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第3話 冒険者ギルド

 冒険者ギルド。

 この組織の誕生は、結構古いらしい。

 一説には数百年前に土台となる組織が生まれ、それが各国に広まり、今では主だった街には必ず支部を持つ巨大組織に発展して来たそうだ。


 冒険者ギルドは王国からは独立した組織で、ボクの感覚から言えば巨大な企業のようなものなのかな。

 冒険者は国を跨いで活躍する事もあるから、どこの国に行ってもお世話になれるギルドは、便利な組織なんだよね。


 それに、ゲームが好きな男の子にとっては、どこかロマンを感じられる場所なんだ。


 そんな訳で、ボクは大市場を通り抜けて、目的の建物にやって来た。

 冒険者ギルドの総本部は、ボクの家から歩いて二キロ弱くらいかな。街の中央にある大広場の近くに一際大きく聳え立っていた。


 周囲の建物よりも、ずっと大きくて目立っている、石造りの建造物。

 高さは五、六階くらいあり、敷地も広く取られている。立派な入口からは、物騒な格好をした男女が、頻繁に出入りしている様子も見えた。

 入口には、剣とドラゴンが組み合わされた絵が描かれた看板が掲げられている。

 これが、世界共通の冒険者ギルドの看板なんだね。


 「ここが、冒険者ギルドの総本部か」


 ボクは、建物を眺めてそう呟いた。

 それじゃあ、早速入ってみよう。


 ボクは、ギルドの建物に中に足を踏み入れた。

 扉を潜ってすぐの場所は、二階まで吹き抜けの広いホールになっていた。何となく、一流ホテルのロビーみたいな作りだな。

 職員が対応してくれるカウンターがいくつも設置されて、大きな掲示板には仕事内容を記した依頼書の紙が、何百枚も張られていた。


 その間を、金属鎧を着た大男や、ゆったりしたローブを羽織って杖を持った男、革鎧を着た女性なんかが歩いている。

 いかにも冒険者という出で立ちの人達が、カウンターでギルドの職員の人と話をしたり、依頼書の内容を真剣に読んだりしているのを見ると、世界は違ってもここがたくさんの人達が関わる仕事の場なんだという事が、ボクにも判った。

 

 「冒険者ギルドへ、ようこそ。本日は、どのようなご用件でしょうか?」


 そんな風に、初めて目にした冒険者ギルドのホールの中を眺めていたボクに、ギルドの制服らしい水色の服を着た二十歳くらいの女の人が、丁寧な口調と笑顔で声を掛けて来た。


 「えーと、ボクは冒険者の登録に来たんですけど、ここって年齢制限とかありませんよね?」


 念の為、このお姉さんに聞いてみた。

 この世界の成人年齢は、十五歳くらいみたいだけど、冒険者ギルドはどうだろう。


 「はい、冒険者ギルドでは、冒険者志望の方ならば、年齢、種族、身分に関係なく登録する事が出来ます。冒険者への登録は、あちらのカウンターをご利用下さい。冒険者に必要な基本的な事も、あちらで説明されます」


 その女性は、ボクにも丁寧に対応して、そう教えてくれた。やっぱり、冒険者になるのに、難しい条件はいらないみたいだ。

 冒険者ギルドが寛大なのか、それとも、死んだり辞めたりする人が多いから、常に補充の新人を欲しがっているから、条件を緩くしているのか、まあ多分後者だよね。


 「ありがとうございます。じゃあ、カウンターに行きますね」


 ボクは、得意としている優等生モードで、職員の女の人にペコリと頭を下げると、受付のカウンターに向かった。


 たくさんのカウンターが並ぶその場所には、同じ制服を着た女の人達が椅子に座って、冒険者相手の業務を行っていた。

 この世界は、女の人でもこういう場所で雇って貰えるんだね。やっぱり、地球の中世とは違う文化圏だよね、ラン・ヴァースは。


 「すみません、冒険者への登録をお願いします」


 ボクは、カウンターに座っている女の人の中から、手が空いていそうな栗色の髪の人に声を掛けた。


 「はい、お受けしますよ。どうぞ、そちらの椅子に腰掛けて下さい」


 カウンターの女の人は、笑顔で椅子を進めてくれた。ボクは、言われた通り、カウンターの前に置かれていた、丸椅子に腰掛ける。


 「初めまして、冒険者ギルドにようこそ。私は、受付担当のレティシアと申します」


 レティシアさんは、子供のボクにも丁寧な受け答えをしてくれた。冒険者ギルドって、物騒な組織のイメージもあったけど、結構指導が行き届いているんだね。

 彼女は、十代後半くらいの、癒し系のお姉さんだ。ちょっと垂れ目なところが可愛いかな。


 「ボクは、アオト・セイレストです。今日は冒険者の登録に来ました。冒険者の仕事に就くのは初めてなので、色々教えて頂けると嬉しいです」

 「はい、判りました。冒険者ギルドへの登録自体は、無料で承っております。では、まず身分証のカードを提示して頂けますか? もしも、お持ちで無いのでしたら、仮の身分証も有料でお作りしますよ」


 身分証が無い人でも、ギルドは登録させてくれるんだね。やっぱり、冒険者は実力主義で、何があっても自己責任って事なのかな。

 レティシアさんは、薄い水晶の板のような物を取り出した。まるで、タブレット端末のように見える。


 「えーと、これは?」

 「はい、これはステータスの情報を記録する魔道具です。冒険者ギルドでは、この『記録石』の魔石板を使って、冒険者の情報を管理しています。勿論、ギルド会員の個人情報は秘匿されておりますので、ご安心下さい」 

 

 ファンタジー世界なのに、随分便利な道具が普及しているよね。

 でも、ステータス情報をギルドに知られてしまうのは、結構問題な気がする。

 ボクには、表示偽装のスキルがあるから、嘘の情報を登録出来るけど、他の冒険者はどう考えているのかな?

 

 「それって、ステータスを全部記録されるって事ですか?」

 「いいえ、登録に必要なステータスの情報は、名前、年齢、性別、種族の四つだけです。現在のレベルや、所有するスキルの種類やLvは、やはり他人には知られたくないと思う冒険者が大半なので、ギルドの方でも、無理強いは出来ないのです」


 やっぱり、そうだよね。

 自分の強さが、ハッキリと数字で出て来るこの世界で、ステータス情報を不用意に人に知られるなんて、命取りになりかねないもんね。

 いくら自分が所属する組織でも、これは知られたくないと思う。


 「この『記録石』の魔石板に触れて、四つのステータス情報を念じれば、それがここに表示され、記録されます。その情報を元に、身分証のカードの魔石にも、冒険者ギルドの会員になった事を記録します。後は、身分証のカードがあれば、世界のどの冒険者ギルド支部に行っても、自分が正式な冒険者である事を証明出来るんです」


 凄い、とっても便利だ。紙台帳での管理なんてものじゃない、とっても近代的だ。 

 

 「判りました。じゃあ、これがボクの身分証です」


 納得したボクは、一級市民の証である白いカードを取り出して、レティシアさんに渡した。


 「まあ、アオト様は一級市民権の所有者でしたか。失礼致しました。ただ今確認致します」


 ボクが提示した身分証の色を見て、レティシアさんの表情が変わった。

 一級市民の冒険者志望は、珍しいのかな?

 それとも、貴族に準じる扱いを要求されるかもしれないから、緊張したのかもしれないね。

  

 身分証のカードには小さな魔石が埋め込まれていて、所有者の魔力が登録されている。カードに登録されている魔力と、本人の魔力が一致する事でカードが輝き、本人確認がなされる仕組みになっているんだ。

 だから、身分証のカードを偽造したり、他人が使う事は出来ないし、カードには色々な個人情報も記録されていて、あちこちで便利に使う事も出来る。


 やっぱり、この世界の一部はとっても近代的だ。


 レティシアさんは、さっきとは別の魔石板、『表示石』を使って、ボクが渡した白いカードの情報を読み取った。


 「はい、確かに本物の一級市民権所有者のカードです。本人確認も終わりました。でも、これって……、失礼ですが、もしかして、アオト様はあのS級冒険者のセイレスト夫妻のご子息ですか?」


 恐縮するような様子で、レティシアさんがボクにそう訊ねて来た。

 

 「はい、そうですけど」

 「ああ、やっぱり。そうですか、ご両親のご不幸は、冒険者ギルドでも良く知られています。英雄のお二人を失った事は、ギルドにとっても大きな損失でしたから」


 ボクが、セイレスト夫妻の息子だと知って、レティシアさんがお悔やみの言葉を口にした。

 面識は無いんだけど、やっぱり、この世界のボクの両親は有名人なんだね。


 「やはりアオト様は、ご両親の後を継ぐ為に、冒険者を目指しているのですか?」

 「はい、その心算です」


 まあ、その辺が当たり障りのない理由だよね。

 実際、こう言ったらレティシアさんも、納得した様子で頷いてくれて、手続きを進めてくれた。

 ボクの身分が一級市民で、英雄冒険者の息子と知って、少し対応のランクが上がったような気がする。


 ボクは、『記録石』の魔石板に触れて、ステータスの一部を表示させた。

 

 名前 :アオト  年齢:14  性別:男  種族:人間


 ここまでだったら、偽装する必要も無い、正確な情報だ。

 ここから下の情報は、本物を表示したりしたら、大騒ぎになっちゃうよね。


 「はい、これでステータスの記録は終了しました。同時に、身分証のカードにも冒険者としての情報が新しく書き込まれています。今後は、各地のどのギルド支部でも、身分証をご提示頂ければ、仕事の依頼を受けたり、魔石の買い取りを行ったりする事が出来ます。その結果、冒険者としてのランクも上昇して行く事になります」

 「冒険者のランク? 因みに今のボクは?」

 

 親がS級とか言っていたから、冒険者にもランクがあるんだね。


 「はい、冒険者の階級は、最下位のG級から、GG級、GGG級、そこからF級へと昇格して行きます。最高位のSSS級までの、二十四階級に分かれていますね。このランクは、冒険者ギルドへの貢献、こなした仕事への評価でして、ランクが高い冒険者はそれだけギルドから優遇が受けられます。アオト様は、登録したばかりですので、G級からの始まりになります」


 レティシアさんが、ランクについて説明してくれた。

 このランクが低い者は、街中の護衛や届け物、肉体労働みたいな、簡単だけど報酬の低い仕事を受けて生活しているんだって。

 ランクが上がれば上がる程、報酬が高い仕事を請け負う事も出来るそうだ。 

 それでも、迷宮探索だけは実力と無関係に出来るみたいだけどね。

 ランクは、ギルドでの仕事をこなしたり、たくさん魔石をギルドに売る事で上昇して行くそうだけど、具体的な基準は、秘密だそうだ。

 レベルの高さとの関係も絶対では無く、あくまでギルドへの貢献度を示すものなんだってさ。


 「中には、あまりギルドの仕事は請け負わずに、下級ランクに留まっているのに、高レベルな冒険者という方もおられますよ」


 ランクと実力は、必ずしも一致する訳じゃないんだ。

 それでも、ランクの高い冒険者には実力者が多いのも事実。

 諸王国から独立した中立組織で、ある意味では巨大な武力を持つ冒険者ギルドから、優遇措置を受けられると言うのは、大きなメリットだよね。

 それなら、ボクもある程度のランクは必要かなと思って、レティシアさんに優遇措置の具体的な話を聞いてみた。


 「冒険者の基本的な権利ですが、まず税金の問題がありますね。冒険者ギルドでは、重要資源である魔石の買い取りを積極的に行っております。冒険者がギルドに魔石を売ると、通常の市場買い取り価格の半額で買い上げています。その差額分は、ギルドが一括して国に税金として納め、同時にギルドの運営資金の一部にもなっています。その為冒険者は、基本的には税金を支払う必要はありません。各国に移動した際にも、人頭税や通行税、所得税などは免除されます」


 ファンタジー世界でも、税金は取られるんだね。

 まあ、当然か。

 その面倒くさい税金も、冒険者なら直接国に支払わずに、ギルドが支払ってくれるのなら、便利だよね。


 「ですがその代り、ギルド員の冒険者には、ランク毎に一定量の魔石の供給、もしくは依頼の達成が義務付けられます。一定期間、魔石も売らず、依頼も受けないという状態が続きますと、冒険者の資格が停止処分となりますので、ご注意下さい」


 ふーん、脱税の為だけに冒険者に登録する事は出来ない訳か。やる事は、やらなきゃ駄目だって事だね。

 他にも、ギルドでは冒険者の所持金を預かって、各地のギルド支部で払い戻しが出来るという、銀行のような業務もしているそうだ。

 流石に預かるだけで利息は付かないみたいだけど、多額の現金を持ち歩かなくて良いのは、冒険者にとっては便利だよね。

 まあ、宝物庫があるボクは、必要無いかもしれないけど。


 それに、高ランクの冒険者になると、強力な武器の携帯が許されたり、街中での魔法の使用にも寛大な措置が取られたりする。

 各地にあるギルドの施設を安く使用出来たり、ギルドから融資を受けられたり、大きな仕事をこなす為にギルドの組織を動かす事も、場合によっては出来るそうだ。

 高ランクの冒険者は、王国からも注目されて、中には国に仕官したり、もっと凄い人は手柄を上げて貴族にまで上り詰めた人もいるんだって。


 それなら、みんな高ランクの冒険者を目指すよね。


 「そういう訳でして、冒険者ギルドの主な業務は、仕事の斡旋と情報交換、魔石やドロップ品の買い取りですね。掲示板に張られた依頼書の中から好きな内容の仕事を選んで請け負えますが、依頼に失敗すると報酬の半分の金額を、違約金として支払わないといけませんので、自分の実力に見合った仕事をするのをお奨めします」


 レティシアさんの説明が続く。

 ここギルド本部の中には、受付カウンターの他に、魔石やドロップ品の買い取り所や、冒険者が集まって酒を飲んだり食事をしたりしながら、パーティーを組む仲間を探したり、情報交換なんかが出来る場所も用意されているんだって。


 いわゆる、冒険者の酒場ってやつだね。


 仲間探しとか、情報交換には興味はあるんだけど、ボクにとっては、危険地帯じゃないのかな。このレベルに釣り合う仲間なんていないだろうし、ボクの情報を知られるのも不味い。

 

 うん、ボクは当面、ソロ活動だね。


 「ありがとうございました、レティシアさん。今後はよろしくお願いしますね」

 「はい、こちらこそ。新人冒険者として頑張って下さいね」


 レティシアさんが、ボクにほほ笑むようにそう言ってくれた。

 これが業務用のスマイルでないなら、彼女は良い人なんだろうね。 


 身分証のカードを返して貰ったボクは、カウンターから離れてホールを見回した。

 何人かの冒険者の姿が見える。

 その内の一人、金属鎧を着た戦士みたいな人に、鑑定を掛けてみる。


 名前 :ゼーヴィン  年齢:22  性別:男  種族:人間

 レベル:18

 HP :172/192 MP:134/190

 筋力:27 敏捷:25 知力:23 精神:24 生命:27 幸運:25

 所有スキル

  剣術  Lv4 槍術  Lv3 格闘術 Lv3 盾術  Lv3

  筋力強化Lv3 重装備 Lv2


 ふーん、レベル18か。

 この世界だと、このくらいが一人前の冒険者なのかな。スキルも、戦士系のものが揃っているよね。

 それに、スキルLvがみんな平均値で、突出していないのも、この世界のシステムの特徴の一つだと思う。

 

 一つのスキルを優先して伸ばすよりも、いくつもスキルを手に入れて、それを平均して伸ばす方が、当然レベルの上昇は早くなる。

 レベルが上がれば、HPとMP、それに能力値が増えるんだから、早く強くなりたければ、このやり方しかないのは、誰でも判る。

 このやり方が、ラン・ヴァース世界の常識なんだね。


 冒険者になったボクは、ギルドの総本部を出て、街の中を歩いてみた。   

 冒険者ギルドの建物があるのは、街の中心地区で、この周辺には、いくつか神殿も建てられていた。


 ラン・ヴァースでは、主に六聖神と呼ばれる六柱の神々が信仰されている。

 火の神、水の神、風の神、地の神、光の神、闇の神だ。

 この神様達は、それぞれの属性を司っていて、世界に均衡をもたらしているらしい。

 だから建前上は、神々の関係は対等という事になっている。

 

 でも、それはあくまでも建前。

 ボクの知識が告げているけど、実際には光の神が他の神々を束ねるべき存在である、という風潮が強いんだって。

 その反動なのか、闇の神は人々から忌避される傾向にある。


 見れば判るけど、街中にある神殿も、光の神の神殿が一番立派で大きい。

 闇の神の神殿に至っては、ここには無い。

 どこか街の片隅にあるらしいんだけど、ボクも場所を知らない。

 別に、闇の神だって邪悪な教義を掲げている訳じゃなくて、闇魔法が悪っぽいからっていう単純な理屈みたいだね。


 広く知られている魔法の属性も六種類なんだけど、魔法のスキルは信仰心で得るものではない事も、公然の秘密になっている。

 別にどの神を信仰していても、他の神が司る属性の魔法を身に付ける事は出来るんだ。

 現に、癒しの効果をもたらす光魔法は、ほとんど全ての神官が習得を目指しているみたいだね。その辺も、光の神が一段上に見られる理由なのかな。


 (まあ、ボクは光魔法使えるから、治療なんかで神殿と関わる事なんて、当面無いよね)


 ボクは横目で装飾された巨大な建造物を見ながら、その場から離れた。


 大広場に戻って来たボクは、少しお腹が空いたから、屋台で買い食いをする事にした。

 ちょうどお昼に近付く時間帯だったから、広場の屋台からは美味しそうな匂いが漂っているんだよね。

 

 広場の屋台では、肉の串焼きや、魚のスープや揚げ物、貝の焼き物、器に入れたシチューや、薄焼きのパンなんかがいっぱい売っていた。

 ボクは、店を眺めて歩き、薄焼きパンに野菜や焼いた肉を挟んでソースを掛けた物と、青い果肉を持つ果物。それに、白っぽい飲み物を購入した。


 支払いは、全部で銅貨八枚だった。


 「うん、結構美味しいや」


 ボクは、ソースを垂らさないようにパンに挟んだ肉や野菜を食べ、見た事の無い果物を齧る。


 「甘酸っぱいや。桃とリンゴを合わせた味かな?」


 青い果肉の果物は、柔らかな歯応えと甘酸っぱい味を持っていた。少なくとも、初めて食べる味だった。

 白っぽい飲み物は、木の実を砕いて水で濾して作ったジュースだと、売り子の人が言ってたね。


 「うーん、少し癖のある味かな。でも、悪くない」


 この飲み物も、ボクは気に入った。

 所詮は、庶民が手軽に食べるだけの屋台の食べ物だけど、ボクの味覚にも、特に問題無く受け入れられる味だった。

 

 「これなら何とか、食べ物で困る事は無いかな~」


 ボクは指に付いたソースを、舌でペロペロ舐めながら、ひとまず家路についた。



 










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