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閑話 アストリカの人々

すみません。やっぱり時間が取れません。

2日に一回の更新でいきます。

 



 今日は良い天気ね。

 空は晴れているし、良い日になりそう。

 あら、そう言えば今日って・・・。

 大変!

 今日から来訪者(プレイヤー)の方々がやって来るんじゃなかったっけ。急いでギルドに行かなくちゃ。


 私はキーラ。

 冒険者ギルドで働くエルフだ。

 街の人達から依頼を受け、冒険者達に受注する。新人冒険者にアドバイスをする事もある。

 そんなごく普通のギルド職員の1人だ。

 今日も今日とて仕事に励みますよ!

 母親譲りの金の髪を風になびかせて、今日もギルドへ向かうのだった。




 その日、アストリカに来訪者(プレイヤー)と呼ばれる者達が現れた。

 神々の導きにより召喚された来訪者(プレイヤー)達は、この世界に訪れようとしている危機を救う為の存在である。

 神託によりそう伝えられた来訪者(プレイヤー)達の来訪。それは、この世界が始まって以来の大変革である。




「キーラ、何してるの!来訪者(プレイヤー)の人達が来る前に登録受付の増設をするって昨日の会議で決まったじゃない!早く手伝って」


 私が見馴れたギルドの扉を開くと、そこは戦場だった。

 通常通りに運営している『クエスト受付』と『買取受付』はいつも通りの賑わいだが、『登録受付』はいつも通りとはいかなかった。

 来訪者(プレイヤー)を受け入れる為の準備として『登録受付』の増設をしているのだ。

 もっとも仮設で済ませる予定なので机と椅子を並べているだけなのだが。


「ああ、なんでもっと早く行動しなかったのかしら。会議だって、昨日じゃなくてその前の時にこの事を決めてたらこんな急ぎにならなかったのに」


 同僚のマリーネがぼやく。

 気持ちはすっごく分かるけど、グチってる場合じゃないよ。


「おい、そこ!口より手を動かせ、もう来訪者(プレイヤー)達はこの街に来てんだぞ」


 ギルドマスターの怒号が飛ぶ。

 ギルドマスターは怖い。

 ただでさえ顔が怖いのに、冒険者として現役でいた時の武勇伝が凄い。ドラゴンの討伐やレミラマ坑道の探索など、高ランククエストをこなした実績は伊達じゃない。


「あれ〜。そっちは忙しそうだね」


 この忙しい中で呑気な声を掛けて来るのは誰?忙しいのは見れば分かるでしょうが!

 声を掛けた相手を見る。そこには馴染みの冒険者がいた。


「登録受付を増やしてるの?・・・ああ!そう言えば今日だっけ、来訪者(プレイヤー)とか言うのが来るのは」


 白いウサ耳を揺らしながらこちらへ近づく。

 ウサ耳族の彼女の名はネレス。Cランク冒険者で、この街では腕の良い冒険者として名前が売れている人物だ。


「そう言えばさっき、北門付近で白い光に包まれて現れたり消えたりするのが居たかも・・・?」


 この世界を創り給うた創造神様のお力により、来訪者(プレイヤー)達は仮肉体(アバター)で召喚される。白い光に包まれた者達とは、間違いなく来訪者(プレイヤー)だろう。

 仮肉体(アバター)は死んでも蘇る事の出来る物で、神殿で再召喚されるらしい。

 ようは、来訪者(プレイヤー)とは不死身の肉体を与えられた神の眷属、神兵なのだろう。と、言われている。

 そんな存在がこの冒険者ギルドで、冒険者として登録する。これほど緊張することがかつてあっただろうか。

 不安と期待。

 異世界がどんな所かは分からない。

 しかし、そこから選ばれてこの世界にやって来る人達だ。与えられた力に溺れるような事は無いとは思う。

 が、一応相手は同じ?人間なのだ。驕りもするだろう、調子にも乗るだろう。

 どんな人達が来るのだろうか。


「ここは、先輩として優しく教えてあげないとね♪」


「まったくお気楽で能天気で、貴女のことが羨ましいわ」


 私ももう少し気楽に生きたい。




 一先ずの増設は終わったし、後は来訪者(プレイヤー)が現れるのを待つだけだ。

 噂をすれば影。早速1人目が来たみたいだ。


「おい、NPC共。登録に来てやったぞ」


 現れた人物はアレだ。駄目なヤツだ。なんと言うか、貴族の駄目な息子って感じだ。神の眷属とか、神兵とか誰が言い始めたのかな?絶対にないわ。

 アレよ、多分。異世界から来ただけのただの若者って思った方が良さそうだわ。

 神々よ。もう少しまともな人物を選ばれても良かったのではないでしょうか?

 醜く肥え太った体、力に驕る横柄な態度。これは後で必ず痛い目を見るタイプね。

 そもそもNPCって何?頭も悪そうだしあんまり期待出来そうもない。

 ネレスを見ると「うわっないわ〜」って顔してる。まあ、当然かもしれない。私もそう思っている訳だし。


「おい、そこのNPC。登録しにわざわざ来てやったんだ早く手続きをしろよ」


 あ、誰か絡まれてる。そんなに大きな声で怒鳴らなくても聞こえてるから、少しは静かにしてほしいわ。


「おい、無視してんじゃねぇ」


 無視されちゃってるの?可哀想ですねえ〜。少し態度を改めるべきでは?まあ、私に関係無いので知った事ではないですが。


「良い加減にしろよ、NPCの分際でプレイヤー様を無視するとはいい度胸してんじゃねえか」


 うわあ、凄い。人ってこんなに傲慢になれるものなんだね。

 私もギルド職員だ、荒くれ者には慣れている。慣れているが、こんな馬鹿は初めてだ。

 神託のせいで期待し過ぎてたわ。


「そこのエルフ!良い加減にこっち見ろや」


 エルフ?

 ギルド職員の中でエルフなのは私ともう1人しかいないはず・・・。もう1人の子は今里帰り中でここにはいないから・・・冒険者の人が間違えられてるのかな?


「キーラ、貴女流石ね。気持ちは分かるけど、受付しないとギルマスに怒られるわよ?」


 マリーネが後ろから声を掛けて来る。

 どうやらいつの間にか私が担当する受付に人が来ていたみたいだ。

 登録受付を任されるのは初めてなので、まとめ要項を読んでいたのだが集中し過ぎていたらしい。まったく気が付かなかった。


「くそNPCがっ、俺様を無視しやがって分かってんだろうな」


 頭悪そうなデb・・・もとい、贅肉の塊が目の前にいる。

 どうやらこの豚は私のことを呼んでいたらしい。道理で五月蝿い訳だ。


「ではこのナイフで指を切って血を一滴、このカードに垂らして下さい」


 受付の机の上にナイフとカードを置く。


「はあ?何言ってんだよこの馬鹿。意味分かんねえ事言ってねえで早くしろよ。こっちはスタートダッシュ決める為に急いで来たんだぞ」


 ブーブーブーブー。

 豚が五月蝿い。


「冒険者ギルドに登録しに来たのでしょう?ギルドカードを発布するので、このカードに血を垂らして下さい」


「ふざけんじゃねえ。キチガイなんじゃねえのか。んなこと出来っかよ!」


 はあ〜。

 今度はキチガイ呼ばわり、か。

 なんなのこいつ。


「冒険者とは命を賭けて危険な地域での採取や、獰猛(どうもう)な魔獣の討伐を行う職業です。この程度で怖気付くような小物に務まるものではありません!覚悟が無いならお帰り下さい」


 実際は高ランクの冒険者でもない限り、そこまで危険なクエストを行う者はそういない。

 けど、来訪者(プレイヤー)は不死身なんでしょ?

 だったらこの程度、怖気付くような事無いじゃない。貴方達は命懸けって訳じゃないでしょ、道楽気分でいるのは別に良いわ。その代わり他の冒険者の足だけは引っ張らないで。




 豚の後も大変だった。

 説明はいらないだの、次の街は何処だだの。人の話は最後まで聞け!って習わなかったの⁉︎

 どいつもこいつも来訪者(プレイヤー)って連中はクズばっかりじゃない!

 神々は何を思ってこんな連中を召喚したの?

 世界の危機って言ったってこんな連中に何が出来るのよ!私達、この世界の住人だけでなんとかした方が絶対に良いと思うわ。



 私は憤慨(ふんがい)していた。

 私だけじゃない。私以外のギルド職員も、この世界の冒険者達もみんな。

 けど、この後やって来た1人の黒猫の来訪者(プレイヤー)が私達の認識を変え、さらに後からやって来た、まともな来訪者(プレイヤー)達により怒りは鎮火した。



 ーーー物語りはこれから始まる。





アトラが行くまでの冒険者ギルドの様子を書いてみました。

他人視点なのにアトラとそう変わらないのは、単純に作者の力量不足です。ごめんなさい。

日々自分の至らなさを感じます。


毎日更新を頑張る。

と思っていたのですが、時間が中々厳しいです。

なので、2日に一回のペースにさせて頂きます。

これからもよろしくお願いします。

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