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セブンスワールド  作者: あすぷ
第1章 START UP
4/19

#短い夢

 なんだろう。

 とても暖かくて、ふわふわした気分だ。

 自分の体が万有引力も重力も失って、そうすると方角さえどうでも良くて、輪郭からも解放されたただの点になっちゃって、有るのか無いのかも曖昧なくらいに希薄な存在に、なっていると思う。

 こんな気分になるのは、モッフモフでフッワフワのブランケットでうたた寝している時か、もしくはそうしている間に見る夢の中だけしか思い当たらない。


 「何言ってんの、お兄ちゃん」


 なんだカナ、お前もいたのか。

 別にいいだろ、こんなに良い気分なのは久しぶりなんだ。


 「それは良かった。でも、そんなにのんびりしてて良いの?」


 なんだよ、もうちょっとくらい良いだろ。

 慌てることなんて、何一つないじゃないか。


 「そうかもね。でも……」


 なんだ? 揺れてる。地震か?

 それに……おい、我が妹よ、試験はどうしたんだ。

 今朝送ったばかりなのに、どうしてここにいるんだ。


 「……電話、鳴ってるよ」

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