第9話 知らない項目とデート?
これまでの誤字などを少し修正しました。
内容は変わっていませんので、読まなくて平気です。
少し考え事がしたいと言って部屋に行った秋人はそのままベットに横になり、先ほどアリサを鑑定した内容を思い出していた。
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名前 アリサ 年齢 14 性別 女
種族 人間
職業 商人見習い #%*¥の@女
レベル 18
体力 68
耐性 63
筋力 57
魔力 97
魔耐 89
敏捷 73
運 65
スキル 記憶保持 交渉 商売 観察 鑑定 危機察知 護身術 直感 風魔法 水魔法
固有スキル %&*¥ #@$?¥* #%*$?&#@
神# $*
加護 運命神
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『文字化け……それに俺の知らない項目まで……なぁ、ナビ、これ、なんだ?』
『すいません。項目の方は今の私では説明できません。盟約に触れますから』
『そうか……まぁ、話せないんじゃしょうがないな。じゃあ、文字化けの方は?』
『それは単にマスターの力不足なだけです。【鑑定】だからと言って、すべてが見えるわけではありません。もっと詳しく説明しますと、スキルの中にもレベルと言うものがあります。それは目に見えるわけではないでが、言い変えれば錬度の違いです。大雑把に言いますと素人の鑑定士とプロの鑑定士の違いみたいなものです。つまりマスターの場合、スキルの効果で鑑定が出来るんであって”マスターの力”ではありません。ただ”使えるだけ”ということです』
もう少し詳しく説明すればこんな感じだ。
これを【火魔法】で例えると、初級魔法の【着火】と最上級魔法の【火炎爆裂】が同じ【火魔法】に分類される。つまり一概に【火魔法】と言ってもこれだけの差があるのだ。
それと、これは才能の関係もあるが、この【火魔法】をいかにして自分の力にするかによってその性質は変わる。
つまり【火魔法】を極めた者はさらにその上のスキル、【火炎魔法】、【爆裂魔法】、【黒炎魔法】、【白炎魔法】などの上位スキル、または固有スキルになるのだ。
長々と説明したが、つまり秋人はこの過程さえ無視してスキルだけが身についてるということだ。
それはつまり1からこつこつと積み上げて来た相手には敵わないということになる。
だが、限度というものはある。
どんなに1からこつこつと積み上げて来ても本物の天才には敵わない。
そう今の秋人のように。
『やっぱ俺の力はスキル頼りなんだよな』
『そう落ち込まなくて良いのでは? スキルがある時点でそれはマスターの力ですし』
『まぁ、そうなんだがな……結局はさ、俺より力の使い方が上手い奴には負けるってことだろ? それはなんか嫌だな』
『マスターの【無敵】と【滅殺魔法】があれば誰にも負けないと思いますが?』
『そいう考えが隙になるんだけどな。世界に絶対は無くは無いが、今の俺には当てはまらないよ』
『そうですか』
『まぁ、結局のところ俺が強くなれば、全部片付くんだけどな』
『そうですね。頑張って強くなりませんと』
『あぁ、そうだな』
(それにしてもこのアリサと言う女は只者ではないな。俺の知らない項目があり、加護さえある。本当に何者だ? それにアリサはこのステータスの事知っているのか? 他人にそんなホイホイ見せるような内容じゃないぞ? 確かに見せるときに俺以外には見せないって言ってたけど、さすがにこれはな……)
『なぁ、ナビ。このステータスって鑑定、つまり俺よりもすごい鑑定を持ってる奴は見れんの?』
『いえ、見れないと思いますけど。このステータスの文字化け部分や項目はマスターだけにしか見れないと思います。それがどうしたんですか?』
『いや、それじゃ、何で俺は見れんの?』
『あぁ、そいうことですか。少し盟約に引っかかりますから詳しくは説明できませんが、簡単に言ってしまえば、マスターの【滅殺魔法】の力ですよ。つまりこの力はッ!? ……すみませんこれ以上は……』
『……あぁ、別に無理に喋らなくて良いから』
『すいませんマスター』
やっぱこれもスキルの力で、できたことなのか……
はぁー、結局はスキル頼りじゃないか。
それじゃあダメなんだよな。
これじゃあ俺にはなにもないじゃないか。
スキルや加護などはこの世界に来た時の特権みたいなものだ。
それに俺には職業が無い、から……
ん? 職業?
『……なぁ、ナビ。何で俺はこんな強い力を持ってんだ……?』
『? それはマスターが召喚されたものだからです。それとマスター自身の才能ですよ』
『あぁ、そうかもしれない。だが俺が言いたいのはそんなことじゃない!』
『……マスター?』
『なぁ、ナビ。俺は職業が無いんだぞ。なのに何でこんな力がある?』
『!?』
『ナビ。お前、何を知っている?』
『……すみませんマスター。言えません』
『……』
『……』
俺はともかく勇者達、つまり勇気達は職業があるから固有スキルなどを持っているんだ。
なのに職業も無い俺がこんな強いスキル自体を持つこと自体がおかしい。
そう、それは本来まだ持てない力を”無理やり引き出した”かのように感じる。
(なぁ、ナビ。本当にお前は俺の味方なのか?)
俺は何度でもお前に問うぞ。
俺の味方か? 敵か?
もしお前が俺の敵となるのなら俺は————
そんな重い空気が流れていた時に唐突に扉がノックされた。
「お兄さん、まだ~?」
と、アリサが扉ごしからこちらに話しかけてきた。
なんていうか、お約束だな。シリアスな雰囲気をぶち壊すような感じが。
ていうか、もうそんな時間かよ。真面目な話すると時間が早く感じるな。
『まぁ、良いか。何度も言うが、お前が俺の味方でいるなら別に良いよ』
『……はい』
さてと、アリサを待たせるわけにはいかないからな、急がないと。
「少し待ってて今準備するから」
「わかった。下で待ってるから早めにね」
そう言って秋人は出かける準備をした(特に準備する物は無いが)。
そして下に降りた秋人はカウンター席に座って、待っているアリサに話しかけた。
「わりー、少し考え事してたら遅くなった」
「別にいいよ」
アリサはそう言って、ニコッとしながら秋人の方を向き————
「ほら、お兄さん、デートしよ?」
と、言ってきた。
秋人はその笑顔を見て、「まぁ。こんな日常も良いものだな」と思った。
「そうだな、デートするか」
秋人がそう言った瞬間、アリサは満面の笑みで椅子から立ち上がって、秋人に近寄って来た。
「それじゃあ、行くか」
「うん!」
そして秋人はアリサと一緒にチキンバード大食堂を出て王通りを歩いて行くのだった。
「さて、お兄さん。まず、どこに行こっか?」
「うーん、そうだな……あ、じゃあ、明日の馬車で必要な物の食べ物とか水を買いたいかな?」
「え! お兄さん明日どこか行っちゃうの!? て言う私も明日この街から出ていくんだけどね」
「そうなのか?」
「うん、そうだよ。あわよくばお兄さんと一緒に行こうかなって思ってたんだけどね。残念」
「お前そんな事考えていたのかよ」
「そうだよ。ニコッ」
「うわっ! 女って怖!」
「小悪魔的で可愛いでしょ?」
「まぁ、無くは無いかな」
「う~ん、一緒に行けないんじゃ点数稼いでも無駄か~」
「……」
「で、お兄さんはどこに行くの? ちなみに私はシュトリアの街だけど?」
「え!? シュトリアの街? それ俺も行く所なんだけど……」
「え!? 本当?」
「あ、あぁ、本当だ」
「運命みたい! やっぱり私とお兄さんは赤い糸で結ばれてたんだ!」
「あ、赤い糸?」
「そうだよ、これは出会うして出会った運命の出会いなんだよ!」
そう言ってアリサは笑顔で秋人に抱き着き付いた。
「ちょ、お前それは……」
秋人は以外にもアリサの身体が柔らかくて気持ちよかったため、なんとも言えない表情になってしまった。
「え、何?」
「……い、いや、さすがにくっつきすぎだ」
「別に良いじゃない! お兄さんも照れなくて良いんだよ? それに、こんな可愛い子にくっつかれて嬉しいくせに」
「……別に嬉しくないしも無いし、照れても無いから」
その言葉はどう見ても嘘とわかった。
「照れてるお兄さん可愛い♡」
「うっさい」
「ふふ、あんまりからかうとお兄さん怒るからこの辺でやめとこ」
「……よく、わかってんじゃん」
「まぁね、で、話しを戻すけどお兄さんもシュトリアの街に行くんだよね?」
「あぁ、だから、そのために必要な物とかを買おうかなって」
「それなら丁度良かった。私も買っておきたい物があるし」
「ふ~ん、てか、お前明日行くくせに準備しないで馬車の予約したのかよ?」
「いや、ある程度は準備してあるよ。でも、食べ物とか水は腐っちゃうからね」
「え? 食べ物とか必要なの? 昼前には着くって書いてあったから別にいいのかと思ってた」
「うん、持ってこなくても良いんだよ。でも、おなかすいたときとか非常時とか、まぁ、色々あるんだよ。あれ、そういえば契約書に書いてあったと思うけど?」
「え!? そんなの書いてあったっけ?」
「多分書いてあったと思うよ?」
『なぁ、ナビ書いてあったか?』
『えぇ、書いてありましたよ。と言うかマスター、覚えとくって言ってましたよね?』
『うっ! た、確かに言ったけど……俺も完璧じゃないから、忘れることもある』
『確かにそうですね』
「思い出したよ。確かに書いてあった」
「でしょ! だから、今日食べ物や水などの腐りやすいものを買おうと思っているんだよ」
「うん? アリサって【水魔法】使えたよな? なのに水を買うのか?」
「使えるけど……」
「どうした?」
「……はぁー、それじゃお兄さんと関節キス出来ないじゃん」
「……お前な、そんなことでわざわざ水を買おうと思ってるのかよ」
「そんな事! そんな事って何よ、私的に大事な事なんだよ!」
「そ、そうか?」
「もう、お兄さん何もわかってないね」
「い、いや、さすがにわかんないよ。俺とお前初対面だよな? なのに何でそんなにぐいぐい来るんだよ?」
「そ、それは色々あるんだよ!」
「色々ってなんだよ」
「色々は色々!」
アリサがすごい剣幕で迫ってきた。
さすがに、これ以上はやばいと本能的に理解したので、追及はしなかった。
「わ、わかった」
「もう、女の子の事何も理解して無いねお兄さんは」
「それは悪かったな、あいにく、俺は女だろうが平気で殴る様な男だからな」
「……はぁー、まぁ、いっか」
「ほら、行こうぜ?」
「……」
アリサは無言で歩いて行くのだった。
今はとりあえずこの状況を楽しむ事にしている。
まぁ、アリサの性格は置いとくとして、道案内に関しては優秀な様だ。
それに、商人見習いと言うだけでかなりの商売上手で値引き交渉をしている。
ちなみに、俺はそいう値引き交渉なんかはしたことがない。だから見ているだけでそこそこ面白い。
だからさ、俺をダシにして交渉するのはやめようぜ。
新婚夫婦と言って値引きしてもらうのはダメだと思うな。
「はぁー、お前本当に商売上手だな」
「当たり前じゃん! これでもれっきとした商人なんだよ」
「見習いだけどな」
「うっ!」
「まぁ、お前のおかげで安く買えるし、楽しく観光できるから良いけどな」
「……」
そう言った秋人の顔をまじまじと見たアリサは急に顔を赤くして俯いてしまった。
「なんで急にそんな事言うかな? ドキッってしたじゃない」
アリサはボソボソとつぶやいたが、幸い秋人には聞こえなかった。
そのため、秋人はアリサがなんて言ったのか聞くためにアリサの方を向いたら、突然アリサは顔を上げ元気いっぱいに言ってきた。
「それじゃお兄さん、デートの続きしようか!」
「続きって、今現在進行形でしてるけど?」
「まぁ、そうだね。……私の気分が違うんだけどね」
「?」
「ほら、行こ?」
そう言ってアリサは秋人の腕を取って引っ張て行った。
「わかった、わかったからそんな強く引っ張るなって」
「ふふ~ん」
アリサは幸せいっぱいの顔でデートをするのであった。
今秋人たちは噴水広場のベンチに腰かけていた。
「これで最後か?」
「うん。持って行く物はこれで全部だよ」
そう言ってアリサは今日買った物を見せた。
「食べ物に水、それに非常用対策に煙幕や臭い消しと。そして一番大事なクッション!」
「クッションが一番大事とか」
「あ、お兄さんなめてるね! 安い馬車の移動の振動はなめないほうがいいよ!」
「わかってるよ」
「とりあえず、お尻が痛くなるのは覚悟しといた方が良いよ」
「わかった。それじゃあ、これで終わりか?」
「うん。これからどうする? 帰るには微妙な時間だし、かと言って観光するには時間がなさすぎるけど」
「そうだな、う~ん」
今の時間は約4時程。
余談だが、先程の物を買うだけで4時間ほどかかったわけではない。
ほとんどの時間はもう1つの目的、観光をしていたのだ。
アリサはあっちへふらふら、こっちへふらふら、といろんなところに行くため少しの買い物でもこれだけの時間がかかったのだ。
まぁ、楽しかったから良いんだけど。余談終了
確かに帰るにしても観光するにしても時間がなさすぎる。
(今から出来ることと言えば……あ、少しベタだけど良いよな)
「なぁ、アリサ。少し買い物がしたいんだけどいいか?」
「うん? 別にいいけど。何買うの?」
「秘密。ちょっとプライベートの物だからさ」
「へぇ~、じゃあ私先に帰ってようか?」
「う~ん、どっちでもいいよ。それに人に贈るものだから少し意見も欲しいし」
「そう? じゃあ、一緒に行こうかな」
「じゃあ行くか」
「店の場所わかる? 私が案内したあげようか?」
「いや、いいよ。場所ならさっき、案内してもらってる時に通ったところだから」
「そう? それじゃ今度はお兄さんがエスコートして頂戴」
「了解」
そう言ってアリサは秋人に腕を出し秋人はその手を取り、歩き出すのだった。
『少しわかりやすすぎますね』
そう誰にも聞こえないようにナビがつぶやいたのだった。
ゴールデンウィークなので3.4.5日にも出したいと思います。