第4話 食事
食堂？ に入るとほとんどのクラスの奴らが席に座り仲のいい奴同士で楽しく喋りながら飯を食っていた。
ちなみにこの世界に来たのは公立藤原中央学院高等学校というありふれた公立高校の2年Ａ組と担任の先生が召喚された（てか、先生みないな）。合計で37名（先生含め）がこの世界に召喚されて来たのだ。
何が言いたいかと言うと俺はそのクラスの35人の奴らとはあまりしゃべらないためボッチなのだ。休み時間になると寝るか本を読むかのどちらかだからな。あ、あと秋人は帰宅部だから部活の仲間とか言うやつも居ない。
まぁ、いじめとかそいうのはされてないし話しかければそれなりにたいようしてくれるからそこまで嫌われていないはず。多分。
どうでもいい話は置いといて俺は今食堂の前でどの席にすわる悩んでいる。
（なるべく人がいないところが良いな）
食堂といっても簡単な長テーブルが3つほど置いてあり、食事は席に着けば使用人が持ってきてくれるみたい。
秋人より先に来ていた者たちはもう手をつけてるようだ。それを見てみると料理はそれなりにおいしそうであった。
（ナビが言っていた通りこの世界の料理はおいしそうだな。お、あの辺はあまり人がいなさそうだな。あそこにするか）
そう言って秋人は誰もいなさそうなテーブルの1番端っこに座った。
そして秋人が座ったため、使用人の人が料理を置いてくれた。
その食事の内容はパン、シチュー、サラダ、スープといった感じだ。
秋人はまず最初にシチューから手お付けることにしてスプーンでシチューをすくい上げ口に入れた。
（うん、ナビが言ってた通り料理は結構上手いな）
この味をどう表現すればいいのかわからないな。まぁ、食レポしてるわけじゃないし別にいっか。
そしてシチューをもう一口食べた。
うん、美味ければ別に良いよな。
そして他のパンや野菜も口に入れた。
（うん？ このパンは少し硬いかと思ったけどそんな事ないなスッゲー柔らかいな。次は野菜と、うん。野菜もすごく上手いな。それに新鮮さがちゃんとありみずみずしさがあってすっごく上手いな）
なんでここまで新鮮さがあるかと言うと、それはラノベやゲームとかにもあるマッジクバックがこの世界にもあるからだ。そしてマジックバックの中には時間を止められるやつがあったりする。
まぁ、時間が止められるやつはそれ相応の値段がするのだか。
あとスキルでアイテムボックスを持っている人も少数だけどいるにはいるみたいだ。
あ、入れられる量は無限ではなく多い人でも大体50メートル四方ぐらいだそうだ。そのアイテムボックスも時間は止められない奴みたいだけど。
あ、俺のアイテムボックスは時間が止められる奴だからすっごく便利。
とまぁ、そんな事を思っている間も秋人はしっかりご飯を食べていたのだ。
（やっぱり結構おいしいな）
そう言って秋人は黙々と食事を続けた。
ちなみに秋人の席には誰も近づこうせず、遠くからこっちを見て笑うやつらがほとんどだった。
だが、そんな秋人に近づいてくる奴らがいた。
（げ、リア充メンバーのやつらかよ）
こちらに近づいてくるリア充メンバーは楽しそうにおしゃべりをしながら近づいてきて……
「やあ、桐ケ谷君。隣の席に座っても良いかな？」
そう言って佐藤はこちらに確認してきたのだ。
「別に俺に確認する必要あるか？」
秋人はそっけない態度で佐藤に言った。
（なんで俺んところに来たんだ？）
「そうだな。じゃあ隣失礼するよ」
そう言って佐藤は秋人の隣に座った。
それに続いて他のメンバーも座った。
「おぉ、これは結構上手そうだな」
「そうね。こっちに来てまだ何もたべてなっかたからよっかたわ」
「早く食べようよ」
そう言ってリア充グループは料理を食べ始めた。
「おぉ、これは結構美味いな」
「そうね。特にこのシチューが美味しいわ」
「確かにな。もう少しまずいかと思ったけど、これは美味いな」
「うん。この世界に来てご飯の心配しなくても良さそうね」
とまぁ、こんな感じで楽しそうにおしゃべりをしながら食べていた。
さすがリア充だな。
そしてリア充どもは楽しそうに料理を食べているときに秋人は料理を食べ終わったため席を立とうとしたときに佐藤が話しかけてきた。
「ねぇ、桐ケ谷君。君はこれからどうするんだい？」
その言葉を聞いた瞬間秋人は佐藤の顔を見た。
そしてその瞳に映る物が何なのか分かった時秋人はこの佐藤と言う男のことわかった気がした。
「……別に、適当にやるさ」
「う～ん、でも君のステータスじゃ何かやるには大変だろ。僕たちと一緒にやらないか」
その顔には悪意がなくただ単に秋人のことを仲間にしようとしている目だった。
やめろ。
「そうだよ。俺たちと一緒に頑張ろうぜ！」
と、柏崎が言った。
そんな目で俺を見るな。
「そうね。みんなでやったほうがいいわね」
と、源が言った。
そんな……
「そうだよ。桐ケ谷君も私たちと一緒に頑張ろうよ」
と、木下が言った。
そんな”善意”だけの目で俺を見るな！
なんでお前たちはそんな目で俺を見れる？
他の奴らみたいに憐みの目で俺を見ろよ！
そんな秋人のことを見てる奴らは……
ただ単に仲間になってくれと訴える目——
これから一緒に頑張ろうとする目——
迷惑なことをしてないか心配している目——
仲間になること期待する目——
なんでそんな善意だけの目で俺なんかを見られるんだよ！？
そんな事を考えている秋人の頭に昔の記憶がよみがえる。
ただ、悪意だけを向けられてきた日々。
「ッ！」
（クソ！ 嫌なことを思い出した）
落ち着け今は昔のことよりここを何とかしないといけないよな。
いまだこちらのことを見ている奴らに俺はこんなことをいった。
「別に良いよ。俺1人で何とかするから」
そう言って秋人は佐藤達を拒絶するようにいった。
「でも……」
なんでお前たちはそんなに悲しい顔をするんだよ。
「まぁ、なんか困ったことがあったら言うよ」
なんで俺のためにそんな顔するんだよ。
「そうかい？ それなら良いけど」
「あぁ、ありがとな。それと気をつかわして、悪いな」
「ううん。別に大したことじゃないよ。困ったことがあったら僕に言ってくれよ」
そういった佐藤達の顔は少し無理をした笑顔だった。
そんな笑顔をあまり見ないようにしながら秋人は自分の部屋に戻るために立ちあがり歩き出した。その背中を心配そうな顔で秋人を見送る佐藤達がいた。
（クソッ！ なんであいつら俺のこと心配するんだよ！ 別に関係ないことっだろ！ 俺なんか！）
そう思う秋人の顔はすごく悲しげだった。
だが、戻ろうとしていた秋人をメイドに呼び止められた。
「すいません。もうしばらくここにいていただけませんか。これから明日のことについて国王さまから説明がありますので」
そういわれてしまったので先ほどいた席に戻るため回れ右をして歩き出したが……
あんなこと言った後に戻るとか気まずい！ それに恥ずかしい！
そして秋人は先ほどまで居た自分の席に座ったら……
「えーっと、こいうときもあるさ」
「慰めるな！余計に恥ずかしいわ！」
と、秋人が言ってそれを見て笑うリア充どもがいた。
秋人の顔には先ほどとは違い羞恥心で赤くしていたが、その中には少しの嬉しさのようなものがあった。
