/獣人(黒猫耳族)
状態/普通
LP 200/200
MP 200/200
STR 32
VIT 17
AGI 83
DEX 68
WIS 62
MID 38
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これが私のステータスか。
メッチャ偏ってるなぁ。
・・・獣人だと⁉︎
急いで頭の上に手をやるとモフっとした感触が・・・。後ろを振り返ると黒い尻尾がゆらり。
なんてこった、今の今まで気づかなかった。
それに髪型が現実と違う。横の髪が長めで後ろが短い。服装だってザ・初期装備‼︎感満載だし。
もう少し落ち着いて周りを見れるようになりたい。自分の格好くらい確認しておけよ私。
「アトラさんは獣人の猫耳族なのでAGI、DEX、WISに優れ、STR、VIT、MIDが低くなっています」
STRは筋力値で、この値が高いほど力が強くなり武器による攻撃の威力が上がる。また、大剣や重鎧などの重量の重いものはこの数値が低いと装備出来ない。
VITは屈強値で、この値が高いほど頑丈になり物理的なダメージが少なくなる。また、この値が高いとタフになり疲れにくい。
AGIは敏捷値で、この値が高いほど体感的に体が軽くなり早く動ける。
DEXは器用値で、この値が高いほど器用になりイメージ通りに行動出来る。
WISは魔力値で、この値が高いほど扱える魔力が多くなりMPが増える。
MIDは精神値で、この値が高いほど魔法によるダメージが少なくなる。また、回復魔法の効果が上がる。
この6つの値がステータス値になる。
他にも表示されていない体力値や運値、空腹値もあるらしい。
「LPはライフポイントです。0になってしまいますと蘇生しない限り神殿での復活となり、しばらくの間ペナルティが発生します。MPはマジックパワーです。こちらは0になると気絶してしまいます。しばらく寝ていると回復してきますが極力気絶しないように気をつけてください」
うん。一般的なゲームの設定と大差無いね。
「次に『スキル』の説明を致します。『スキル』画面を開いてください」
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取得スキル一覧
[精霊術] レア度☆5
契約した精霊に魔力を渡し魔法を行使してもらえる。また、精霊言語を覚えることで契約の無い精霊にも魔法を使用してもらう事が出来る。
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これはさっきのアナウンスのやつだね。
アルカが私の契約精霊になったから取得したんだね。
「こちらに貴方の取得したスキルが記載されていきます。スキルのセット等はありません。取得した時点でスキルの恩恵が常時発動されています」
「どういうことですか?このスキルは所謂パッシブスキルではないですよね?」
スキルって言ったら常時発動型スキルと任意発動型スキルじゃないの?
精霊術は魔法系の任意発動型スキルじゃないの?
「スキルとは貴方の行動により取得していきます。例えば、[採取]スキルならば多くの素材アイテムを自分の手で摘み取ることで取得します。取得すると取得する前に比べて品質の良い物が採取出来ます。しかし、スキルが無くても採取自体は出来ますし採取しなければスキルは取得出来ません」
なるほど、ならば[剣術]スキルとかも剣を振っているうちに覚える訳だ。
でもそれって・・・。
「スキルがあっても技みたいなものは使えないのですか?それに自分の運動能力が低ければ難しいのではないですか?」
運動音痴の人とかが戦闘系のスキルを取得するのは大変なんじゃないの?スキルを得てもそれで戦えるかな?
「スキルの中には技が存在するものもあります。技を習得するのはスキルを取得するよりも難しいですが、一度習得出来れば技を使おうと意識する事で使用出来ます。また、習得した技はそのスキルの欄に記載されます」
スキルの他に技があるのか。
「また、スキルには行動補正が掛かります。先程の例で言いますと[剣術]スキルさえ取得すればあとは行動補正により剣の使い方がわかります。行動補正により、体が自動的に動く訳ではありませんので安心してください。基本的に取得する為には繰り返し行うことが必須なので取得する間に行動補正の基礎が出来上がります」
ヘぇ〜、凄い。
けど繰り返すだけでスキルが取得出来るなら結構簡単なんだね。
「ですがただ剣を振っていれば取得出来る訳ではありません。しっかり意識して剣を振らないと取得には至りませんし、体に馴染みません。この世界にはレベルという概念がありませんので、スキルを取得した後はスキルを自身に馴染ませる必要があります」
そういえばレベル欄とか無かったかも。
けど自身のレベルもスキルのレベルも無いとか結構厳しくない?ステータスすら上がんないってことじゃん。
「全ての行動に意味がある。訳ではないですが例えば腕立て伏せのようなトレーニングをすればSTRが上がりますし、魔獣を倒し、素材アイテムを使って強い武器を得たりする事も出来ます。また、称号恩恵などもありステータスを上げていくことが出来ます。称号については次に説明します」
うーん。
結局やってみなくちゃわからないって感じかな?
「ところでこのレア度って何かな?いや、珍しい感じなのはわかるんだけど・・・」
☆5って結構レア度高そうだけど。
「レア度は取得難易度です。☆7まであり、数字が大きいほどレア度が高く取得が難しいです。また、レア度が高いほど極力なスキルだったりしますが使い方もまた癖があったりしますのでレアスキルだからいいとは一概には言えません」
レア度が低いということは取得し易く使い易い。
レア度が高いということは取得し難く使い方に癖があるロマンスキルだということか。
ちなみに、[精霊術]スキルは精霊と契約することが必須であり、契約した時点で取得出来るレアスキルらしい。
レアスキルは基本的に特殊条件を満たす事で取得するモノなので、場合によっては取得条件が分からないまま取得することがあるかもしれないらしい。
「他に質問が無ければ次の『称号』について説明します」
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取得称号一覧
[創造神からの愛]
創造神に愛されている者に与えられる称号。
トラブルに巻き込まれ易くなる。
レアアイテムを入手し易くなり、レアモンスターやユニークモンスターに出逢い易くなる。
この称号を所有している事をアストリカ人にバレると大変な事になっちゃうゾ☆
[黒猫]
黒猫の獣人に与えられる称号。
他者に幸運又は不幸をもたらす。
自身には影響がない。
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シュナーーーーっ。
何してんの?
何しちゃってんの?
アホーーーーっ。
なんつーことしちゃってんのよあんにゃろう。
次に会った時が最後だと思え。
ちくせう。
「アトラさん⁉︎大丈夫ですか⁉︎いきなりどうされたのですか?称号欄に何かあったのですか?」
「何でもない何でもない。何でもないったら何でもない」
セーーーッフ。
アスフィルさんにウィンドウを見られてなくて良かったぁ。
バレたらヤバい。
隠さなきゃ。