表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神殺しの英雄譚  作者: 漆原 黒野
第1章 旅立ち編
7/32

第6話 交渉と予定

えーと、また暫く間が空いてしまいましたが無事6話を投稿するこどができました。



 



 今国王の爺いが高価そうな椅子にこれまた偉そうに座っている。その近くに武器を持っている側近みたいなのが2名。それと壁際に文官みたいな奴が数人いる中で秋人は今そんな連中に頭を下げていた。


(だから、何で俺がこんな連中に頭下げなきゃいけないんだよ)


 と、愚痴をこぼしていた。


「面を上げよ」


 そういわれたので秋人は頭を上げ国王の爺を見た。


「さて、ここに読んだのはそなたのステータスの件だ。そなたのステータスは平均以下という事だからな。これから厳しい訓練などに付いて行く事は出来ないであろう。その為そなたのこれからの事などの意見などが聞ければと思っての事だ」


(なるほど、俺に行動の選択肢があるのか。だからって変なこと言えば確実に死ぬな)


 さて、ここからは交渉か。正直国王相手にどれだけ自分の要求を飲ませることができるか分からないが、最悪殺されるかもしんないけどこっちにはナビがいるんだ。多分、大丈夫だ。

 最悪殺されそうになっても、無敵があるからなんとかなるはずだ。多分。

 多分とか多いな。


『ナビこれからはお前頼りだから頼むぞ』

『分かりました。マスター』


 こんな土壇場で俺は交渉も何もできんからな。ここからはナビに任せて良い感じに収めてもらいたいものだな。


 そう楽観的に考えていたら急に悪寒がし身体が震えだした。


(なんだ!?)


 手足が震える。

 呼吸が苦しくなる。

 吐き気がする。

 汗が止まらない。

 頭が真っ白になる。

 今まで感じたことのないような気分の悪さに秋人はパニックになろうとした時……


『大丈夫ですかマスター』

「!?」


 頭にナビの声が聞こた。

 その声を聞いた瞬間体の中にあった物がすぅーっと無くなるのが分かった。

 そのおかげで冷静な判断ができるようになり、先ほどの気分の悪さについて少し頭で考えることができた。

 答えはすぐにでた。


(あーなるほど、これが一国の王が放つプレッシャーか)


 そう、それは今も秋人のことを見つめている国王のプレッシャーだった。

 日本では絶対に味わう事の無い絶大なプレッシャーを正面から受けた秋人は恐怖してしまったのだ。


 そう恐怖(・・)してしまったのだ。


 その事を思った瞬間秋人の中で何かが切れた。

 秋人から表情が消えた。その代わり目が鋭くなり、まとう雰囲気が楽観的な少しチャラチャラしたものから、悪人がまとう黒く気持ち悪い雰囲気にがらりと変わった。

 それは何人頼りとも、何も受け付けない秋人の本性だった。


 別に秋人は善人でもなんでもない。どちらかと言うと悪人の方だ。

 そんな秋人はこんな持論を言っている。


 俺にとって他の奴は敵か味方か無関心だけだ。


 と、こんな事を言っている。

 つまり秋人にとって他の奴は自分に害が有るか無いか

 ただそれだけなのだ。


 そして秋人は敵と見なした者には容赦が無い。徹底的に叩き潰し心を完璧にへし折る。それが秋人という人間だ。

 だが、逆に味方と認識したら秋人は何が何でも守って見せる。その後、どんな結果が待ち受けていたとしてもだ。

 このどちらでもない奴はどうなろうと知らない。常に無関心なだけだ。


 そして今この時秋人はこの国のことを明確に敵とみなした。それがただの奴あたりだとしてもだ。

 秋人を恐怖させた。それだけの理由があれば十分だ。

 今はとりあえずこの爺との話し合いが先だ。


(集中しろ。相手がどんな奴であろうとやる事はいつもと変わらない。相手の動きを見ろ。どんな言葉使いで、どんな事に弱いのかしっかり見極めろ)


 秋人の目がだんだん鋭くなり相手の動きを隅々まで見ていた。

 突然先ほどよりも鮮明に、そしてクリアに相手の呼吸、仕草の一つ一つの動きがわかるようになった。なぜ急に相手の動きがわかるようになったのか、今の秋人の頭の回転の速さなら考えることなくすぐにわかった。


【観察】


 このスキルが発動したために先ほどよりも相手の動きがわかるようになったのだ。

 余談だが、スキルの発動するにはそのスキルによってバラバラだ。だが今回の【観察】スキルは何かを注目していると自動的に発動してくれる便利なスキルなのだ。むろん任意でも発動可能だ。

 スキルによっては何かしらの制限や発動条件などもあるが、この【観察】スキルは制限や発動条件などもない割と簡単に入手できるお手軽スキルなのだ。お手軽と言ってもそう簡単には入手できないけど、商人などの人を相手にするような仕事をしている奴は大抵このスキルを持っている。つまり今目の前にいる王様も持っているということだ。余談終了


(これがスキルの効果か)


【観察】スキルが発動したため、これまで以上に相手の動きが見えるようになった秋人。

 だがそれは相手も同じだ。それに王様と言うだけあって交渉に便利なスキルがいっぱいある。そのため秋人より有利なのは間違いない。

 まぁ、でも関係ないけどな。スキルがなくったて交渉はできる。

 余談だが、スキルというものはその事柄を極めて最終的(例外あり)に手に入れられるものであって、そのスキルがなくともできるのだ。だがしかし、できるとは言ってもやはりスキルがあるとなしでは雲泥の差だ。

 普通はその事柄に対して自分の頭の脳で考える。自分の脳で考えるということはそれだけ無駄があったり脳に負担がかかるし、限界も存在する。

 だがスキルとはをその事柄に対して自分の頭で処理しているものの1部分をスキルという名の能力で補っているのだ。つまり過程の1部分を省略しているのだ。

 スキルがなくともスキル持ちと対等に相手にできるがその分脳に負担がかかるため長時間の使用はできない。だがこのことに気付いてる人はあまりいないらしい。

 まぁ、スキルありきの世界だからスキルに疑問なんて抱かないのかもな。

 秋人はこの時点で世界の理を1部分だけとはいえ理解しているのだ。余談終了


 さて、俺の本気ってやつを見せるか!

 そう言って秋人は悪人がまとう雰囲気から媚を売るような雰囲気になった。そして国王様に俺の要求を言った。


「国王様私は戦う程の力が無いため国王様が言う通りこれからの訓練などの事は私は耐えられないと思います。その為、この城を出て商人にでもなり生きて行たいと考えております。ですが私はこの世界に来たばかりな為この世界の知識やお金、身分を証明する物が無いなど不都合な点がいくつもあります。その為国王様には僭越ながら、お金や身分を証明できる物を用意していただく思います」


(下手に出ろ。反感を買わないように気を使え。弱い奴、臆病な奴だと思わせておけば良い。いつか絶対後悔させてやる。俺を舐めた事)


「成る程。それらの事はこちら側が何とかしよう。こちら側の勝手な事に巻き込んでしまったばかりに桐ヶ谷殿には迷惑をかけてしまったな。本当にすまなかった」


 そう言って王様は立ち上がり頭を深く下げたのだった。それを見習うかように周りの大臣、騎士などもも頭を下げてきた。

 だが秋人は見逃さなかった。謝る際にこちらに向ける感情が少し、ほんの少しだけ誠意では無く見下すような感情があった事。


 普通の人ならまず気付く事のないくらいのほんのちょっとした感情の変化だった。

 だが秋人はある時を境に人を観察するようになり、感情などの変化に敏感になったため簡単に分かった。


「そんな国王様が私などの為に頭を下げる事なんてありません!確かに私はこの世界に連れて来られましたが国王様が悪いわけではありません。そもそも魔王がいるのが悪いのであって、そんな状況を何とかしようと頑張って下さったのは何より国王様であるはずです。なので国王様どうか頭をお上げ下さい」


 そう言って秋人は国王様に笑顔を向けた。

 その笑顔が国王相手にどこまで通じているのかは分からないが、とりあえずこの場はいい感じにまとまったので良しとしよう。


 俺も人の事言えないな。俺だってこんな土壇場で噛まずにこんな糞みたいな台詞が言えるんだから。それもナビなしで。

 てか、こんなに簡単に要求を飲んでくれるとは思わなかったぜ。もう少し色々あると思ったよ。

 まぁ、俺の要求を飲んだからと言っても俺の無事が確約されるわけでは無いけどな。だってマップで確認したら、この部屋にいる人全員赤色なんだから。だから俺は警戒を解くようなことはしない。


「桐ヶ谷殿にそう言われるとこちらもありがたい。それでもこちらに非があるのだからこれからの生活が少しでも楽になるようこちらで計らっておこう」

「ありがとうございます」


 そう言って頭を深くさげたのだった。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 交渉が終わり部屋に戻ってきた秋人は先程の事を考えていた。


(交渉とか言っといて、交渉らしものなんか何一つやらないで終わってしまった。だってそうだろう俺の本気を見せてやろうと意気込んだのに、ただ俺が要求をし、向こうがそれをあっさり飲んだんだから。あれを交渉とは言わないさてと、あの爺いとの話は終わったしこれからどうするか?取り敢えず今は何時だ?)


『ナビ今って何時?』

『夜9時半です』


 9時半か。寝るには少し早いな。さて、何をするか?

 何をするか考えていたらナビが先程の事を聞いてきた。


『マスターあれで良かったのですか?』

『ん? あぁ、別に良いんじゃね。向こうが何をしようと俺の敵なのは変わらないんだから。それよりこれからどうしようか?』

『ではマスターこれからの予定を立ててはいかがでしょうか?』

『予定?』

『はい。この城を出た後の何をするのかです。マスターにはある程度この世界の常識的な事を教えましたのでそれを元に大雑把で構いませんのでこれからの方針、目的などを決めてはいかがでしょう』

『目的か。まぁ、大雑把に俺が考えているのはこの城を出てレベル上げができる場所に行ってある程度鍛えたら適当に旅でもしようかなって思ってるけど。細かいことは何も決めて無いな』

『ではこの城を出てまず始めにどこに行くのかを決めましょう。まずどこを目指すのかをしっかり決めてからどのようなルートでその場所を目指すのかを決め、そのため最初にどこを目的にするかを決めましょう』

『了解。じゃあさナビ、この辺で一番魔物が強くて危険な場所を教えてくれ。そこでレベル上げをするからさ。そうだな移動時間は1ヶ月位で頼む』

『マスター!? さすがに危険です! いくらマスターの滅殺魔法があるからと言ってそれを当てられなければ意味がありません! 失礼ながら今のマスターは魔法を当てるだけの技術、経験、ステータスはありません! 今のマスターが行けば死ぬだけです!』

『かもな。でも手っ取り早く強くなるにはこれが一番なんだよな。それに俺だってそこまで馬鹿じゃ無い。そこに行くまでの道のりである程度レベルを上げてから行くからさそんな心配すんよな』

『それでも私は心配です! もしマスターが死んでしまうようなことがあれば私は…………………………色々と困りますから』

『困る、か』


 その言葉を聞いた瞬間秋人の顔が真顔になった。

 まとう雰囲気が変わった。それは敵に向ける敵意であった。

 そう、それは今秋人にとってナビという存在が敵と認識されたということだ。


 困るか? 普通は悲しいとか嫌だといった悲しみの感情が出ると思うんだよな。なのに困るか。それは居なくなられてはダメと言うことだ。その言葉はまるで「マスターがいなくなれば目的が達成できない」と、俺には聞こえる。

 それが合っているのかは分からないがとりあえずこれだけは聞かなければいけない。


『なぁナビお前は俺の敵か?それとも味方か?』

『!? マスター! 私はマスターの味方ですよ!』

『ふーん』


(ナビが敵なのかは味方なのかは分からないが俺に何かを隠しているのは確定だな)


 そう俺に隠し事をしていると言うことは、それは俺の意思ではなくナビ自身の判断で隠している事になる。

 それは俺のスキル【擬似人格】の範囲外ということになる。それは元々ナビに人格があり、その人格が俺の所に来たということになる。まぁ、それが意思してのことかは分からないが。

 とにかく俺に隠し事をしているという事は俺に知られてはまずいなにかがあるという事だ。


『まぁ、別にいいか。ナビが何を考えているのか分からないけどとりあえず俺の言う事を聞いてくれれば今はいいや』

『……はい。わかりました』


 そう言うナビは少し落ち込んだ声音で暗い感情が少しあるように感じた。まぁ、全部俺の勘違いかも知らないけど

 うーん、雰囲気が重いな。。無理やりにでも話題を変えるか。


『さて、とりあえずこの話はおしまい。さっきの予定の話をしようぜナビ』

『……はい。わかりました』


 さすが暗すぎる。このままだとさすがにこれからのことに支障が出そうなので一様注意だけはしとこう。


『おいナビさすがに元気が無さすぎる。あと、隠し事をするならもっと言葉に気をつけた方が良いぞ』

『……』


(ナビが反応を返さない?)


『……マスター』

『ん? なんだ?』

『あの、実は私……』


「コンコン」


 ナビがなにか喋ろうとしている時に突然部屋の扉がノックされた。


『まぁ、この話はまた後でにしよう。それに話したく無いなら別に無理して話さなくて良いからな』

『……』


 ナビが反応を返さなかったけど取り敢えず扉を開けに行く為、立ち上がり扉の前まで歩いて行き声をかけながら扉を開いた。


「はい、どちら様ですかぁあ!?」


 そこに立っていた人を見た瞬間秋人は変な声を出して固まってしまった。

 それも当然のことだろう。だって目の前に立っているのはリア充グループの源雫なのだから。


「こんばんは桐ヶ谷君こんな夜分遅くに悪いけど中に入れてくれないかしら」




誤字、脱字などがあれば教えて下さい。あと感想も書いて頂けると嬉しいです。

次はいつ投稿できるか解りませんがこれからもよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ