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第2話 街に出る

 ボクは、今悩んでいた。

 死んだと思ったら、謎の『何か』に誘われて、異世界に新しい肉体を貰って滑り込まされた今の状況をだ。

 ボクに与えられた『特別な力』ようするに、チートというやつは、ボクの身に危険が及びそうなくらいに過剰なものだった。


 いくらボクが恐怖を感じなくても、燃えている火の中に手を突っ込むほど馬鹿じゃないよ。

 怖くはないけど、痛いのは嫌だし、好き好んで面倒な事に巻き込まれるような趣味は無いんだよ。


 「ボクは、ゲームは自由気ままに遊ぶタイプなんだけど」


 クリアするよりも、その過程が面白いんだよね。一本道で進むより、脇道を歩けるのが楽しいんだよ。

 勇者になって世界を救うだの、魔王になって世界を支配するなんて、結局その一本道にたどり着いちゃうじゃないか。


 だから、ボクは勇者にも、魔王にもならないように注意して、この世界を生きなきゃ駄目なんだ。


 よし、悩むの終了。

 

 勇者にも、魔王にもならず、あの『何か』の思惑にも踊らされない為に、まずやるべきなのは、ステータス画面の偽装だね。

 表示偽装のスキルを使えば、普通なら絶対に不可能な筈の、ステータス画面の偽装表示が可能となるんだ。


 名前 :アオト  年齢:14  性別:男  種族:人間

 レベル:8

 HP :91/91 MP:90/90

 筋力:14 敏捷:16 知力:15 精神:14 生命:14 幸運:15 

 所有スキル

  光魔法 Lv3 剣術  Lv3 密偵術 Lv1 宝物庫 Lv1


 人前で使うかも知れなくて、誤魔化せないスキルだけを表示する事にすると、こんな結果になった。

 本来のボクのステータスからすれば、駆け出し冒険者のような数値とスキルだけど、十四歳というボクの年齢を考慮すれば、この辺が妥当だよね。

 

 じゃあ、次は宝物庫の中を確認してみるかな。


 宝物庫のスキルは、Lv1の状態で1立方メートルの収容能力を持つ、アイテムボックスのようなスキルだ。

 Lvが上がる毎に、収容能力は増えて行き、Lv★の時点では、10立方メートル分のアイテムを格納出来る。

 ステータスを開き、そこから宝物庫に収納されていた物を取り出してみる。


 入っていたのは、たくさんの硬貨が入った革袋とこの館の鍵、それに一枚の白いカードだった。

 ベッドの上に、それを並べてみた。

 革袋は四つ。

 それぞれに、銅貨、銀貨、金貨、魔石貨が百枚ずつ入っていた。

 ラン・ヴァースの貨幣価値は、銅貨が一番安く、銅貨百枚が銀貨一枚、銀貨十枚が金貨一枚、金貨十枚が魔石貨一枚の価値を持っている。

 魔石貨は、魔石を貨幣に加工したもので、虹色に煌くその貨幣価値は銅貨一万枚にもなる。


 物価は、銅貨一枚で、水一杯、果物一欠けらが買えるくらいなので、銅貨十枚もあれば、一食十分に食べられるかな。

 ここには、銅貨百十一万百枚分のお金があるから、当面暮らすには困らないみたいだね。


 そして、白いカード。

 これは、一級市民権を所持する者の身分証だ。


 この国に限らず、ラン・ヴァースには身分制度がある。

 このジルドリア王国で言えば、王族、貴族、一級市民、二級市民、三級市民、それに、市民権を持たない人達と奴隷がいるらしい。

 街の市民は、三級から一級までの市民権を持っている。

 大部分の普通の市民は三級で、財産があったり国に貢献したり多額の寄付を行ったりすると、名士の証である二級市民になれる。

 さらに、多大な功績を上げた者には、貴族に準じた扱いを受けられる一級市民権が与えられる仕組みなのだ。

 

 階級に差があると、街の役人や衛視の対応が目に見えて変わって来るし、もしも裁判沙汰になっても、有利に事が運ぶようである。

 特に、街中での武器の携帯や魔法の使用が大目に見られるのが、大きいかな。


 この世界のボクの両親、という設定にされた二人は、英雄的な冒険者だったのでこの一級市民権を持っていたらしい。

 その権利が、息子であるボクに相続されて、今この白いカードはボクの名義に変更されている。

 軽い金属製のこのカードには、小さな魔石が填め込まれていて、そこにボクの情報が記録されていると、得た知識が告げている。 


 つまり、この国ではボクは、貴族に準じた扱いをされる一級市民って訳なんだね。

 この街で暮らすなら、持っていても、損はない権利かな。


 ボクはお金の入った革袋と館の鍵、白いカードを宝物庫にしまうと、部屋を出た。


 この部屋は、館の二階にある両親の寝室だった部屋だ。

 今は、ボクの部屋に改装されている。

 二階には、他にもいくつか部屋があって、来客の宿泊にも対応出来るようだった。


 階段で一階に下りてみる。


 一階には、居間、書斎、食堂、調理場、食料庫、トイレ、浴室、倉庫と、暮らすのに必要な設備が全て揃っていた。


 電化製品は無いけど、ラン・ヴァースには、様々な魔石があって、人々の暮らしを支えている。

 明かりを灯す『発光石』、熱を生み出す『灼熱石』、冷気を発する『氷結石』、水を供給する『給水石』数え上げれば、きりがない。


 そうした魔石に、MPを1点分消費するだけで、効果を発動出来るので、色々な魔石が、様々な状況で使われている。

 

 この家にも、照明、暖房、冷房が完備し、調理室には、給水設備と流し台、竈やオーブン、冷蔵庫や冷凍庫といった、高度な魔道具が備えられているので、なかなか快適な生活が送れそうだね。


 特に、お風呂とトイレ。

 光魔法を使えば、身体や服の汚れも一瞬で浄化出来るだけど、それとは別に、ボクは自由にお風呂に入りたい。

 その願いを叶えてくれたのか、この家のお風呂は、なかなかの物だよ。 

 綺麗なタイル張りで、大理石の浴槽があって、給水、給湯も魔石で出来る優れものだ。

 トイレは水洗式、魔石で水を流し、『消臭石』や『浄化石』で、衛生面もバッチリというから、魔石万歳だね。


 「これが魔石文明の恩恵か~、凄いよね」


 尤も、これだけ揃えるには、それなりのお金も必要なんだけどね。ボクの見た事のない両親は、冒険者として、かなり稼いだらしい。

 親孝行出来なくて、ごめんなさい。


 館には地下室もある。

 我が家では、酒蔵や倉庫、それに宝物庫として使われていた。

 ここにも、両親が冒険者として手に入れた色々な武器や防具、魔石や魔道具なんかが置かれていた。

 良い機会だね、鑑定のスキルを試してみよう。

 ボクは、手近な場所にあった長剣を一本手に取ると、それを鑑定してみた。


 【ミスリル製の長剣】攻撃力:45

 ミスリル銀を素材に鍛えられた長剣。特殊能力は持たないが、軽くて扱いやすく、通常の武器が無効となるモンスターにもダメージを与えられる。

 

 鑑定成功。

 ふーん、こうやって品物の情報を見る事が出来るんだね。

 取り敢えず、ボクも剣の一本くらいは持っていなきゃだから、これにしよう。

 ボクは、革の鞘に収まったミスリルの長剣を、ステータス画面から宝物庫に入れた。


 地下室を出たボクは、玄関に向かう。

 いよいよ、異世界の街をこの目で見るのだ。


 玄関の扉を開けて外に出たボクは、まず館が立つ敷地の庭を目にする事になった。

 この街は城壁に囲まれた都市だから、庭と言ってもそう広い訳じゃない。

 まあ、あるだけ贅沢なんだろうけど。


 庭には、木々や芝生が植えられ、周囲は高い石壁で囲まれている。

 振り返って館を見ると、こっちも灰色の石造りで、異様に頑丈そうなイメージが湧く。

 これは親の趣味なのかな?


 この館が建っているのは、貴族や富豪が住む、王城に近い高級住宅街なので、この雰囲気は少し浮いている気がするよ。

 でも、そんな事は気にしても仕方ないよね。

 ボクは、玄関の扉に鍵を掛けると、街中を見る為に、館を出発した。


 綺麗に整備された高級住宅街を出て、ボクは街中にやって来た。

 

 ここジルドリア王国の王都フォーセスは、一時滞在している人達も含めれば百万人の人口を持つ、この世界でも有数の巨大都市なんだ。

 この周辺の地理は、広大な内海である中央海を中心に置いて、その周りを囲むようにして、北のリーズドーン大陸、東のベルドニカ大陸、南のアージャーン大陸、それに西のたくさんの群島によって構成されている。


 ラン・ヴァースには、勿論他にも大陸や地方はあるけど、距離があるから、あまり交流は無いみたい。


 フォーセスは、リーズドーン大陸の南方にあり、中央海に広がる大きな港を持っている。

 大陸での陸路に加えて、中央海を使った海路での貿易も盛んに行われていて、この街は交易の中継地点として凄く栄えている。

 街の歴史は古く、周囲には古代に築かれた長大で堅牢な城壁が今もそのまま残っていて、難攻不落の城塞都市としても知られているみたいだ。

 城壁の中の街路は、全て石畳で舗装され、古代から残る上下水道も完備された先進的な都市なんだ。


 街中には、二階建て、三階建て、或いは四階建ての木や石やレンガで出来た建物がたくさん建ち並んで、たくさんの人達が行き交っている。

 中世ヨーロッパ風の街にも見えるけど、街の中は清潔に保たれていて、道に糞尿がぶちまけられていたり、家畜が放し飼いにされていたりって事は無いみたい。

 馬やロバを連れている人もいるけど、馬糞の片付けとかも、ちゃんとやってるんだね。


 「ここが、ボクの新しい人生の始まりの街って訳だね。それなら、まず行くべき場所は冒険者ギルドかな?」


 ボクだって、普通にゲームの経験くらいはある。

 このラン・ヴァースという世界が、ゲームの要素を持っている世界なら、基本的にやる行動は変わらない筈だよね。

 実際に、ボクが得た新しい知識の中には、冒険者ギルドの事もあった。


 冒険者ギルドは、この世界で活躍する何でも屋の冒険者を統括して、彼らの仕事の斡旋や便宜を図り、代わりに彼らがもたらす利益を得ている組織だ。

 モンンスターや盗賊退治、商隊の護衛、貴重な資源の採取、様々な問題の解決に冒険者の力を必要とする人々は多い。


 中でも、冒険者が最も活躍しているのが、迷宮探索と呼ばれるものだった。


 ラン・ヴァースには、迷宮と呼ばれる不思議な空間が、世界の至る所に存在している。

 その多くは文字通りの地下迷宮だけど、時には塔や城、都市、洞窟、屋敷という形を取って現れる事もあるみたいだから、何でもありなんだね。


 迷宮内部は複雑に入り組んだ構造になっている上に、モンスターと呼ばれる存在が徘徊している。

 このモンスターこそ、冒険者が対峙する最大の障害であり、必須の対象なんだ。


 モンスターは様々な種類がいて、強さも弱い者から、出鱈目に強い者までいるけど、一つの共通点を持っている。

 それは、倒されるまでは確かに実体を持った存在なのに、倒した瞬間、その身体は幻のように消え失せ、後に必ず魔石を残すという事実だった。

 時には、魔石以外にも、貴重な品物をドロップ品として残す事もあるけど、こっちは運次第。


 そして、モンスターを倒して得られる魔石、これこそが、ラン・ヴァースで生きる人々の生活を支える重要な役割を担っているのだ。 


 魔石は、その含有する魔力によって、安い物から高い物まであるけど、人々に対するその恩恵は価値に関わらず無視出来ない。 

 それは、良く知られているスキルの中に、錬石術と言うスキルがあるからだ。

 このスキルを持つ錬石術師と呼ばれる人々は、モンスターから得た魔石を使って、様々な物を創り出せる力を持っているんだ。


 代表的な物が、『発光石』『灼熱石』『給水石』等の、誰でも使えて、生活を便利にしてくれる色々な種類の魔石だろう。

 それに、魔石を使った様々な魔道具、魔法の武器や鎧の制作にも、このスキルが関係しているので、王国でも学校を作って、積極的に人材育成をしているらしい。


 そして、錬石術師は、魔石からあらゆる天然資源を創り出す事も出来る。

 穀物や野菜、果物、獣肉や魚肉、香辛料、木材や鉱物、繊維や皮、金属、魔力を持たない普通の資源であるなら、何でもだ。


 この魔石と錬石術師の力のお蔭で、ラン・ヴァースでは本来交易でしか手に入らない貴重な物でも、魔石によってある程度供給する事が可能になる。

 食料品の市場で、季節や産地を無視した食材が普通に売られているのも、この世界の特徴の一つなのだ。


 尤も、ありふれた食べ物のような物なら、安い魔石から簡単に作れるが、価値の高い物ほど、高価な魔石が必要だったり、錬石術師に高いLvが求められたりするので、通常の農業や工業生産、それに交易も普通に行われてはいる。

 それでも、魔石によってもたらされる物産は、人々の生活を豊かに潤しているのだ。


 そうした魔石を、様々な場所に生息するモンスターを倒して持ち帰って来る者達こそが、冒険者なんだね。


 この王都フォーセスにも、地下迷宮が存在している。

 それも、世界でも指折りの巨大迷宮がだ。

 それがいつからあるのかは、ボクも知らないけど、少なくともここ数百年の間、多数の冒険者が挑み続け、魔石をこの街に供給し続けているみたいだ。


 その為なのか、この街には、冒険者ギルドの総本部が置かれている。

 ボクの両親とやらも、迷宮探索で活躍した冒険者で、二か月前に命を落としたのも、その迷宮の中だったと、記憶が教えてくれた。


 迷宮探索か、ボクも冒険者をやるなら、いずれは足を踏み入れる場所だよね。

 まあ、急ぐ必要はない。

 この世界に慣れてからでも、遅くはないよね、うん。


 街の中を歩いていると、改めて異世界にやって来た事を実感する。

 百万人都市くらいなら、人の数で驚くようなものじゃないけど、そこにはボクが今まで見た事の無い物もあるからね。

 

 今の時刻は、朝を過ぎたくらい。

 このラン・ヴァースでも、一日が二十四時間で、一年が三百六十五日なのは、変わらないみたいだ。

 フォーセスの街は、中央西部に王城と貴族や富豪の住む高級住宅街がある。

 北部には住宅街と職人街があり、中央東部には、多数の商店が立ち並び、中央中部にはこの街最大の広場があり、そこでは連日大市場が開かれているそうだ。

 街の南部には、大きな港があって、何十隻もの交易船や漁をする漁船、それに国の軍船なんかが停泊している。

 でも、北部や中部に比べると少し治安が悪いみたいだね。

 歓楽街もここにあって、大いに栄えているみたいだけど、裏に回ると、怪しげなお店とかもあるらしいし、貧民街も南の東部に集まっている。

 まあ、ボクも一度は覗いてみたい場所だね。何を売っているんだろう?


 街の人々は、既に活気を持って歩き回っていた。


 朝の買い物帰りの主婦らしい人、武装した衛視、道具を担いだ職人らしい人、はしゃぐ子供達、色々な物を売り歩く物売りの人達。

 その中には、明らかに人間では無い種族の姿もあった。


 耳が長く、優美な姿をしたエルフ。背は低いががっしりとした体格のドワーフ。獣の特徴を身体に持つ獣人。蜥蜴の頭と鱗を持つ大柄な蜥蜴人。


 (うーん、凄いや。本当に人間じゃない人達がいるっ! ここは、本当に異世界の街なんだね)

 

 ボクは、好奇心に青い瞳を輝かせて、街のあっちこっちに視線を向けた。

 アオトとして得た知識に加えて、世界知識Lv★のボクは、ラン・ヴァースの共通語を初めとして、いくつかの言語の会話や読み書きが出来る。

 街の中は活気に満ちて、人々の会話が耳に届くけど、ボクはその内容を問題無く理解出来た。

 店の看板に絵と一緒に書かれている文字も、読む事が出来る。


 「言葉や文字の勉強をしなくて、喋れたり読めたりするのは嬉しいけど、不思議だよね」


 スキルの恩恵、これは、この世界で万能の響きを持つ言葉のようだね。


 そんな事も思いながら、ボクが街の大通り歩いていると、行き交う人々の間に交じるように、粗末な服を着て、荷物を運んでいる人達を目にするようになった。

 彼らはみんな、黒や赤の首輪を嵌めている。


 なるほど、あの人達が奴隷なのか。

 ボクは、初めて見るけど、ラン・ヴァースでは一般的な存在。

 貧困から親に売られた子供や、奴隷の親を持つ者、戦争で捕虜になった者、借金を背負って返せなくなった者、それに罪を犯して刑罰を受ける者なんかが奴隷になるんだね。


 まあ、気にしてもしょうがないか。

 ボクはこの世界に来たばかりの異邦人なんだ。この世界の制度やら慣習に対して、何か言う権利もなければ、義務も無い。

 自分が生きるだけで、精一杯なんだよ。

 勿論、勇者じゃないから、困っている人を命がけで助けるなんて奇特な事もしないよ。

 ボクは、ただの十四歳の男の子なんだから。

 

 さて、先へ進もうか。


 ボクは街路を進み、街の中心部にある大広場に辿り着いた。

 そこは建物に囲まれた広い円形の広場で、たくさんの屋台や天幕が張られた大市場が開かれていた。


 もの凄い、賑わいだね。


 石畳の広場には、所狭しと屋台が立ち並び、天幕が張られ、露天商が敷いた布の上に商品を並べていた。

 色とりどりの果物や野菜が籠にぎっしりと詰めて置かれていれば、肉の塊を梁からいくつもぶら下げている屋台もあった。

 港町らしく、魚介類も豊富で、『氷結石』で冷やして鮮度を保った大きな魚をいっぱい並べて、客の注文で捌いている魚屋もいる。

 どこからともなく美味しそうな匂いも漂い、目を向けると、いくつかの屋台では、肉の串焼きや魚介のスープ、焼き立ての薄焼きパンなんかが売られていた。


 勿論、売られているのは、食べ物だけじゃない。


 色々な仕立ての古着を吊るしている店や、染めた布地や糸を売る店、革製品を扱う店、日常の道具類を並べた店、中には、生きた鶏や山羊、羊といった家畜を直接扱っている店もあった。

 大道芸人みたいな人もいて、周りに人が集まって、芸を眺めて喝采を送っている。

 市場を作っている天幕や屋台の間の通路には、雑多な人達が溢れて、値段の交渉や世間話なんかをしていて、喧しい声が響いていた。


 「賑やかだな~、ここなら日常品は、何でも手に入りそうだよね」


 街には勿論、専門の商店がいっぱいあるから、高級品や特注品はそっちで買わなきゃだろうけど、値段の安い普及品でいいなら、こっちの大市場の方が掘り出し物がありそうだよね。

 実際、街の人達は、そうしているみたいだし。


 それに、ファーストフードが充実しているのは、ボク気に入ったよ。

 一人暮らしじゃ、外食の方が便利だもんね。


 うん、この大市場の雰囲気は楽しいね。一日居ても、退屈しなさそうだよ。

 

 ボクは、市場の活気を眺めながら、道を進んだ。

 次に向かう場所は、冒険者ギルドだ。

 取り敢えず、ギルドに登録して、冒険者にはなって置かないとね。


 勇者は嫌だけど、冒険者にはなりたいじゃないか。





























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