第4話 地下迷宮
冒険者への登録を終えたボクは、高級住宅街にある自宅に帰って来た。
時刻はまだ昼を過ぎた辺りだけど、何も、異世界転移したその日に、何もかもしなきゃいけない訳じゃないもんね。
本当は、もっとゆっくり考える時間が欲しいんだよ。
ボクは鍵を開けて館に入ると、居間のソファに腰を下ろした。
この広い館にいるのは、ボク一人。
治安の良いこの住宅街は、静かだった。
「本当に、ここは異世界だった……」
街の中を歩いてみて、冒険者ギルドに行って、売っていた食べ物を食べて、ボクは改めてそう実感した。
元の世界で死んだボクは、あの『何か』の誘いに乗って、この新しい肉体を貰ってラン・ヴァースにやって来た。
あいつは、サービスだと言ったけど、スタートの条件は確かに恵まれている。
話に聞いた昔のゲームでは、木の棒とわずかなお金だけを渡されて、魔王を退治しにレベル1で出発する勇者がいたらしい。
それに比べれば、ボクなんて、データを違法に改造したくらいのチートを貰って始まっている。
でも、このチートって、嫌がらせか冗談だよね?
名前 :アオト 年齢:14 性別:男 種族:人間
レベル:300
HP :13795/13795 MP:13765/13765
筋力:582 敏捷:592 知力:591 精神:587 生命:586
幸運:583
所有スキル
神威執行Lv★ 光魔法 Lv★ 闇魔法 Lv★ 剣術 Lv★
格闘術 Lv★ 密偵術 Lv★ 野伏術 Lv★ 軽装備 Lv★
命中強化Lv★ 回避強化Lv★ 肉体強化Lv★ 運動強化Lv★
魔法強化Lv★ 攻撃強化Lv★ 防御強化Lv★ 筋力強化Lv★
敏捷強化Lv★ 知力強化Lv★ 精神強化Lv★ 生命強化Lv★
幸運強化Lv★ HP増加Lv★ MP増加Lv★ 魔法破壊Lv★
異常耐性Lv★ 世界知識Lv★ 二刀流 Lv★ 宝物庫 Lv★
鑑定 Lv★ 表示偽装Lv★
いかにも、トラブルを楽しめと言わんばかりのステータスだよ、これ。
まあ、こうなったからには、徹底的に楽しんでやるしか対抗手段は無いけどね。
さて、冒険者にはなってみたけど、今後はどうしようかな?
まずは、自分のこの力を検証してみなきゃだね。
それには、迷宮に行ってモンスタ-と戦うしかないかな。
人目に触れない場所で、力を遠慮無しにぶつけても構わないモンスターっていう相手がいる迷宮は、力試しには、持って来いだよ。
「地下迷宮か、これもロマンの響きだな~」
そんな場所は、ボクも実際に見るのは初めてだ。
どんな場所で、どんなモンスターがいるんだろう。
確か、部屋の本棚や書斎にいっぱい本が並んでいたから、調べてみるかな。
「でも、その前に、冒険の準備をしなきゃだね」
ボクは居間から、地下室に移動した。
この館の地下には、ボクの両親が集めた冒険の為の武器や防具、それに道具の類がいっぱい納められている。
いくらボクのステータスがチートでも、何の装備も無しに地下迷宮に行くのは馬鹿だよね。
地下室の倉庫の扉を開け、『発光石』を光らせて中を照らすと、朝見た時と同じで、棚にたくさんの品物が置かれていた。
今ボクが宝物庫に入れているのは、ミスリル製の長剣一本だけだ。
冒険に必要な品物は、他に何があるんだっけ?
ボクはゲームやサバイバルの知識を活用しつつ、品物を選んだ。
まずは冒険の為の道具だ。
この世界の高価な道具には魔石が付いているんだね。
『保温石』が付いた毛布。『防虫石』が付いたマットレス。『灼熱石』が付いた鍋、フライパン、薬缶。『給水石』が付いた水筒。『防水石』が付いた簡易テント。『発光石』が入ったランタン。
それに、火を点けられる『発火石』、オートマッピング機能を持つ『地図石』の魔石板に、方角を教えてくれる『方位石』、呼吸出来る空気を供給してくれる『空気石』といった、いくつかの魔石も宝物庫に入れて置いた。
後は、普通の道具。
腰に付ける鞄、調理器具、ロープ、ナイフ、替えのシーツ、枕、密偵用の七つ道具、タオル、便所紙、筆記用具と紙、食器のセット、フォークとスプーン、小型のハンマーとくさび十本、大小の麻袋をたくさん。
結構な量になったけど、ボクの宝物庫の容積には余裕があるから、全く問題無い。
次に、二つのレンズが付いたゴーグルを見つけた。
【暗視ゴーグル】
使用者は、暗闇を見通す能力を持つ魔道具。
暗視ゴーグルか。明かりを使わなくても、暗闇を見れるのは、有利だよね。入れて置こう。
他にも何かあるかな。
ボクは、軽装備のスキルがあるから、防具を身に付けるとしたら、布や革製が望ましい。
そう思って、防具を物色したら、純白のコートを見つけた。
【ミスリル製コート】防御力:25
繊維状に加工したミスリル銀を織り上げた、フード付きのコート。魔法に対する抵抗力を持ち、通常の気候による暑さや寒さに対応した防熱防寒防水性能を持つ。
ミスリル銀製のコートか。
金属製だけど、これだけは布に分類される防具だね。
防御力は25。
ボクは、軽装備のLvがMAXだから、布製や革製の防具の防御力は、十割上昇する。
このコートだけで、防御力は50になるんだね。
それに、熱いのや寒いのにも耐えられるなら、便利だ。
うん、鎧はこれにしよう。
他にも、ミスリル製の物はあるのかな?
ボクは、棚を漁って、それらを探した。
結果、コートと同じく、ミスリル製の装備を発見したよ。
それは、白いブーツと手袋だった。
【ミスリル製ブーツ】防御力:10
繊維状に加工したミスリル銀を織り上げて作られた、膝下までのブーツ。防熱防寒防水性能を持つ。
【ミスリル製手袋】防御力:5
繊維状に加工したミスリル銀を織り上げて作られた、手袋。防熱防寒防水性能を持つ。
どっちもコートに合わせた装備品だね。
この三つを身に着けてみると、魔法の品なのか、ボクの身体に合わせて、サイズを自動的に調節してくれた。
着心地は悪くないね。
金属であるミスリル銀製の布なのに、全く重さも感じないし、とっても動きやすい。
防御力はコート、ブーツ、手袋を合わせて40、それが倍になって80だ。
それに、ボクは防御強化LvがMAXだから、防御力は裸でも100はある。
合計180が、今のボクの防御力だ。
これって、結構固い守りだよ。
武器関係のスキルや、攻撃強化や筋力強化、それに強力な武器なんかを持たないと、簡単には突破出来ないんじゃないかな。
地下迷宮に潜るのにここで用意する装備は、こんなのものだね。
ボクは地下室を出て、一階に戻った。
食料庫から、固いパンやベーコンの塊、干した果物、生野菜、それに塩や胡椒、油なんかの調味料を、宝物庫に放り込む。
食料庫には、『保存石』が使われているから、生ものでも腐ったり劣化したりはしていなかった。
宝物庫も同じで、時間が止まっているから、入れて置いた物が腐ったりする事は無いんだ。
二階に上がって、部屋の箪笥から着替えと下着も取り出して、宝物庫にしまうと、冒険の準備は全部整った。
「ふう、快適だ~」
ボクは、お風呂に入っていた。
今日やるべき事は終わったから、明日に備えて、英気を養う事にしたんだ。
この館の浴室はなかなか豪勢で、中はタイル張り、浴槽は大理石、『給水石』『灼熱石』による給水、給湯システムに加えて、石鹸の代わりになる『洗浄石』や浴室全体の清潔さを保つ『浄化石』まで完備した魔石文化の象徴とも言えるような造りになっているんだよ。
「このお風呂には、文句は無いね」
ボクは肩まで熱いお湯に浸かり、肉体よりも精神の疲れを解した。
この後、ボクは適当に夕飯を食べてから、本を読んだ。
この家には書斎もあるので、読む本には事欠かない。
世界知識のスキルと、アオトとして学んだ事になっている知識のお蔭で、本に書いている共通語やその他の言葉も、問題無く読み書き出来る事も判った。
流石に現役の冒険者の家だからなのか、冒険や迷宮、モンスターに関する蔵書は豊富だった。
他にも、地理や歴史、博物誌なんかの本もあって、ボクは長い夜を退屈せずに過ごす事が出来た。
翌早朝、ボクは準備を済ませて家を出た。
向かう先は、勿論この街にある地下迷宮だ。
その場所は、冒険者ギルド総本部の建物から歩いて五分くらいの所にあった。
ボクの目に映ったのは、大きめの広場と、そこに立つ神殿のような建物だった。
この建物が、迷宮への入り口なんだね。
建物の周りには、警備の兵士が立っていたりするけど、目立っているのはその人達じゃなかった。
迷宮入口の周りには、簡易宿泊所や、道具屋、食べ物を売る屋台、ドロップ品や魔石をギルドより高く買い上げてくれる商店の出張所、そんな冒険者を相手に商売しようという人達が集まって、門前市みたいな有様になっていた。
まだ朝早いのに、この場所には武装した男の人や女の人がたくさんいて、迷宮の建物に入って行く人達や、店で買い物をする人達で賑わっている。
でも、時折建物からボロボロの姿で出て来る人達もいた。
迷宮には、朝から潜って夕刻に出て来るパターンが多いらしいけど、そこは冒険者次第で、迷宮に挑む時間は自由なんだろうね。
この場所にあるお店も、二十四時間営業しているんじゃないかな。
ボクは、そんな人達を見ながら、建物に近付いた。
近くで見ると、結構大きい。
太さが二メートル以上、高さも十メートル以上もある石の柱が何本もそそり立って、石造りの天井を支えている。
警備の兵士はいるけど、建物への出入りは自由みたいだ。
特に話を聞かれたり、何かを見せろと言われる事もなかった。
まあ、この迷宮に挑む冒険者の数は、一万人くらいいるみたいだから、いちいちチェックなんてしていられないんだろうね。
建物に入って、その中心に向かうと、そこに地下へと続く、大きな石造りの螺旋階段が口を開けていた。 階段の幅は、四メートルくらいあるのかな。
その階段をたくさんの冒険者が、下りて行く。
これが、地下迷宮の入り口、大階段なんだね。
この階段は、螺旋状に真っ直ぐ地下に伸びていて、迷宮の各層を貫き、最下層まで続いている。
だから、この迷宮が全十層である事は、もう確かめられていた。
階段を下りて行きさえすれば、下の階に行けるんだから、それを調べるのは簡単だね。
でも、十階層まで階段で降りた冒険者はいても、探索に乗り出して生きて帰って来た冒険者はいないんだって。
今現在、この迷宮の探索範囲は、七層までが限度。
英雄なんて呼ばれたボクの両親でも、そこまでが限界だったらしい。
十階層を探索するなら、レベル100以上のメンバーで構成されたパーティーが必要みたいだね。
ボクは、他の冒険者に紛れるように、地下へと続く階段を下りて行った。
程無く、ボクは地下迷宮の第一層に到着した。
そこは、広い部屋だった。
迷宮の床や壁、天井は全て灰色の石で構成されている。
どうやって作ったのか全く分からないらしいけど、巨大な石が組み合わされた人工的な通路や部屋で迷宮は構成されていた。
今まで分かっている事だけを言うと、迷宮内は基本的に、十立方メートルのブロックで構成されている。
通常の通路は、幅八メートル、高さ十メートルの広さ。
天井には、岩と一体化した『発光石』があって、光を放っているので、迷宮内は照明器具が無くても探索が可能。
でも、明かりの無いダークゾーンもあるので、照明道具は必要。
一階層の構造は単純で、大階段から東西南北に、十字型に大通路が伸びている。
大通路は、幅二十八メートル、高さ十メートルあり、それが延々と続いているんだって。
その大通路の左右にも通路が伸びて、たくさんの玄室が規則正しく並んでいるのが、一階層の特徴らしい。
まあ、『地図石』の魔石板を使って、オートマッピングして、『方位石』を使えば、大階段の方向はいつでも判るから、道には迷い難いだろうね。
冒険者の必需品だよ、これ。
それに、この迷宮、迷宮と言っても、直接街の地下にあるんじゃなくて、別の空間なんじゃないかって説もある。
何しろ、街の地下を掘っても、迷宮の天井には当たらないし、その広さも、あり得ないほどの規模なんだって。
昔、大通路がどこまで続いているのか、調査する為、馬車で一週間以上進んだパーティーがいたそうだけど、結局終わりが見えなくて、引き返して来たそうだ。
迷宮の一層一層は途轍もなく広く、果てが無い。
そこには、色々なモンスターが現れ、時に宝箱なんかも置いてあって、見た事ないお宝も手に入る。
それに魅かれて多くの冒険者が、迷宮に挑み、ある者は力と富を手に入れ、ある者は死と挫折を手に入れる。
命を懸けて博打に挑む、死の賭博場。
それがここ、フォーセスの街の地下迷宮なんだ。
一階層の大階段の周りには、たくさんの冒険者が集まっていた。
ステータスを覗いて見たけど、ほとんどがレベル一桁の人達だね。
これもゲームみたいな設定だけど、出て来るモンスターは、この一階層が一番弱いんだよね。
だから、レベルが低い冒険者は、ここで地道に経験を積む。
まあ、その代りここくらいじゃあ、あんまり稼ぐ事も出来ないみたいだけど、それは命と量ってって事かな。
さてと、ボクはこれから自分が持つ戦闘能力を検証しようと思う。
ステータス画面の能力値やスキルを見ると、明らかにチートだけど、それが本当にチートなのかは、確かめて置かないと、信用出来ない。
この迷宮の中なら、人目につかない場所もあるし、力を試せるモンスターもいるんだ。
それじゃあ、出発。
ボクは、北に伸びる大通路を進む事にした。
初級冒険者の中には、子供の姿もあったから、ボクでも極端には怪しまれていないみたいだ。
まあ、子供のソロは他にいなかったけどね。
ボクは、ミスリル製コートのフードを被り、『発光石』で照らされた大通路を歩いた。
大通路沿いには、確かに、横道がいっぱいあって、そこから奥へと通路が伸びている。
冒険者達のパーティーは、それぞれその通路に入って行き、時にその奥から戦いの音なんかが聞こえるんだ。
ボクは、早足で大通路を進んだ。
力を検証する所は、絶対に他人に見られる訳には行かない。
その内、北の大通路を歩くのはボクだけになった。他の冒険者は、みんな横道に入ったようだ。
よし、ここら辺で良いかな。
ボクは、大通路から続く横道の一つに入った。
横道と言っても、その幅は八メートル。
一人で歩くと、随分広く感じる。
それに、これは密偵術や野伏術の影響なのか、ボクは自然に足音を立てず、気配を消して移動出来る事に気が付いた。
周囲の人やモンスターの気配や様子も、手に取るように判る。
もしも、モンスターが奇襲を掛けようとしていても、これなら事前に察知出来るだろう、罠の存在も感知出来る気がする。
危険に鈍感なボクでも、この感覚を信じれば、大丈夫そうだ。
それに、能力値だ。
本当に、この女の子みたいに華奢な身体に、あの出鱈目な数字程の力があるのだろうか?
外ではなかなか試せなかったけど、ここなら良いよね。
ボクは、その場で思い切りジャンプした。足が石の床を蹴り、自分でも信じられないくらいに軽々と、ボクの身体が宙に跳ね上がった。
ゴンッ!
痛いっ! 天井に頭ぶつけたっ!
ボクは、何とか上手く床に着地すると、頭を撫でた。
高さ十メートルの天井に余裕で頭がぶつかるって事は、今のボクは、二十メートルくらいは垂直跳びが出来るみたいだ。
気を付けよう。
能力値の実証の一つはなされたけど、力があり過ぎるって事は、やり過ぎる事もありそうだ。
それに、今の衝撃でも、痛いは痛かったけど、ダメージと言うほどのダメージは受けていない。
これも、防御強化のスキルと膨大なHPの影響なんだろうね。
その時だった。
ボクは、自分に近付いて来る、何かの気配を探知した。
うん、おそらくはモンスターだ。
ステータス画面から、ミスリル製の長剣を出し、右手に握った。
この世界にやって来て、初めての戦闘。
違うか、喧嘩ならした事あるけど、戦闘なんてゲーム以外じゃ初めてだ。
石の通路の先から、音も無く現れたのは、人間大の青い粘液の塊だった。
【ブルースライム】
大きな粘液の塊で、魔法生物と考えられる。その不定形の身体で、敵を包み、消化しようとする。
ブルースライムか、何か最初の敵にはふさわしい相手だよね。
それに、一匹だけなんて、検証大丈夫かな?
そんな事をボクが考えていると、ブルースライムは、意外と早い動きで青い身体を伸ばして、ボクに絡み付こうとして来た。
ボクはその攻撃を、ひょいと避ける。
まずは回避力のチェックだ。
何度かブルースライムに攻めさせて、ボクはその攻撃の回避に専念してみる。
うん、全く問題無いね。
何度攻撃されても、ボクは余裕でブルースライムの攻撃を避けられた。
正直、目を瞑っても、大丈夫だろう。
「回避力は、敏捷とレベル、それに回避強化スキルの影響で決まるんだね」
それを確認したボクは、次に右手に持った長剣を、ブルースライムに振り下ろした。
ザンッ!
ほとんど何の手応えも感じずに、ブルースライムの身体が真っ二つになった。
当てようと力む事もない、自然な動作。
命中も問題無し、それに攻撃力も圧倒的。多分、オーバーキルだね。
切られたブルースライムの身体は、生命活動を停止すると同時に、光の粒になって消えて行った。
まるで幻だったかのように、後には黒い魔石が一個と、ビニール袋のような物に入った青い粘液だけが残された。
【黒魔石】
モンスターを倒して得られる魔石の中では、最も価値が低い魔石。
【ブルーゼリー】
ブルースライムが落とすドロップ品。
「これが、モンスターを倒して手に入る魔石とドロップ品か。でも、これは安物だよね」
ボクは魔石とブルーゼリーを拾って、鑑定してみた。
黒魔石は、銅貨一枚から十枚の価値しかない、一番安い魔石だ。この地下一階では、この魔石しか手に入らないらしいから、稼げない筈だよね。
ドロップ品も、一定の確率でモンスターが落とす品物で、何に使うのかはボクも知らないけど、売ればお金にはなる。
モンスターの身体は、死ねば魔素と呼ばれる物に変わって消えてしまう。何でも、モンスターの身体は、魔石が創り出す実体を持つ幻のような物らしい。
倒されるまでは、確かに存在するのに、倒した瞬間、それは消えてなくなってしまうんだ。
そして、魔素は経験値として、倒した者の身体に吸収される。
えーと、確かHP100で、経験値が100のモンスターがいた場合、最初に70のダメージを与えた者がいて、次に50のダメージを与えて敵を倒した者がいた場合、最初にダメージを与えた者が、70の経験値を得て、次の攻撃で敵を倒した者は30の経験値を得られるというのが、この世界のシステムだった筈だ。
つまり、パーティーには加わっていても、戦いに参加しなければ、経験値である魔素は得られない訳なんだ。
まあ、ボクはスキルLvが全部MAXだから、いくらモンスターを倒しても、魔素は得られないんだけどね。
ドロップ品は、一定の確率でモンスターを倒した時に得られるらしい。
当然、レアな品を持つモンスターのドロップ率は低い。
これは、幸運の数値にも影響されるらしい。
パーティー内で、最も幸運の能力値が高い者が基準となって、幸運10毎に1%ドロップ率が上昇するんだって。
因みに、ボクの場合は、幸運強化もMAXだから、幸運の能力値は実質683。
ドロップ率は、68%アップするんだね。
うわ、例え、ドロップ率1%のレアアイテムでも、三回に二回は手に入っちゃうよ、これ。
改めて、ボクの能力値はチートだ。
検証を続けて、全てを明らかにしておかないと、どこかで落とし穴に落ちそうだよね。
ボクの迷宮探索は続く。