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セブンスワールド  作者: あすぷ
第2章 SELECT FROM
14/19

#学園

セリフが一部抜けておりましたので、訂正しました。

2016-12-21-22:20

 ほとんど直進で走ってきたワーゲンは信号のない交差点で左折し、その先は長い上り坂になっていた。

 右手には格子のついた長い塀が続いており、その途中には大きな門のようなものも見えた。

 暫く塀のそばを走っていたが、車は先ほど見えた門と比べると随分粗末な裏門から、その塀の中へと入っていく。

 駐車場に停車してシオン先輩とナオヤさんに続いき車を降りると、目の前に3階建の建造物が見えた。


 「ここは……学校?」


 「そう、私立神月学園。こっちよ、ついてきて」


 「……先輩が教師!?」


 「タクト、理事長先生に失礼だろ。この学園の創設者にして、俺たちのボスだぜ」


 理事長!? 創設者!?

 そんなバカな。

 俺の知っているシオン先輩とは明らかに年齢は違うけれど、学校を作って理事長になれるような年齢には見えない。

 確かに、建物はまだ真新しく見えるが、一体どれほどの財力があればこんな学校が作れると言うのだろう。


 「ほんと、誰が決めたのかしらね。こんな似合わない役回り」


 疑問と感心が混じった思考の中から、シオン先輩の言葉は感心を拭って疑問だけを残した。


 「本人はああ言ってるけどさ、満更でもないんだ。……シオンさんが影で生徒たちからなんて呼ばれてるか教えてやろう」


 シオン先輩の後ろをついて歩いていると、ナオヤさんは肩を組んできてそう言った。

 なんだろ、すごい気になる。

 でも、大方想像はつく。


 「本人には言うなよ、“オッパ”…っと!」


 “イ”が続くと思われる言葉を残して、ヒュンという風を切る空気の音がナオヤさんの話を遮った。

 気配なく放たれた銃弾は俺たちには当たっておらず、後方に流れたようだ。

 本当にシオン先輩が撃ったのか信じられず、向き直った先に銃口をこちらに向けるシオン先輩の姿を見て否応無く事実を突きつけられる。


 「ちょ、あぶねー! まだ何も言ってませんよ!」


 「……ナオヤくんには明日から夜間守衛をお願いしようかしら」


 その一言でナオヤさんは青白い顔で意気消沈してしまったが、一方で俺は興奮を抑えられないでいた。

 あんな冗談みたいな話で撃たれた弾だって、ナオヤさんに当たっていたら死んでたかもしれないんだ。


 「……どうして撃ったんですか? それ、ホンモノですよね?」


 「ちょっと細工してある特注品だけどね。心配しなくても、彼には当たらないわよ」


 当たらない?

 当てないのではなく?

 頭の中の疑問符が見えたのか、シオン先輩は後で説明するからと釈明だけして建物の中へ俺を案内する。

 校舎の中はまだ出来立ての建物にある独特の匂いが残っていて、つい最近建てられたか、改装されたことを教えてくれる。

 校舎の中は照明がついておらず、廊下に点在している非常灯だけではあったが幅のある廊下を歩くには支障がない程度に明るい。

 足元を照らしてくれる非常灯でさえも、灯のない夜の学校では潜在的な恐怖心を呼び起こすように、十分に怪しく不気味に見えた。

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