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「王様だ―れっす!」
頼む。僕の話を聞いてくれ。
というか、明らかに横暴だ。
渡された割りばしは王にすでに知れ渡っているだろう。
「……って、王様は僕なのか」
「何にするつもりだ?」
小夜はちらちらと僕に番号を見せてくる。
何をしてもらいたいのかはわからないが、エスカレートする性質を知っているので僕は優しいのにした。
「えっと、三番が二番の頭を撫でる」
小夜は少し不満げに僕から離れると羽衣の頭を撫でた。
健康元気少女である羽衣はそれを目を細めて受け入れていた。
「その気なら……」
小夜が不吉なことを言いながら僕から離れたところに座る。
現在僕らはテーブルを背にし左に羽衣、右にちいろ。そして対面に小夜となっている。
「では次っすね」
羽衣が集め、羽衣から割りばしを引く。
さすがに連続してはならないので僕は押し黙る。
「んあ、引いちまったか」
どうやらちいろが引いたらしい。
「じゃあ、一番が二番の髪型を変えろ」
僕が小夜の髪型を変えることになった。
「んふふ」
嬉しそうな小夜。これで矛先が僕に向かなきゃ良いんだが。
それにしても四人だと高確率で回ってくるな。
「でも僕はそんな髪型を知らないんだけど」
「んじゃあ教えるから三つ編みにするぞ」
そういって、手際良くして見せる。当然、速過ぎてよくわからない。
「えっと……」
「あはっ」
かくんと小夜の頭が後ろに倒れる。そんなに強く引っ張ったつもりはない。
「そうそう、こうして三つにしてからこっちは固定してもう片方の端で残ったやつを交互に編みこんでいけば出来上がりだ」
雑な説明をありがとう。中々太くなってしまった。ちいろのお手本と比べるとかなりの不器用さを発揮している。
鏡を見られるまでに解かなければ。