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泣いたカエル
カエルは、何かを引きずるように歩く足音を聞き付け、また道に飛び出した。
「きゃぁっ!何このカエル!」
飛び出してきたカエルに悲鳴をあげたのは、傘を引きずりながら歩いていた女の子…だった。
女の子は、おっかなびっくりしながら大回りにカエルをよけて去っていった。
「はっはー!見たかよ!デカイ図体の奴らが、みんな俺に道をあけていくぞ!」
カエルは高笑いを上げながら、誰もいない草むらに向かってのたまった。
乾いた笑い声が、空っぽの景色の中に全て吸い込まれた途端―――カエルの目からボロボロ大粒の涙があふれ出した。
「ちくしょー…ちくしょー…」
得たいの知れない虚しさに苛まれ、カエルは生まれて初めて声をあげて泣いた。