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#短い夢
なんだろう。
とても暖かくて、ふわふわした気分だ。
自分の体が万有引力も重力も失って、そうすると方角さえどうでも良くて、輪郭からも解放されたただの点になっちゃって、有るのか無いのかも曖昧なくらいに希薄な存在に、なっていると思う。
こんな気分になるのは、モッフモフでフッワフワのブランケットでうたた寝している時か、もしくはそうしている間に見る夢の中だけしか思い当たらない。
「何言ってんの、お兄ちゃん」
なんだカナ、お前もいたのか。
別にいいだろ、こんなに良い気分なのは久しぶりなんだ。
「それは良かった。でも、そんなにのんびりしてて良いの?」
なんだよ、もうちょっとくらい良いだろ。
慌てることなんて、何一つないじゃないか。
「そうかもね。でも……」
なんだ? 揺れてる。地震か?
それに……おい、我が妹よ、試験はどうしたんだ。
今朝送ったばかりなのに、どうしてここにいるんだ。
「……電話、鳴ってるよ」