表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セブンスワールド  作者: あすぷ
第2章 SELECT FROM
12/19

#コントレックス

 まさか自分が命を狙われる日がくるとは……。

 でも、不思議と怖くはない。

 卒倒しそうなショックが重なったからか、本来は肝の据わった漢だったのか、こんな時に怯えて何も言えなくなるような普段の自分が見当たらない。


 「……助けていただいて、ありがとうございます」


 言いそびれていたお礼を改まって言うと、赤信号で停車したタイミングで運転席の男性はこちらを向いて話しかけて来た。


 「いーんだよ、俺たちの為でもあるんだからさ! 赤瀬ナオヤだ。俺の事はナオヤ先輩とか呼ばなくていいからな」


 右手にハンドルを握ったまま体を捻らせて左手を差され、まだ僅かに震えの残る手でそれに応える。


 「ありがとうございます、ナオヤ先輩」


 「お前、見た目に似合わず案外図太い神経してんのな。ナオヤでいいよ」


 「はい……ナオヤさん」


 呼び捨てにすることに抵抗があるわけではない。

 ただ、喜んで『さん』付けしたくなるほどに、ナオヤさんはイケメンだった。

 これまでの武勇伝があるならば聞いてみたい、そしてその上で改めてパイセンと呼ばせて貰おう。


 「私は佐原ナナミ。よろしくね」


 後部座席で隣に座る女性からも、握手を求められる。

 握り返した掌は、妹のそれと明らかに違った感触で、まるで指の先端にまで鍛え上げられた筋肉が詰まっているような弾力だった。

 マズイ水といい、このアスリートのような体型といい、もしかしたらナナミさんは健康オタクなのかもしれない。

 ナオヤさんもナナミさんも気を遣ってくれているのだろうけれど、終始笑顔で好感が持てる。

 初めに抱いた懐疑心は、硬水の金属イオンと結合して明日のお通じと共に排泄されるだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ