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セブンスワールド  作者: あすぷ
第2章 SELECT FROM
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#逃避行

 ワンボックスカーはマンションの立ち並ぶ一画へと入った。

 誰かの家に着いたのかと思ったのだが、ナオヤさんは車を乗り換えるだけだと言う。


 「尾行の気配はないが、念のためな」


 こんな風に追われることにも慣れているのだろうか。

 シオン先輩だけでなく、この人達が何を目的にしているのか、何から逃げているのかを知ることは、俺の置かれた状況を知るために必要な事に思えた。

 実際、ヤクザに追われるようなことをした覚えはない。

 だとすれば、博多駅の陥没現場で“陥没していない”ことに気づいたことが、何か影響しているのだろうか。

 ワンボックスカーをマンションの駐車場に停め、同じ駐車場内に停めてあったワーゲンのゴルフに乗るように促される。


 「じゃあ、私はラボでミチオと合流するから。タクトくん、またね」


 ナナミさんはそう告げると、ワーゲンには乗らずに先ほどまで僕らが乗っていたワンボックスカーを運転してどこかへ向かってしまった。

 ミチオという人も、シオン先輩たちの仲間なのだろうか。

 ラボに向かうと言っていたが、言葉通りの意味なら研究施設もあるんだろう。

 考えれば考えるほど、シオン先輩たちがどんな組織なのか、見当がつかない。

 車を乗り換えて5分ほど走っただろうか、時刻が気になってスマホを取り出すと、まだ9時を少し過ぎたばかりだった。

 まだ今日は終わりそうにない。

 漫然と過ごしていた昨日までの日常を思い出しながら窓の外を眺めている。

 出来ることなら明日からはまた同じように過ごしていたいと思える位には、退屈で窮屈で、何一つ思いどおりになんてならない日常を気に入っていたんだと気づく。

 妹を博多駅まで案内するだけであんなに億劫だったのに、お兄ちゃんは今やこんなわけがわからないことに巻き込まれて悲惨な状況だよ、我が妹よ。

 カナは、無事東京のホテルに着いただろうか。

 網の目のように張り巡らされた地下鉄に迷っているのではないかと急に心配になり、母のことをとやかく言えないなと、笑ってしまう。

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