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神殺しの英雄譚  作者: 漆原 黒野
第1章 旅立ち編
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第7話 産業ギルド

 



 昨日の夜の事を思い出していたらいつの間にか産業ギルドについていた。


 そこはなんて言うか人がいっぱい居た。そしてでかかった。おっちゃんの言葉に嘘は無かった。

 産業ギルドの建物の大きさは大体、高さ約20m程、横に約50m程、奥行きは約60m程あった(マップ&ナビからの情報)。

 そして形はよくある言い方で表すと中世ヨーロッパ風と言う感じだ。それもでかいやつ。

 色は白を基調として薄い緑、黄色などの色が入った建物だ。

 そして建物の上のほうで、でっかく産業ギルドのシンボルが飾られていた。

 それは机にコインと食べ物(?)が中心にあり、両脇に人がいて紙を広げている様な感じのマークだった。


(……なんていうか、変? 少し思っていたのと違うような感じだが、まぁ、良いか! 建物自体は俺の想像していた通りだし)


「うわ~、でけーな」

「そうだろ! そうだろ! 初めて見る奴は大抵そういうからな! それに俺の自慢の場所だから当たり前だけどな! ガハハハーーー!」


 そう言って秋人の隣に立ったのは2m程もある巨漢の男だった。腕の太さなんて直径30cmもありそうな感じだ。それが全部筋肉だという事は一目見ればわかるほどの凄まじい迫力があった。


(見た目だけならドワーフに見えるけど……この身長でドワーフはないよな?)


 たが秋人はそんな凄まじい迫力を気にした様子もなく気軽に答えた。


「あぁ、ここまですごいのはあんまり見た事ないな。で、あんた誰?」

「ん? あぁ、俺か。俺はな、なんと、な~んとこの産業ギルドのギルド長のガンドだ! てかお前こんなでかい建物を他でも見たことあるのか?」

「うん。まぁ、それなりには」


 日本にいた頃ならこれよりでかい建物なんていくらでもあった。だけど、このファンタジー感溢れる洋風の建物はこれまで秋人が生きていた中でこの目で見たことは無かった。

 もちろんゲームやアニメなどの画像としてなら何度も見たことはあったが流石にリアルで見るのは初めてだ。


「それなりにって、結構見てんだな」

「まぁ、俺にもいろいろあるからね。てか、おっちゃんが産業ギルドのギルマスなの? そうは見えないけど? どっちかって言うと冒険者ギルドの方じゃない?」

「ん? ガハハハ! よく言われるけど俺は正真正銘この産業ギルドのギルマスだ! まぁ、書類の整理なんかは他の奴がやってるけどな!」

「あぁ、納得だわ」


 うん、この巨体で書類の整理しているところなんて想像できない。


「書類なんて他の奴にやらせておけば良いんだよ! 俺はどっしり構えてれば良いんだよ!」

「つまり、遊んでていいと?」

「おう! …………今のは忘れてくれ。怒られる」


 ガンドは最後の方に弱音を吐いた。

 それを見た秋人はガンドの事をこう評価した。


「尻に引かれるタイプだな」


 秋人がそう言った瞬間、ガンドと言う名のギルマスは急に慌て始め、そして分かりやすいぐらいに話題を変えてきた。


「ま、まぁ、そんなことは置いといてだな、お前は何しにきたんだ? 用があるなら俺が聞いてやっても良いぜ! なんたって俺はこの産業ギルドの長だからな! だからさっきのは忘れろ」


 ガンドは最後に先ほどの失言を忘れる様に懇願してきた。それを見た瞬間秋人の頭には良いアイデアが浮かんだ。


「いや、別にあんたに聞いてもらわなくてもいいから、だからさ、さっきの事言われたくなかった金くれ」

「ちょ、お、お前それは何でも直球すぎないか!」

「俺、腹の探り合いとか面倒だから。で、とりあえず100万コルでいいよ?」

「何がとりあえずだ! 大金じゃねぇか!」

「そんぐらいで大声出すなよ、あと周りからの視線が痛いからとにかく静かにして。まぁ、さっきのは冗談だからさ安心しな」

「てめぇ! この俺をからかうなんて良い度胸してんな!」


 そう言ってガンドは右手で秋人に殴りかかった。だが秋人はそれをスルリと躱して産業ギルドの中に入って行った。


 それを見たガンドは秋人を追いかけることなくその場で1人、つぶやいた。


「へぇ~、結構おもしれ奴が召喚されたもんだ」


 その召喚とは何を意味しているのかは言うまでもなく、勇者召喚のことだろう。なぜガンドがそのことを知っているのかは置いておくとしよう。

 そしてガンドはチラリと横目で人ごみに紛れこんで秋人を追ってきた2人組を見た。


「あいつはわかってんのかね」


 そう小声でつぶやいたガンドは髪を掻きながら秋人の後を追うように産業ギルドに入って行った。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 産業ギルドの中はなんていうか、あれだ、なんか役所みたいな感じだ。

 受付が大体18個程あって待ってる人たちがいて(列に並んでいるところもあれば椅子に座って呼ばれるのを待っている人たちがいる)宝石などの価値ある物を鑑定してもらっている人たちも居た。

 確かにたくさんの人がいるがごちゃごちゃしてるかと言えばしてなく、そしてなんの列かはわからないがしっかりと順番を守って綺麗に並んでいる。

 中は静かとは言えないもののそこまでうるさくはなかった。

 ロビー(?)の広さはかなり広くたくさん人が居てもそこまで手狭になることはない。

 まぁ、ロビーの広さは元々人がたくさん来る場所なため、混雑しないようにという工夫が施されて建てたようだが。

 そして上に続く階段などは左右の壁際にあった。

 そして店員(?)はかなり多く、そのうち数名はロビーに居るお客の相手をしていた。


(すげー、日本と同じ位サービスが充実してる。いや、サービスだけならこっちのほうが上か?)


 そう思えるほどにサービスが充実していた。

 だが建物自体の構造や機械(この世界には機械と言うものがほぼない。だがやはりファンタジーというだけあって、機械の代わりに魔道具(マジックアイテム)がこの世界の主流だ)はやはり元の世界の方がすごかった。


(さてと、馬車の予約ってどこで出来るのかな?)


 それぞれの受付の上には担当の管理が載っていた。それによれば、馬車の受付は1~6番となっていた。

 だが1~6番の受け付けには並んでいる様子はなく、受付の人と客が1対1で話しをしていた。


(そのまま並べばいいのか?)


 秋人は少し考えたが結局わからないという結論に至ったため、ナビに聞くことにした。


『なぁ、ナビ』

『はい。なんでしょうマスター?』


 だが秋人は考え直しナビではなくここにいる店員に聞くことにした。


『あ、やっぱ何でもない』

『そうですか。……マスターも人との関わりを大事にするのですね?』


 ナビは先ほど秋人が考えていた事をズバリと言ってきた。


『……うっさい。この世界では人脈が大事なはずだ。結局は俺のためだよ』

『そうですか。誰も信用しないマスターがずいぶん、ご立派になられましたね』

『!? お前、……いや、何でもない』

『そうですか』


 そう言ってどちらともなく念話を終えた。


『だから、私はあなたを選んだんですから』


 そう誰ともなくナビはつぶやいた。

 それを意味することは、まだ誰もわからない。

 だって誰にも聞こえていなかったんだから(秋人も含め)。






 そして秋人はすぐ近くに居た女性店員に秋人は話しかけた。

 女性店員の容姿はスレンダーで胸はそこまでないがすらっとしていて美しかった。髪は長くはなく肩らへんで揃えられていて、色は黒に近い赤色だった。そして姿勢もよく大人びて見えた。ぱっと見の年齢は22、3歳ぐらいで身長は165cmの人間の女性だった。


「あのシュトリアの街までの馬車を探してるんですがどこに行けばいいんでしょうか?」

「馬車をお探しならば、まずあちらにある魔機(まき)(魔道具と機械が混ざったもの)から番号札を取り、その番号が呼ばれましたら1~6番ブースの受付に行っていただければ良いですよ」


 そう説明し終えた店員は秋人に笑顔を向けた。


「あ、これはご丁寧にありがとうございます」


 そう言って秋人は頭を下げた。


「いえいえ、これが仕事ですから」

「そうですか? あなたのおかげで自分はとても助かりました。ありがとうございました」


 そう言って秋人はもう一度頭を下げて、番号札を取りに行くのだった。


 その背中を見ながら店員、シーナはつぶやいた。


「ずいぶん、礼儀正しい子ね」


 先ほど秋人が考えていた人脈の大事さを知るには、まだ先の事だった。






 秋人は番号札(112番)を取り、そして空いてる席に腰をおろした(今は93番)。

 そして先ほどのガンドと店員の事を考えていた。


(何者だあの二人? いやガンドは産業ギルドのギルマスだ。まぁ、それは良い。問題はあの店員、いやそれだけじゃない。ここで働いている人のほとんどが相当やばい奴らだ。受付に居るやつもその辺に居る店員もそしてここに居る客自体も)


 そう秋人はこの世界に慣れるため、いろいろと努力をしている。まぁ、能力に頼っているといえばそうだが。

 例えば、すれ違う人のほとんどに鑑定を仕掛けて、この世界の平均レベル(強さ、傾向、スキルなど)を調べていた。

 まぁ、調べている相手は厳選してるけど、マップで。

 マップの機能で、鑑定できない者、そして鑑定に気付く者、あとは悪意ある者(悪意あるものには注意のマークを付ける)などの相手を除外して鑑定して来た。

 そしてここまで来るときには、ほとんどの相手が鑑定出来たが、ここに来て逆に鑑定が出来る人がほとんど居なくなった。それを意味することはここに居るやつらは相当やばい奴と言うことになる。

 そして先ほども言ったがここの受付や店員の人のほとんどが鑑定出来なかった(城に居た時はメイドや文官などの戦闘向きではない人たちは鑑定出来た)。

 そしてここのに居る人たちで鑑定出来る相手はなんの力も持たない、村人Aの様なな雑魚的存在だった。


(はぁー、それともここに居るやつがすごいんじゃなくて、ただ単に俺が弱いだけか?)


『いえ、確かに今のマスターは弱いですけども、ここに居る人がすごいだけだと思いますよ? ここに居る人たちは何を目的にここに来ていると思いますか?』


 ナビが勝手に俺が考えていたことに割り込んで来て説明した。

 あんまり人のプライベートに入って来てほしくないけど……。

 まぁ、ありがたいから良いんだけどさ。

 そう言って秋人はナビと話しやすいように念話に切り替えた。


『何が目的ってそれは……なるほどね』

『さすがはマスター。これでけで分かるとは』

『なぁ、ナビ。お前俺の事馬鹿にしてない?』

『まさか! 私がマスターの事を、ご冗談を』

『お前昨日の事忘れたと申すか?』

『昨日の事? はて、何のことでしょう?』

『はぁー、まぁ、いいや。茶番はこんぐらいにしようか』

『すいません。悪ふざけが過ぎました』

『別に良いよ。お前が俺の敵にならなければ』

『はい。……マスター』

『ん?』

『死なないでくださいね。”私のため”にも』

『何が目的か知らないけど、俺は死なねぇよ』

『はい! それを聞いて安心しました』


(まぁ、俺の敵ではないから良いかな)


 そう言って秋人は誰にもわからないぐらいに微笑んだ。






 秋人の番は以外にもすぐ来た。


「112番の方、受付番号3番までお越しください」

「やっと俺の番か」


 待ち時間は20~30分程だったが秋人には長く感じた。

 それはスマホやゲームがないため暇つぶしが出来なかったため元の世界より待ち時間が長く感じたのだった。

 秋人は呼ばれた受付番号3番に向かった。


「初めまして。今回担当になりました、私の名前はミーナと言います。よろしくお願いします」


 ミーナと言う女性は先ほどの店員とすごく似ていて綺麗だった(美しいと綺麗は違う)。

 先ほどの店員と同じくらいの年齢と身長だった(座ってるから正確には分からない)。そして先ほどの店員との違いが2つ程あった。

 1つ目は胸がそこそこ大きく(巨乳と言うわけではない)、2つ目が髪が薄い水色だった。

 もしかしたら先ほどの店員の姉妹かもしれない、と思うほど2人の顔は似ていた。

 だが秋人はそのことには深く考えなで、無難に挨拶をした。


「あ、はい。自分はアキトと申します。こちらこそよろしくお願いします」


 秋人は王様に身分を証明できるものを作るときにアキトと言う名で作ってもらった(苗字なし)。

 ついでに説明すると、この世界では普通苗字はない。だが貴族やそれなりに名が通っている者には苗字が付いてる場合がある。そのため苗字付きと言うのは、それなりにすごいことなのである。

 そのため秋人は目立たないためにも苗字なしで作ってもらった。


「それではアキト様、今回はどのような用件でお越しになられましたか?」

「えーっと、まずシュトリアの街までの馬車を予約に」

「シュトリアの街までの馬車ですか。分かりました。それでは手続きをしますので、身分を証明できるものと、馬車の代金500コルになります」

「身分証と500コルですか。少し待ってください」


 そう言って秋人はポケットに手を入れた(アイテムボックスに入ってる物もあるがポケットに入れてある物もある)。

 そしてポケットから身分証とお金の1000コルを出し、受付のミーナに渡した。


「はい、確かに受け取りました。少々お待ちください」


 そして身分証とお金1000コルを受け取ったミーナは先にお釣りの500コルを秋人に渡した。

 秋人からではミーナが何をしているのかまでは分からないがどうやら身分証を魔機に入れているようだった。

 そうして10秒程たち、ミーナは身分証を魔機から取り出した。


「はい。アキト様の確認が取れました。身分証をお返します」


 そいってミーナは秋人に身分証を返してきた。


「もう少し手続きなどがありますのでもうしばらくお待ちください」

「あ、はい。分かりました」


 ミーナは机の引き出しから紙を取り出し、記入していった。

 余談だが、この世界にも紙と言うものがある。別に高いとかそいうものではない。まぁ、日本製に比べれば高いし、紙の質も数段落ちる。高いと言っても普通に100枚25~30コル程だ。余談終了

 約3分程何かを書き続けていたミーナは顔を上げ秋人に先ほどまで書いていた紙と説明書みたいなのを渡してきた。


「ではこちらに問題がなければアキト様のサインをお書きください」


 何故かスキルには言語理解だけなのに読めるし書ける。不思議。


 ミーナが先ほどまで書いていた紙は手続きにチェックしていたみたいだ。その紙の一番下には署名の欄があった。

 もう1つの説明書みたいなの紙には名前、職業(商人という事になっている)。

 あとは馬車での移動に必要事項などの説明が書かれていた。

 大体こんな感じだ。

 馬車での移動は約3時間半(休憩含め)になる予定(注意:魔物、盗賊等に襲われた場合、時間が変わる)。

 休憩は約2時間程行ったところでするため来る前にトイレなどはしておくこと。

 食べ物、水等は持参すること。

 護衛は産業ギルドの傭兵がする。

 などなど、その他にもいくつかの項目があったが、それを1つ1つ、秋人は見ていき問題がないか確認していった。


(ここは異世界だからな、こいうのはしっかり確認しといた方が良い)


 秋人の言うとおり、ここは日本と違うため何があるかは分からないため、こいう契約書にはしっかりと確認するのが普通だ。まぁ、産業ギルドが詐欺などをすることは無いが念のためだ。

 そして秋人は2分程しっかりと問題がないか確認し、そして説明の注意事項を覚え、もう1つの紙の一番下にある署名の欄に名前を書いた。


「はい。確認し終わりました。どうぞ」

「ありがとうございます」


 ミーナは先ほどとは違う魔機に紙をかけたと思う(やはり秋人からは見えなかった)。


「はい。出来上がりました。こちらの紙を明日の朝8時に馬車乗り場に行き渡してください」


 そう言ってミーナは魔法がかけられたチケットを秋人に渡してきた。


「あ、はい。ありがとうございます。それで、その馬車乗り場はどこにあるんですか?」


 マップがあるが、やはりこれは気分の問題だろう。


「簡単に申し上げますとこの王通りの反対側にある南門です。ここからですと大体歩いて2時間以上はかかると思います」

「え!? そ、そんなにかかるんですか!?」

「えぇ、ここはとても広いのでかなりの距離があります。それに人がたくさんいますからその分歩きにくくなり、道も入り組んでますので」

「た、確かにそうですね……」

「あ、そんなに困る必要はありませんよ」

「え? どいうことですか?」

「これはあくまで歩いて行く場合です。馬車で行けば2、30分で行けますよ、ニコ」

「えーっと、つまりどいうことですか?」

「つまり馬車で馬車乗り場まで行けるんですよ(笑)」

「あ~、なるほど。て、最初っからそう言ってくれれば良いじゃないですか!」

「ふふ、すいません。それでどうします? 馬車乗り場までの馬車をご利用になりますか?」

「あ、はい」

「では、身分証と代金の50コルをもう一度お貸しください」

「お、お願いします」


 そう言って秋人は身分証と100コルを渡しお釣りのお50コルを受け取った。

 そしてミーナはまた魔機で何かをして、10秒程たって身分証とチケットを渡してきた(デジャブ)。


「では、明日の朝の7時にこちら、産業ギルドにお越しください」

「産業ギルドで良いんですね?」

「はい。そしてこちらのチケットをスタッフに見していただければ案内いたしますので」

「あ、はい。わかりました」


 そう言って秋人は頭を下げて、歩きだそうと後ろを向いたが、もう1つの困りごとを聞こうと思いミーナに向き直った。


「あ、それと宿を探していんですけど良い宿ってありませんかね?」

「えーっと、すいません。そいうのは私あまり詳しくは知らなくて……あ、でも今から詳しい人を連れてきましょうか?」

「あ、それなら結構です。いろいろありがとうございました。では、自分は失礼させてもらいます」


 そう言って秋人はもう一度頭を下げ歩きだしたのだった。




 それを見送ったミーナは机に置いていた資料などを持って、受付から立ち上がり後ろにある複数の部屋の中の1つに入った。

 そして、そこには先ほど秋人が話しかけた店員のシーナが居た。


「へぇ~、良い子じゃない。面白そうだね、シーナ」

「えぇ、とても良い子みたいだね、表向きは」

「で、どうするのシーナ? あの子。()るの?」

「ん~、私はどっちでも良いんだけど、上がね。でも、私の直感が言ってるの、あれには手を出すなって。関わってはいけないって。今までにないくらいに私の勘が言ってる」

「!? シーナがそこまで!? なら本物なのかもね」

「う~ん、分からない。手を出すなって言ってるけど、それと同時に今のうちに潰しとけとも、言ってる」

「……はぁー。ここはガンドさんに聞いてみるのが1番かな?」

「うん、それが良いと思う。ところでミー姉はどう思うの? アキトさんの事?」

「ん? 私? 私はね、良い子だと思うよアキト君は」

「それは表向きの話じゃなく?」

「うん。なんだろうな~この感じ。警戒? 好奇心? う~ん、もしかして一目ぼれかな?」

「な!? ミー姉!? それ本気で言ってる!?」

「さぁ? どうだろうね。今まで恋なんかしたことないから分かんないや。まぁ、でもアキト君の事は少し気になってるよ。観察対象者としてではなく、1人の人間として、ね?♡」

「……」

「まぁ、今はそんな事置いといて、ガンドさんのとこ行こ。上にも伝えなくちゃいけないんだから、急がないと」

「分かってるよ、そんな事」


 そう言ってミーナとシーナは部屋を出てギルド長室に向かうのだった。






「はぁー」


(よくラノベとかにある出会いなんてものは現実にはないもんだな。まぁ、ギルマスにはあったけど……ないな)


 そう言って秋人はガンドの価値を勝手に決め宿を探しに出るのだった。


 だがこの時の秋人はまだ知らなかった。

 秋人が今日出会ったガンド、シーナ、ミーナはこの国では重要人物だということを(ガンドは知ってた)。

 まぁ、秋人はこの国の事を敵とみなしてるけど。





次は21日に出します。

誤字、脱字などがあれば教えて下さい。あと感想も書いて頂けると嬉しいです。

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