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神殺しの英雄譚  作者: 漆原 黒野
第1章 旅立ち編
10/32

第8話 宿と少女アリサ

 



 秋人は産業ギルドを出て宿を探すため歩き出した。


『なぁ、ナビこの辺で良い宿ってない?』

『良い宿と言いますと?』

『ん~、そこそこ安くて、飯がうまくて、安全で、あとは……風呂があって近場かな?』

『その条件ですと、……2つ程ありますけどどうします?』

『ナビ的にはどっちが良い?』

『私ですか? 私はどちらでもいいと思いますけど。それに私が泊まるわけではないので』

『まぁ、そうだよな』


 確かにナビはが泊まるわけではないので関係ないといえばないが、仮にもマスターだぞ? もう少し敬えってほしいものだ。


『まぁ、どちらかと言えばここから近いところの方が良いですけど』

『ん? 何で?』

『少し気になることがありまして』

『気になることって?』

『ん~、なんて言えば良いんでしょうか……こう私に反応しているというかなんて言うか……』

『まぁ、とりあえず、行けばわかるだろ?』

『えぇ、まぁ』

『ならそこに行ってみよう』

『分かりました。では、マップに印をつけますのでその通りに進んでください。……マスターって方向音痴ではないですよね?』

『……なぁ、ナビ、お前やっぱり俺の事馬鹿にしてるだろ。俺はそんな馬鹿キャラじゃねぇよ』

『フラグが立ちましたね』

『……』


 たしかにフラグは立ったなとも思う秋人であった。

 だがそのことは無視して秋人は印の着いた場所を目指すのであった。







『本当に着きましたね、マスター』

『だから言ってるだろ、俺は方向音痴じゃねぇって。あと、地図があるのに迷うやつの気がしれねぇ』

『……マスターそれはあまり言ってはいけないことです』

『うッ! ま、まぁ、それは置いといて中に入るか』


 その宿は周りの建物と比べると1周り大きく清潔感があった。

 そして入口のところには『チキンバード大食堂店』となっていた。

 名前的には宿には見えないがこれでもれっきとした宿なのだ(ナビが言ってた)。

 まぁ、宿より飯の方に力を入れてるみたいだけど。

 店の中は簡単に言えば酒場みたいに丸テーブルに椅子がいくつかあり、カウンター席などがあった。

 今は10時程にも関わらず客は以外にも多く居て半分近くの席が埋まっていた。


「いらっしゃい! 飯か? 泊まりか?」


 そう言って話しかけて来たのは40歳前後の少し太った人間の女性だった。


「あ、泊まりなんですけど、1泊いくらですか?」

「1泊250コル、風呂付きは1泊500コル、飯は別料金だよ!」


『ナビこれって安いの?』

『えぇ、安いですよ。それとこの世界では基本的に人数ではなく部屋数で金額を決めます。例外は高級な宿とかですね。あと、基本的に物価はマスターの世界と同じだと考えてください』

『なるほど。じゃあ100人で1部屋って言ってもそれは1部屋分の値段なんだな?』

『えぇ、そうです。まぁ、さすがにそんな人数で泊まりませんけど。4,5人程度で普通は泊まったりします』

『なるほど。まぁ、細かいことは俺はわかんないからそこんところよろしくな』

『はい。問題があればこちらから言います』

『あぁ、頼んだぞナビ』


「じゃあ、風呂付きの部屋で1泊でお願いします。それと今から昼食にしたいんですけど大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だよ。じゃあとりあえず飯食ってから料金まとめて払ってもらうよ!」

「はい、分かりました」


 そう言っておばさんに店の奥側にあるカウンター席に連れていかれた。


「んじゃ、あんたの席はここ。で、これがメニュー。頼むときは適当に声かけてくれればいいから」

「あ、はい。ありがとうございました」


 そう言って秋人にメニュー表を渡し、おばさんは他の客のところに行った。


「さてと、何にするかな?」


 そう言って秋人はメニュー表を見て何を食べようか考えようとしたとき、隣から声をかけられた。


「ねぇ、ねぇ、お兄さん」

「ん? えーっと、だれ?」


 そう言って話しかけてきたのはかわいらしい女の子だった。年齢はぱっと見14、5歳位、身長は約150cm後半、髪はそこそこ長く(肩より長く背中には届かない位)ポニーテイルで、色は真赤、スタイルは結構よかった。先ほどの店員やミーナ程ではないが普通に比べたらかなり良いほうだと思われた。胸は残念な位にないが、まぁ、将来に期待しとこう的な感じだった。だがあまり凸凹がないのがこの少女の魅力だとは思う(変にある位なら無いほうが良いと思う。まぁ、本人は違うかもしれない)。


「あ、私? 私はねアリサって言うの。よろしくね、お兄さん」

「俺はアキト。まぁ、適当によろしく」

「適当ってつれないなお兄さんは。まぁ、良いけどね。それとね、この店はね『チキン定食』ってのがおすすめだよ。ニコッ」

「ニコッてなんだよ、ニコッて。まぁ、おすすめならそれにしようかな」


 そう言って秋人はすぐ近くに来ていた店員(先ほどのおばさんでは無い)に声をかけてチキン定食と飲み物のお茶を頼んだ。


「ねぇ、ねぇ、お兄さん」

「ん? なんだ?」

「お兄さんはさ、この街に何しに来たの?」

「えーっと、観光かな?」

「何で疑問形? まぁ、答えたくないなら別に良いけど」

「悪いね」

「別に良いよ。私はね、この街に薬を買いに来たんだよ。まぁ、それは置いといて、お兄さんはこれから観光するんだよね?」

「……まぁ、するよ。観光」

「うん? なんか間があったけど?」

「気にすんな」

「そう? それじゃお兄さん私と一緒に観光しようよ! 私も観光しようと思っていたし、それに私はこう見えてもこの街には結構来ているから道案内できるしさ。ねぇ、一緒に街を回ろうよ?」

「え、あー、……」

「私と観光するの、いや?」


 そう言ってアリサは上目遣いで見てきた(涙目)。


「……まぁ、良いけど」

「ほんと! やったー! ありがとお兄さん。ニコッ」

「はぁー、だからニコッてなんだよ」


 別に秋人はアリサの涙目に負けたわけではない。そもそも秋人は女が泣いたところで知らん顔をするくらいにはどうでもいいと思っている。

 だから今回の誘いを受けたのはただ単に秋人がこの街を観光するために道案内が居たほうが良いと思った結果であって別に涙目に負けたわけではない(2度目)。決して。


(なんか言い訳地味てきた)


 そう思ったタイミングで料理が運ばれてきた。

 狙ったのかは分からないが。


「はい。ご注文のチキン定食とお茶です」

「あ、ありがとうございます」

「では、失礼します」


 そう言って店員は他の客のところに行った。


「ねぇ、お兄さん。何で私には敬語じゃないの?」

「別に、なんとなくだけど?」

「……なんとなく、か。……はぁー、これは期待薄かな?」

「何が?」

「なんでもない。気にしないで。ニコッ」

「?」

「ほら、私の事は気にしないで食べなよ。料理が冷めちゃうよ?」

「じー、元はと言えばお前が俺に話しかけて来たんだろうか」

「気にしない、気にしない」

「まぁ、良いけど。いただきます」


 そう言って秋人はチキン定食を食べ始めた。

 チキン定食は簡単に言えば、から揚げ、スープ、サラダ、そして”ごはん”だ!

 そうごはん、つまり()があるのだ!

 いや~異世界だから米なんか無いかと思ってたぜ。

 いや~ほんとよかった、異世界さいっこーー!

 うん、米があることは良いとして問題はそれ以外の味だ。城で食べた物は美味かった。だがそれは高いものを用意したからかもしれない。

 一般に出回ってる物の味はまだ分からない。

 あ、ちなみに食べるのはフォークだ。


 ではでは、まず一口。


(うわ~、これ美味いぞ。日本と同じ位美味い。それに日本、地球に無い調味料や素材を使っている分、向こうとはまた別の味がして良いな)


「どう? おいしい?」

「ん? あぁ、うまいぞ」

「そうでしょ! そうでしょ! なんたって私のおすすめなんだから!」

「何でお前が威張ってんだよ」

「細かいことは気にしない、気にしない。それよりお兄さん、私にも一口ちょーだい♡」


 そう言ってアリサは秋人に向け口を開けた。


「何で、お前にあげなきゃいけないんだ。それにお前さっき飯食ってたろ」

「え~、別に良いじゃん」

「太るぞ?」


 そう言った瞬間隣から殺気が飛んで来た。だが秋人はそんな事知らんと言う顔で食事を続けた。


「……ねぇ、お兄さん死にたいの?」

「いや、死にたくはないね」

「女の人に太るとか言っちゃだめだよ?」

「知るか、俺は事実を言っただけだ」

「……お兄さん、嫌い」


 そう言ってアリサはそっぽを向いた。だが秋人はそんな事知らんと言う顔で食事を続けた。


「あ、そう。じゃあ、どっか行け」


 秋人がそう言った瞬間アリサはチラリと秋人の事を見てまたそっぽを向いた。


「……」


 それを何度も何度もやってくるものだから、さすがの秋人でもうっとしいくなってきたため声をかけた。


「なんだよ」

「別に」

「……」

「……」

「……はぁー、俺が悪かったって。だから許してくれ。この通り」


 そう言って秋人は頭を下げた。もちろん心の中では「何で俺がこんなことを」と、思ってはいるがさすがにそれは言わなかった。


「そうだよ。今のはお兄さんが悪い。こんな可愛い子に太るなんて言うんだから。それにお兄さんは気使いが足りない。何であっち行けなんて言うの? 何で知らん顔出来るの? 何ですぐに謝らないの? 何で……」


 さすがに秋人もここまで言われるとは思っていなかったため少し驚いた。


「あー、うん、わかったからさそんな怒んなって。これからは気を使うからさ」

「う~、本当に反省してる?」

「してる、してる。ほら、このから揚げ1つやるから機嫌直せ、な」

「しょうがないな~。あ~ん」

「え?」

「食べさせて♡ あ~ん」

「……あ、あ~ん」


 そう言って秋人は口を開けているアリサにから揚げを食べさせた。


「う~ん、おいしい♡ ありがと、お兄さん」


 そう言ってアリサは秋人に満面の笑顔を見せた。


「!?」


 それを見た秋人はドキッとした。

 幼く、可憐で、可愛かった。


「? どうしたのお兄さん?」

「い、いや。何でもない」


 そう言って秋人はアリサの顔をなるべく見ないように食事に戻った。


(嘘だろ。俺が、俺がリアルの女にドキッとしただと! ありえん! この俺が!?)


 秋人はチラリとアリサの顔を見た。


「ふふ~ん♡ ふふーん♡」


 アリサは気分よく足をぶらぶらしながら鼻歌を歌っていた。


「ん? どうしたのお兄さん?」

「い、いや何でもない」

「そう?」


(え、嘘。マジ可愛いんだけど。やべーは。い、いや、そんなわけない。うん。これはあれだ、そう、あれ、魅了みたいなスキルのせいだ(アリサに魅了のスキルがあるかはわからない)。絶対にそうだ。俺がリアルの女にドキッとしたなんて認められねぇ!)


『別に認めていいのでは?』

『どわッ! なんだナビかよ! 脅かすんじゃねぇ!』

『別に脅かしたつもりはありませんけど。ですが意外ですね。あのマスターが、女を平気で殴る様なマスターが、まさか笑顔1つでこんなに動揺してしまうなんて(笑)』

『うっさい! あと、笑うんじゃねぇ!』

『これは失礼。マスターがあまりにも可愛(・・)かったものですから(笑)』

『なっ! お前今の言葉忘れんじゃねぇぞ! 絶対後悔させてやるからな!』

『それは、それは、怖いですね』

『て、テメー……』


「どうしたのお兄さん。そんなに怖い顔して?」

「え、あ、いや、何でもない」

「本当に大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だよ。そんな心配すんな」


 そう言って秋人はアリサの頭を撫でようとしが、秋人自身がそれはダメだと思い直して手を引っ込めるのだった。

 それを見ていたアイサは不満げな顔で文句を言った。


「ぷくー、お兄さんそこは撫でるとこだよ?」

「い、いや、別に撫でようとか、お、思ってないし? 何勘違いしてんの?」

「じー」

「うっ、ま、まぁ、そんなこと置いといて、ほらもう1個から揚げやるよ」

「しょうがないな~。お兄さんそんなに照れ無くても良いのに、ニコッ」

「べ、別に照れてねぇし!」

「はい、はい。あ~ん」

「あ、あ~ん」

「う~ん、おいしい。お兄さんに食べさせてもらってるって、思うとすごくおいしい」


 それはもう満面の笑みでそんな事言うものだから秋人も恥ずかしくなってくる。


「そ、そうか」

「ほぉ~、若いね!」


 そう言ってきたのは秋人が店に入るときに声をかけて来たおばさんだった。

 それはもう、ニヤニヤしながら。


「ほんと、若いって良いね」

「べ、別にそんなんじゃないですから!」

「そんなに照れなくてもいいのに」

「そうだよ、お兄さん。照れなくても良いんだよ!」

「だから、別に照れてるわけじゃねぇ!」

「ハハーー! ま、なんにしても仲良くやりな」


 そう言っておばさんはどこかに行ってしまった。


「ほんと、何しに来たんだ?」

「まぁ、気にしてもしょうがないと思うよ」

「確かにな」


 そう言って秋人は食事を続けるのであった。




 秋人は『チキン定食』を食べ終わりおばさんに会計をしてもらっている。


「それじゃ、飯代の105コルに宿代、風呂付の500コル。しめて605コルだよ! まぁ、良いもん見してもらったから負けて600コルで良いよ!」

「ありがとうございます! ではこれでお願いします」


 秋人的には複雑な気分だったが、それで割引してもらえるなら良いかと思った。

 そして秋人はポッケから1000コル出して、おばさんに渡して、お釣りの400コルを受け取った。


「それじゃお前の部屋は2階の211号室だよ!」


 そう言っておばさんは鍵を渡してきた。

 余談だが、この世界の鍵は基本的に特殊な魔法がかけられている。

 その魔法の効果を簡単に言えば、2つの物同士が同じ魔力でなければ開かない、と言うものだ。

 つまり鍵と錠を用意し、それに魔法をかける。そうすれば錠はそれと同じ魔法がかけられた鍵でしか開けられなくなる。

 そのためこの魔法は、秘密の書簡などを特定の相手に渡すときなどに利用される。

 あ、ちなみにこの魔法は2つの物だけではなく、3つ、4つでも良い。

 そのようにすれば複数の鍵が用意できる。

 余談終了


「ありがとうございます」

「あ、ちなみにうちは夜の運動はなしだからね! 襲ったりしちゃダメだぞ!」

「だから、そいうんじゃないです!」

「照れるな、照れるな」

「照れてるわけじゃありません! では!」


 そう言って秋人は頭を下げ、アリサがいるところに戻り席に腰かけた。


「お兄さん大丈夫? なんか大声出してたみたいだけど?」

「あぁ、別に大したことじゃないから」

「そう? それじゃお兄さん、観光しに行こ?」

「ん? あぁ~、あのさアリサ。飯食ったばっかだからさ少し部屋で休憩していきたいんだけど」

「えぇ~」

「ごめんな。ちょっと疲れたし考え事もしたいからさ」

「もう、しょうがないなぁ~」


『マスター少し良いですか?』

『ん? どうした?』

『あの……その、大変申し上げにくいのですが……』

『?』

『……アリサという少女を鑑定してください』

『え? でもアリサは鑑定の対象外じゃないの? マップで調べたんだから間違いないんだろ?』

『えぇ、まぁ、そうです。ですが少し気になる事がありまして』

『気になる事? あ、そういば、ここに来るときもそんな事言ってたな』

『えぇ、そのことです。あまり詳しくは言えませんが、私に関係あることです』

『お前に……』

『そうです。まぁ、一様私はマスターの”スキルの一部って事”になってますのでマスターも関係あることになりますね』

『……確かにそうなるが……お前今……』

『詳しくは説明できません』


 ナビは秋人が何か言おうとする前に声をかぶせてきた。


『はぁー、まぁ、別に良いけど』

『ありがとうございます』

『まぁ、聴き方は俺のやり方でやるけど、良いな?』

『えぇ、それで構いません』


「なぁ、アリサ」

「何お兄さん?」

「お前の事鑑定させてくれないか?」

「!?」


 そう言った瞬間アリサは警戒心剥き出しで秋人の事を見たきた。


「何で鑑定したいの?」

「別に大した理由じゃないよ。一様これから一緒に行動するからな、信用できるか確認させてもらいたいんだ」

「……まぁ、別に良いけどね。それじゃ私もお兄さんの事鑑定するね?」

「あぁ。良いよ。俺も鑑定するからな?」

「それじゃ遠慮なく」


 そう言ってお互い鑑定した。


 あ、俺のステータスは偽装しているから、別に見られても大丈夫だぜ(多分)。

 一様これが今の俺のステータスって事になっている。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


 名前 桐ケ谷秋人 年齢 17 性別 男

 種族 人間

 職業 商人

 レベル 25

 体力 100

 耐性 120

 筋力 110

 魔力 250

 魔耐 120

 敏捷 300

 運 50

 スキル 疾走 自然回復 話術 打撃耐性 痛覚軽減 観察 鑑定 アイテムボックス

 固有スキル

 加護



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 と、なっている。

 固有スキルと加護の部分を消してスキルの欄に【鑑定】と【アイテムボックス】を入れた。あ、あと、レベルも変えたけど、数値は変え無かった。

 多分、俺のレベル25は平均より少し強い感じになるようだ。

 あと、そこそこレアスキルの【アイテムボックス】を入れたのは隠すのが面倒だし使わないのはもったいないから。


(荷物を手で持つとか邪魔だし)


「へぇ~、お兄さんって結構すごいね。【アイテムボックス】もあるし」

「まぁな、それがあるから商人になろうと思ったわけだし」

「なるほどね」


 こんな良い言い訳もできるしな。


「あとお兄さん、一様言っとくけど勝手に人を鑑定するのはマナー違反だよ。それにもし鑑定をしてるってばれたら牢屋いきだからね。まぁ、私の場合はお兄さんだから許したけど他の人には絶対見せないんだからね。お兄さん無暗に鑑定しちゃだめだよ。いい?」

「あぁ、分かってるよ」

「お兄さんが捕まっちゃうのはいやだからね」

「あぁ、心配すんな」

「本当かな~、お兄さんのことだから気になった相手に鑑定しそうで心配だな」

「俺はそこまで子供じゃない」

「男はいつまでたっても子供だよ」

「……お前なんか母親みたいなこと言うんだな」

「母性本能と言ってほしいな♡」

「……お前まだ子供じゃん」

「……お兄さんに言われたくないな」


 そう言ってどちらともなく会話を終え席を立った。


「それじゃ、1時間後にね。お兄さん」

「あぁ、了解」


 そう言って秋人とアリサは階段を上がって行った。


「……別れの挨拶をしたのにまだ、一緒にいる件について」

「……お兄さん、それは言っちゃダメだよ」

「……あぁ、そうだな」

「……」

「……」


 そう言ってお互いは無言で階段を上がって行った。

 結局秋人の部屋の2階まで一緒にいた。




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